ストイック 8


(8)
「アキラ?」
「大丈夫。そういえば、今日なんにも食べてないや…」
そう言って僕は笑った。
「芦原さん、あがっていて。ボクはこのメモの物を用意するから」
「食べてないって…。バカ!こういう時こそ体力勝負なんだぞ!」
芦原さんがそう言ったとき、また電話が鳴った。
僕は電話に向かおうとしてよろめき、壁に身体を預けた。
「アキラ!」
芦原さんが僕の肩に手をかけた。
「大丈夫です…」
「そんな真っ青な顔して、何が大丈夫なんだよ!電話は俺が出るから、お前は横になってろ。それから、後で台所を借りるから。とにかく腹に何か入れろよ。いいな?」
芦原さんの声は、少し怒っているようにも聞こえた。
芦原さんが電話に応対するのを聞きながら、僕は床に倒れていた。
悪寒がして身体は思うように動かなかったのに、不思議と意識ははっきりしていて、床の冷たさを心地よく感じていたのと、電話の応対を芦原さんが引き受けてくれて安心したのを覚えている。



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