夏の終わり 19 - 20
(19)
――――――あぁっ!
進藤の熱でさんざん擦り上げられていた僕は、それだけで上り詰めてしまいそうだった。それが嫌で、とっさに、進藤の頭を太股で挟んでいた。
進藤の動きが止まる。しかし、ねっとりと僕に絡みつく舌は、間断ない刺激を与えつづける。
――――――あっ、ぁっ…、あ…………
執拗に追い上げられる。
僕は、激しく首を振って、その快感の波に飲み込まれそうになるのを堪えた。
が、その最後の抵抗も、進藤の確実な愛撫にあえなく散る。
進藤の指が、僕の内部を差し入れられたのだ。
白濁が噴き上がる。
「ダメ。ダメ、嫌だ、進藤!」
この数週間、封じこめていた言葉が口をついて出たことにも、僕は気づかない。
進藤がきつく吸い上げると、腰のあたりに気の狂いそうな快感が生まれ、僕はまだ残っていたものも吐き出していた。
「嫌だ、嫌だよ、進藤、でる……」
逃げを打つ僕の足をしっかりと片手で抱きとめたまま、進藤が顔を上げた。
彼の喉が上下に動く様子を、涙と欲情で潤んだ僕の瞳は、すべて映していた。
羞恥に頬が染まる。快感に息が上がる。目の前の男が愛しくて嫌になる。
ペろっと舌先で自分の唇を舐めて見せたあとで、進藤はまた僕のペニスを咥えた。
そして、侵入を果たした指がおもむろに動き出した。
抜き差しで始まったそれは、徐々に複雑な動きに変わっていく。
入り口のあたりで円を描いていたかと思えば、奥を抉るように深く差しこまれ、かと思えば中を広げるような動きを見せる。
その間も、ペニスには熱い刺激が加えられていた。
内部を犯され、性器にはたまらない愛撫を与えられ、放ったばかりだというのに、僕の若い雄は、すぐさま熱り立つ。
「ダメだ、ヒカル、もう…ダメ…………」
口では拒みながらも、身体は更なる頂点を求めて、大きく揺れる。
やめて欲しいのではない。過ぎた快楽が怖いのだ。
飲みこまれてしまう自分が怖いのだ。
(20)
なにも考えられなくなる。
進藤を愛しく思う気持とはまた別に、進藤を欲しがる気持。
それが、あまりに強烈で僕は嫌だと叫ぶ、ダメだと繰り返す。
初めてではない。でも、これは初めて知る悦びだった。
この前、進藤に抱かれたときも、快楽に喘いだ。
でも違う。
今日知るこれは、まったく違うものだった。
「ヒカル、……このままじゃ、おかしくなる………」
快楽の海に叩き落され、僕は咽び泣く。
懇願は、すでに言葉をなしていない。
進藤の耳にそれは、甘い悲鳴にしか聞こえなかった。
「アキラ?」
名前を呼ばれて、僕は訳もわからず、何度も何度も頷いていた。
「可愛い……」
吐息まじりの優しい声。
しかし、その次に与えられたのは、「ズン」という重い衝撃と焼けつくような熱だった。
僕は、一瞬、呼吸を忘れた。
身体の中で、めりめりという音が聞こえたような気がした。
痛みはあった。
約三週間ぶりの挿入に、まだ経験の浅い身体は鈍い痛みを訴える。
それなのに――――――。
その痛みを凌駕する、快感があった。
一番大きな部分がゆっくりと押しこまれた。
まだ慣れていないそこはが、ギリギリ限界まで広げられた時、僕は言葉にできない痛みに正直に顔をしかめた。
だが、その部分を飲みこんでしまえば、あとは楽だった。
ずくっと、肉が軋んだ。
きつい部分を通り過ぎると、進藤のそれは僕の内臓を押し広げつつ、一気に沈みこんでいた。
濡れた肌と肌が、改めて熱を分かち合う。
進藤のペニスは根元まで僕の中に埋め込まれていた。
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