新世紀エヴァンゲリオン別版
心の壁
第弐話
見知らぬ、能力
サキエルの事件から一夜明け、第3新東京市警察署刑事課…改め、使徒課。
冬月課長も既に帰宅し、部屋には碇シンジと渚カヲルしか残っていなかった。
「渚、サキエルはその後どうした?」
シンジが、煙草に火を付けながらカヲルに訪ねると、彼はコンピュータのキーを叩き、別の画面を表示させた。
「僕達に見つかったのが効いたらしいね…あれ以来一度も姿を見せないよ。」
「あの…なんだっけ、そうそう相田くんから聞いた話は…」
「ああ、あれね。」
カヲルが再びキーを叩き、サキエルの顔写真を表示させる。
「相田くんの話から判断するに、おそらくサキエルの本体は…『三田重工』代表取締役の三田サキ。
表向きは仕事熱心な女社長だが裏は使徒で…年下趣味のド淫乱、さらに重度の殺人狂ってとこかな。」
言いながら、カヲルはコンピュータの電源を落とした。
「いつ頃、動き出すかな?」
「今は、その相田くんにご執心のようだからね…隙あらば、今すぐにでも。」
「そうか…」
シンジとカヲルは、無言のままコートを羽織るとタイムカードを押さずに部屋を出ていった。
ピンポーン。
「はいはい」
この部屋の主…相田ケンスケがドアを開けると、年の頃20歳ほどの無表情な女性が突っ立っている。
明らかに染めていると思われる蒼い髪は、背景の夜空との奇妙なコントラストを生み出していた。
ケンスケはその女性の美しさもあるが、なんとなく「人と相対している」気分にならず、ポカンとした表情のまま女性を見つめてしまった。
「…こんばんは」
「こ、こんばんは。何かご用でしょうか…」
その女性の、必要以上に無感情な故の不気味さはもとより、あの事件以降年上の女性への不信感が高まっているケンスケは
とりあえず間合いを計り一歩距離をおいて話しかけた。
「…碇刑事と渚刑事から、君を連れてこいって。」
「あ、碇さんと渚さんの知り合いですか?」
ケンスケは少し警戒を解く。
「…嫌なら、いいけど」
「あ、いえ、とんでもない。今から、ですか?」
「そうね…そうしてくれる?」
そう言って女性が踵を返して歩き出すと、ケンスケも財布を手に取りその後を追う。
時は真夜中、2人は街灯の光に照らされた長い路地をひたひたと歩いていた。
「あの、えっと…」
「レイ」
「え?」
「私はレイ」
「あ、どうも…レイさん、ちょっと…回り道しませんか?」
「?」
相変わらず無言のままだが、その女性…綾波レイは初めてケンスケの方を振り返った。
「あ、そ、その、ちょっと僕…こういう暗くて狭い道は…あいつが来そうで…
できれば、あっちの大通りの方が…遠くなるのはわかってるんですけど…」
申し訳なさそうに言うケンスケを見て、レイは悲しげに目を伏せた。
「ご免なさい、遅かったみたい」
「え?」
闇を切り裂き、黒い影が舞い降りる。
影は、激しい光を放つ槍の柄でレイを打ち据えると、続けて後頭部に肘撃ちを見舞い、コンクリートの地面に叩きつけた。
「レ、レイさんっ!」
「こんばんわぁ…相田クン♪」
影…サキエルは、不敵に微笑んだ。
ただし、最初に出会ったときとはまるで違う…何というか、オーラとでも形容すべき気流が全身から溢れ出していた。
「ごめんね…今回は、純粋に君とヤりたくて来たワケじゃないの。」
「ヒッ!」
ケンスケは、先日と同様に後ずさる…が、今度は塀を背にしてしまい、さらに腰が抜けてその場に座り込んでしまう。
「あとは君のエネルギーをもらえば、あの刑事共に勝てる!」
サキエルが素早くケンスケの腕を取り、強制的に立ち上がらせる。
そのまま体ごと塀に押しつけるようにケンスケを固定し、両腕を首に巻いて口付けをした。
「うむっ…んん!」
ケンスケはすぐに頭を退こうとするが、首に巻かれていた腕が後頭部にかかり、超人的な力で押さえつけられる。
いや、むしろサキエルの唇に押しつけられる、と言うべきか。
「んぐっ、んんんんんんッ!」
必死で抵抗を試み、手や足を可能な限り動かしてみたものの、人間を遙かに越える力を手に入れたサキエルには全く通じない。
かえって体勢を崩され、さらに脱出が難しくなっただけである。
最後の手段…今、正に歯を割って自分の口に入ろうとしている彼女の舌。これを噛み切ると言うことは…
中途半端に優しさを持ち合わせた彼にはそういう発想は思い浮かばなかった。
さらに、己の状況を忘れてしまいそうなほど甘美な感覚。これがケンスケの抵抗を収めてしまっていた。
彼女の舌が自分の舌と触れあい、唾液が流し込まれる。
朦朧とする意識の中、ケンスケは何故自分がこんな事をしているのか、考えられなくなっていた。
サキエルの舌がケンスケの口内に侵入して数分が経ち、やっとのことでサキエルが顔を離す。
「「ぷはぁ…」」
呼吸すらままならず、平衡感覚が狂い始めていたケンスケはその場に崩れ落ちた。
「ダメ、ダメよ…足りない…こっちを、ちょうだい…」
サキエルが虚ろな目でケンスケのズボンに手をかけるが、彼はそれを呆けた顔で見つめるだけで何をしようともしない。
そうこうしているうちに、完全に勃起していたケンスケのペニスが、サキエルの眼前に飛び出した。
「我慢できない…いいでしょう?」
ケンスケは、口を開けっぱなしにしたままカクカクと首を縦に振った。それを了承と見たサキエルは、
本来隠すべき部分に大穴の開いた…既に下着としての役目を果たしていないショーツの隙間から覗く自分の性器の位置を確かめ、
ケンスケのペニスを一気に奥までくわえ込んだ。
「うあ…」
挿入と同時に、ケンスケのモノは胎内で爆発した。
サキエルはそれに気づいているのかいないのか、全く気にせず腰を降り続ける。
2人の愛液と精液が潤滑油となり、彼女が腰を動かすたびにぐちゃぐちゃと音を立てていた。
「うくっ!」
一分足らずしか経たずに2度目の射精をしたが、ケンスケのペニスは全く堅さを失わずに直立し続け、サキエルも腰の動きを止めない。
「あはっ、あっ、あっ、あっ、あはぁ、いい…若い…堅い…太い…最高よ、相田くん!」
さすがに3度目となるとすぐには果てない。夜中の街灯の下で下半身を重ね合わせていやらしく揺れる臀部は、かなり滑稽に見えることだろう。
「はぁ、はぁ、はっ、はっ、はっ…」
「ああ、ダメ!もっと、もうちょっとでイケるから、もうちょっと待って!」
サキエルは右手の人差し指を自分の陰核に当て、激しく擦る。同時に腰の動きを速め、快感を貪ろうと必死に努力する。
ケンスケは今になってやっと、自分のペニス全体がぬるぬるとした何かに包まれている感覚を感じ取り、目を覚ました。
「う、うあっ、や、やめろぉ…」
「あっ、ひゃあああああああああ!!!」
サキエルの膣がビクビクと痙攣し、ケンスケのペニスを締め上げる。
これにはたまらず、ケンスケは精液を彼女の子宮に叩きつけ、再びぐったりと塀に寄りかかった。
「気持ちよかった…?」
サキエルが腰を上げると、さすがに萎えてしまったペニスがにゅるん、と抜けた。
…と同時に注ぎ込まれた大量の精液が秘裂から流れ落ち、ケンスケのズボンに降りかかる。
「ああ〜…そう、この感じ。やっぱり、私のエネルギー源って若い男の子の精液なのかしら…」
サキエルは、たった今絶頂を迎えたとはとても思えない軽快な動作で立ち上がる。
「どう?もう一回ぐらいできそうかしら?」
「あいにくだが、もう無理だな。」
背後から男の声!
サキエルは、瞬時に振り返ると…腕の2倍ほど有ろうかという巨大な槍を背後の男へ向けて放った。
だが、渾身の力を込めて撃った槍はオレンジ色の障壁によって防がれる。
「あんたは、タブリスと一緒にいた…アダム?アダムね!?」
「僕一人か…渚はまだ来ていない、か。仕方ない、少々きついけど君の相手は僕がやる。」
サキエルは、懐から出したハンカチで股間の液体を拭き取ると、着衣を正し、戦いの構えを取った。
「ド素人がよく言うよ、今のあたしは無類無敵!タブリスだって勝てやしない、と断言できるね!」
瞬間、サキエルの全身から噴き出る気流がシンジを襲う。
…が、シンジはそれを避けようともせずに右腕を前に突きだした。
「…プログレッシブ・ナイフ!」
オレンジ色の障壁が変化し、シンジの右腕に集中し…ナイフを形作った。
そして、そのナイフを一振りするとサキエルの気流が吹き飛び、あたりには静寂が戻る。
「2つほど言っておくけど…僕の全パワーを込めたこのナイフ、君の情けない障壁で防げる代物ではないよ。
それと…誤解があるようだから言っておく。僕は、渚より強いよ。」
そう言うと、シンジがサキエルに飛びかかる。
戦いが、始まった。
つづく
管理人のこめんと
カプリ・Kさんからいただきました。「新世紀エヴァンゲリオン別版 心の壁」、第2話です。