ストイック 24


(24)
後ろから顎を掴まれて、顔を上げさせられた。僕が薄っすらと目を開けるのを見とどけると、緒方さんは手を離し、腰を揺らしはじめた。
痛みと熱と屈辱で、思考は真っ赤に染まった。
苦痛のあまり、呻きが喉からこぼれた。
つながったまま、緒方さんは僕の身体を抱いた。そして、髪を、首筋を、唇で愛撫する。
先程までの乱暴さが嘘のように、緒方さんの指が僕の身体をたどりはじめた。
「あ…」
耳の下から首筋を撫でられて、僕は声を漏らしてしまった。
「ここが、いいのかい?」
そう言って、緒方さんはその箇所に舌を這わせた。
「い、や…」
身体の力が抜けてゆく。緒方さんに、すっかり身をゆだねてしまいそうになる。
「まさか君が芦原ごときを相手にするとは思わなかったよ。性処理の相手なら、もっとましなのを選べばいい」
ふいに聞こえた緒方さんの言葉に、一瞬息が詰まり、目の前が真っ暗になった。
そして再び、屈辱に対する怒りが滾った。
だが、もはや、抵抗しようにも足腰が思うように動かせず、とても抗える状態じゃなかった。
身体をよじったところを仰向けにされ、高く足を持ち上げられた。再び、緒方さんの腰が動き始めた。
僕は喘ぎを喉で殺し、目に力を込めて、緒方さんを睨んだ。
緒方さんは薄く笑って、唇を重ねてきた。
(わざと、挑発している…?)
緒方さんが、わざと僕を怒らせようとしているのではないか、という考えが浮かんだ。
だが、何のために?
脳裏に浮かぶ疑問が、緒方さんの愛撫に霧散してゆく。

僕は挿入されたまま、緒方さんの指で到達させられた。
一度到達しても、緒方さんの指は僕を弄び続けた。
もはや何も考えられず、身体と感情だけが僕を支配した。
挑発と屈辱に抵抗し、指先に翻弄されて…
幾度か果て、最後には気を失うように、眠りに落ちた。



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