若手棋士による塔矢アキラ研究会 16 - 20
(16)
「そこはまだやめておけ。」
長髪の男にぴしゃりと制されて、ももに取り付いていた男は名残惜しそうに顔を離した。
若干斜に身を横倒しによじってアキラはハアハアと息を荒げていた。
フライングはあったものの、男達はもう一度アキラの体を真上に向かせた。アキラの目には
うっすらと涙が浮かんでいた。1人の男のあれだけの行為でも全身に虫酸が走る様な
おぞましい感触だったのだ。もうわずかでもこの状態には耐えられない。
「…お願い…です…」
悔しさと怒りの涙が一筋頬を伝った。
「やめて…ください…。正気に…戻って…」
アキラは長髪の男を下から見上げて懇願した。無言で見下ろして来る男の目つきに
良心のかけらを探した。だがアキラには分らなかった。
あの塔矢アキラが霰もない姿で泣いて許しを乞う姿が、男達の情念を再度強めた事を。
左側にいた男がランニングの左脇から指を差し入れて来た。ピクンッとアキラが震えた。
「あっ…!!」
布がずらされて白い胸にうすくピンクがかった褐色に色付いた左の突起が露になった。
「や…め…」
涙まじりの声をあげ、怯えながらアキラは指の動きを見つめた。
指はゆっくりと突起の周囲を円を描くように撫で、中央の突起を捕らえた。
「や…あ…っ…!」
むずがゆい刺激にアキラは四肢を突っぱねる。他と区別がない程に平らだったその部分が指先で
こねられてぷくりと勃ち上がってくる。右側の男もランニングの中に手を差し入れて来た。
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右でも同じ様な刺激が施されてアキラは息を詰まらせるように喘ぎ、身を踊らせた。
「いや…だ!!」
複数の男達の下ではその程度の抵抗は無きに等しかった。それぞれの指が違うリズムと強さで
左右の突起を弄ぶ。形がはっきりしたその部分を掻かれるようにはじかれ、親指と人さし指で
摘んで揉みしだかれ、摩りあげられ、ひねり潰される。
「や…だ…や…っはあっ…!」
悶絶するような悲鳴は、やがて熱い吐息を伴い断続的に漏れ続ける喘ぎに変化する。
「う…んっ、…くうっ…」
どんなに身をよじっても避け切れない切ない感触が胸の二ケ所にまとわりつく。
見る見るうちに蒼白とも言えたアキラの頬が赤らみ、男達の観察の下で
アキラの男の部分が存在感を主張し始めた。
「塔矢くんは意外と順応するのが早いようだね。」
長髪の男にそう指摘されてもしょうがない程に、両の乳首に同時に為される行為の
強弱に合わせて喘ぐ声が高まり潜まって、アキラは完全に翻弄されていた。
だが、屈強な大の大人の男でも、似た様な事をされたらたまらないはずである。
「うう…ん、ふうう…んっ!はあっ…!」
乳首への責めは執拗に続けられた。触れられる程に受ける刺激が高まり、体の中心に
熱いものが生まれて膨らみ始めていた。それは体の奥深い部分を煮とかして
出口を求めてさまよう。その発射口への刺激はあえてまだ何も為されず放置されていた。
まだ貯えるエネルギーが足りないとでも言うように拷問の様な愛撫は続行された。
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執拗に与えられる刺激に反応してそそり立ち、ひくひくと震えるそれを、長髪の男が目ざとく
とらえて、弄るように言った。
「おいおい、随分とご立派じゃないか?塔矢くん。」
「おい、ソレ、隠しとけよ、萎えるぜ、そんなモノ見えてると。」
「バーカ、こいつが良いんじゃねぇか。イヤだと言いながらも身体は正直だぜぇってな。
しっかり感じてやがる証拠じゃねぇか、なあ、塔矢くん?」
そう言って男は涙をこぼし始めているアキラの先端をツンと軽く弾いた。
「あっ、あぁ…っ!」
その、与えた方には軽く僅かな、しかし受けた方には背筋まで伝わるような強い刺激に、
アキラは声をあげ、身をよじった。
「確かに正直だよなぁ…こんなイイ声が聞けるとは思わなかったぜ、なあ?」
左の乳首を責めていた男が、乳首を玩ぶ手を止めないまま、空いた手でアキラの首筋から
耳元にかけてを爪先でつぅっと撫で上げた。
「……っ!…」
今までとは違う場所への刺激に、アキラは声にならない悲鳴を上げた。
「へえぇ、随分と感度が良いようだなあ、塔矢くんは。」
「もっとイイ声を聞かせてくれよ。」
「塔矢くんはどこをどうされるのが好きなのか、この際ゆっくり研究しなきゃあいけないよなぁ。」
(19)
「やめて…!おねが…っ…や…」
すぐに言葉は自分自身の吐息に飲み込まれていく。再び動き出した首筋や乳首、そして
脇から横腹、先端部分以外の局部に這い回る生き物のような男達の舌と指先があった。
まるで無数の触手に捕らえられたような感覚にアキラは襲われていた。
「うう…ん!!ハア…ッ、んくうっ」
嫌でも高められていく体温の中でアキラはそれでも必死に声を飲み込んでいた。
ただ一人、右足を押さえ、先刻フライングをしかけた者ではない方の男だけが
何もしていなかった。眼鏡をかけ、気弱そうなその彼は遠く離れてアキラの
右足首を押さえ、若干呼吸は荒くしてはいるが、血の気を失った顔をしていた。
アキラは縋るような思いで彼の目を見つめた。向こうもアキラの目線に気付いた。
(オ、ネ、ガ、イ…)
アキラは唇を動かした。最後の砦にしがみつこうとするように。
(タ、ス、ケ、テ…)
彼だけが、まだ正常な思考を残しているとアキラは思った。そう願った。
眼鏡の男はアキラの視線を受けてカタカタ震えだした。
「おい、ワキ、」
ふいに長髪の男がその眼鏡の男の呼び名らしき名を呼び、弾かれたように
眼鏡の男が顔をあげた。
「チャンスだろ、ワキ。念願叶って片思いの相手を好きにできるんだ。
遠慮しないで思う存分味わえよ。」
(20)
「そうだな、ワキは塔矢くんの記事や隠し撮りの写真、大事に手帳にストック
しているもんなあ。」
「棋院で塔矢くんが使った後の座ぶとんの匂い嗅いだこともあったよなあ。」
そう言って他の男達もクスクス笑った。眼鏡の男は顔を真っ赤にした。
アキラは、絶望という現実に気を失いそうになった。
男達が眼鏡の男に行為を促した。眼鏡の男は震えながらも顔をアキラの股間に
近付けていった。呼吸が洗い中で舌を出し、最初遠慮がちにマシュマロのように柔らかい
袋の部分に触れさせた。失意の底で空ろな表情になったアキラの顎がピクリと
仰け反った。眼鏡の男は唇で摘むように袋の下の部分から上の部分、そして
すっかり固く張り上がった陰茎の根元へと少しづつ唇を動かす。
最も敏感な部分に始まった攻撃にアキラは身を強張らせた。
他の男達も手を休めて息を潜めてそれを見守っていた。
「ん…、ん…」
ためらうような触れ方が感度が増したアキラの局部に更に刺激を与えてアキラに
くぐもった呻き声と腹部との間に糸を引く程の蜜を滴らせさせた。
「ごめんよ…塔矢くん、ごめん…」
しばらく眼鏡の男は
そうやって戸惑うような愛撫をしていたが、唇が先端に触れて雫に濡れ、その
匂いを嗅ぐと、たまりかねたようにアキラ自身をすっぽりと口の中に収め、
狂ったようにしゃぶり始めた。
「はああっ!!」
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