先生、あのね 6 - 8


(6)
人通りの少ない薄暗い廊下の隅に連れてこられたアキラは、これから何をされるのか不安で仕方なかった。
気持ちを落ち着けようと深呼吸をする。
「プレゼントがあるんですよ。受け取ってください」
越智はかばんから包みを取り出した。アキラはそれを受け取ろうと手を差し出す。だが越智はその手を振
り払った。
「先生、手じゃなくてお尻をこっちに向けてくださいよ。あ、もちろんズボンも下着も脱いでくださいね」
その言葉にアキラは愕然とした。
「ふざけるな。何でボクがこんなところで脱がなければならないんだ。だいたい何をする気なんだ」
アキラは反発した。だが越智は不適な笑みを浮かべてそれを見つめている。
「別にボクはかまわないですよ。なんならもっと人がいるところにでも行きましょうか。例えば進藤の目
の前とか」
憤っていたアキラだったが、進藤という言葉を聞いて抵抗をやめた。そして仕方なくズボンをおろす。
自分への罰として越智の行為を受け入れることはできても、ヒカルに知られることだけは避けたかった。
越智もそれを知っててアキラを脅していた。
「先生は本当に進藤のことが好きなんですね。こんなにも従順だと、どこまで言うこと聞いてくれるのか
試してみたくなりますよ」
越智はそう言って笑うと、アキラの尻を両手でガシッと掴んだ。そしてアナルがよく見えるようにそこを
ひろげる。
「先生のここってすごくきれいですね。思わず舐めたくなりますよ」
越智はそう言うとぺろっとそこを舐めた。突然のぬめったやわらかい刺激にアキラは体を震わせる。その
反応を楽しそうに見つめると、越智は包みを開けた。そして中からそれを取り出すと、いきなりアキラの
アナルに押し当てた。
「ちょっと…な…アンッ! 何をしているんだ!」
まだ熟していない硬いそこにズブズブと容赦なくそれを押し入れようとする。そんな越智の手を止めよう
とアキラは振り向いた。次の瞬間、激しい振動がそこを襲う。まだ少ししか入れられていなかったが、ア
キラには十分の刺激だった。耐えられなくなったアキラはひざから床に倒れこむ。だがその間も越智は手
を止めることなくそれを挿し込んでいた。


(7)
すっぽりとそれをのみこんだのを確認した越智はアキラの前へ手を伸ばす。
「や…ヤダ、もうやめてくれ。お願いだから」
アキラは越智の手を掴んで懇願した。だが越智は聞く耳をもたない。アキラのそこを越智はリズミカルに
扱き始めた。アキラは顔を覆って声を出さないようにしてそれに耐える。
「嫌がっているわりには随分と気持ちよさそうですね、先生」
越智は耳元で囁いた。そして足首に絡まっているズボンと下着を引き上げた。アキラは恐怖のまなざしで
越智を見つめる。
「今日はこのままの状態で過ごしてください。あと、それ抜かないでくださいね。抜いたら写真ばら撒き
ますよ」
越智は事務的にそう言うと、身なりを整えてその場から立ち去ろうとした。
「待て。こんなの…無理に決まっているだろう」
アキラはゆっくりと起き上がる。前からも後ろからも刺激を与えられたアキラの体は、完全に性欲の虜に
なっていた。息を荒げながら熱っぽい視線で越智を見つめる。
「先生、そんな弱気なことを言わないでくださいよ。どうしても我慢できないんだったら進藤にでも慰め
てもらえばいいじゃないですか」
そんなことがアキラにできないと知りつつ、越智は下卑た笑いをしながら言う。
「進藤は違う。進藤とはこんなこと…こんな汚らわしいことしたいなんて…思ってない」
アキラは涙ぐんでそう言った。
「先生、嘘はやめた方がいいですよ。この前ここに碁石入れたときのこと覚えてないんですか? ここを
いじる度に進藤進藤って叫んでたじゃないですか。あれはボクを進藤に置き換えて感じていたんでしょ?」
尻の割れ目に手をさしこみ、小さな機械音をたてるそれの位置を変えながら越智は言った。
アキラはそんな記憶が全くないので嘘だと言いたかったが、気絶している間にそんなことを口走ったかも
しれないと思うと何も言えなかった。


(8)
「本当は進藤とこういうことしたいんですよね。だって先生はいつだって進藤のことしか見ていなかった
し。でもこれを汚らわしいと思うならやめたほうがいいんじゃないですか。だって進藤とこういうことを
するってことは進藤を汚すってことになるんですからね」
越智はゲラゲラと笑った。アキラはショックで呆然としている。越智に言われなくともそんなことはわか
っていた。だがこれが進藤だったらよかったのにと、心のどこかで思っていたアキラはヒカルとの交わり
をいつのまにか夢見ていたのだ。
「夢は、やっぱり夢なのか…」
アキラはボソッとつぶやいた。
「夢と気づいたのなら早く目を覚ましたほうがいい。その方が胸の傷も少しで済む」
越智はきっぱりとそう言うとアキラの頬をなでた。
「先生、ボクは先生とだったらどんなに汚れてもかまわない。ボクなら進藤の代わりに先生の夢を叶えて
あげますよ」
優しくそう言うと越智はアキラの唇にキスをした。絶望の中にようやく抜け道を見つけたアキラは、目を
閉じて越智の胸に寄りかかった。越智はそれを抱きとめる。
傷つけるだけ傷つけて、自分しかそこから助け出せるものはいないんだとアキラに思わせる越智の作戦は
見事に成功した。徐々にアキラを独占していく喜びを感じながら、越智は想いを込めて告白した。
「先生、あのね。…大好きですよ」


                                    終わり



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