『誰がために……』

 
作:SHOWさん
 
     第壱話 『帰還』


NERV発令所
「本部より南に……コレは……量産型エヴァシリーズです!!」
「なんですってー!!」
 日向の報告にミサトが声を荒げた。それも当然で、今現在第三新東京は『街』としては存在しておらず、それはネルフが自己防衛の手段をもたないことを意味している。そんな所を狙われたら、間違いなくここにいる人間全ての未来が無くなってしまう。ミサトが慌てるのも無理は無い。
「何体いるの!?」
「九体全て健在!! ロンギヌスの槍も所持しています!!」
「くっ……万事休すって訳ね」
 しかし、本部の南に着陸した量産型は、ネルフ本部には目もくれず、一心に空のある一点を凝視していた。まるでそこから災いが降ってくるかのように……
「……? ……どういうこと? 何故攻めてこないの?」
 ミサトの疑問に十年来の親友が答えた。
「ここは障害と見られていないのよ。彼らは自分自身に仇をなすであろう存在を待っているのよ」
「仇をなす存在?」
「分からない? 神の使いの名を冠する存在を、幾度となく退けてきた存在。福音と対極に存在するもの。絶対の力。人が生み出した鎧」
「……まさか……!!」
「そう。人の生み出した堕天使。エヴァンゲリオン初号機と、そのパイロット碇シンジ」
「シンジ君が!?」




弐号機エントリープラグ
「……ううぅ……」
 原型を留めないほど蹂躙された弐号機からうめき声が聞こえる。その声は日常の生活の中では魅力あるものであっただろうが、今の状況ではその魅力すら感じられない。
「……最後の最後まで……負けたのね……アタシは……」
「……セカンドチルドレン。惣流・アスカ・ラングレー、だったかな?」
 ひどく楽しげな声はエントリープラグの外から聞こえてきた。まるで今の状況を楽しんでいるかのようだが、尋ねている本人は真面目なつもりだった。
「ア……アンタは……!?」
「良かった無事のようだね。さて、そこで相談があるんだけど……」
「……え―――!!」




新芦ノ湖周辺
 そこかしこで戦自の人間が遠くの事態を静観している。
「隊長……私達は何故生きているのでしょう?」
「さあな……一度吹き飛ばされた人間が生きてる理由なんて見当もつかんよ」
 そこには初号機の覚醒や、弐号機の攻撃によって死んだはずの人間が遠巻きに立ちすくんでいるのだった。
「アナタ達……逃げなさい。直にここも戦場になるわ。せっかく掴もうとした未来を、わざわざ捨てることは無いわ」
「!!!! ……おまえは!! ……一体どういうわけだ?」
「説明している暇は無いわ。もうすぐ碇君が戻ってくるもの」
「!! サードチルドレンが……」
 この隊長は確信した。それはある種のカンだったが、戦場を経験したもののカンは人知の及ばない能力とも言える。そのカンはある一つのことを告げていた。逆らってはいけないと。




発令所
「セカンドチルドレンの保護に成功。衰弱していますが命に別状は無いとのことです」
「分かったわ。……それにしても動かないわね。もうすぐ10分よ」
 ミサトは爪を噛みながら呟く。
「大丈夫よ。シンジ君は帰ってくるわ」
「何でそう言い切れるのよ!?」
「ミサト……私は少しだけ知ってるの。エヴァと、シンジ君のおかげでね」
「どういうこ……」
「葛城三佐。私達はユイからしらされているだけだ。シンジのことをな」
「えっ……司令それはどういう……」
「問答をしている時間は無くなったようだ。来るぞ」
 まるでゲンドウの言葉に反応したかのようにMAGIが反応を示す。
「また衛星軌道上からの高速飛行物体です!! 数は一つ!!」
「来たわね……」
「来ます!!」
 日向の言葉に続いて大音響と大きな揺れが発令所を襲う。
「クッ!! ……状況は!?」
「電波障害のため確認できません!!」
 MAGIのメインスクリーンはノイズが走っているままで何も映さない。どうやら何かが墜落した衝撃によりセンサーの類が撹乱されたようだ。そんな中……
『……ザ……ザザッ……ザ……部……!! ……ザザッ部!! ……本……部……!!』
「? ……!! こ……この声は……」
『ザザ……本部……!! きこ……たら……おうと……してく……さい……!!』
「「「「「「「シンジ(君)!!」」」」」」」
 電波障害が収まりジオフロントの景色が映し出される。その中に、皆が待ちわびたものが映し出されていた。鬼のようなフォルムに、紫の鎧をつけたエヴァンゲリオン。その初号機。
 その存在は、必然的にある一人の少年が再び戦場に立ったことを意味している。
「シンジ君!! 生きていたのね!!」
『ミサトさん!! 無事だったんですね! ……良かった……皆さんは……?』
「無事よ。心配しないで。アスカも無事よ」
『そうですか……本当に良かった』
 スピーカーから流れ出る声は本当に安心しきった声だった。その声を聞き終わると、普段から口の前で手を組むポーズを崩さないゲンドウが立ち上がり声を発した。
「シンジ」
『!!』
「……闘いはこれからだ……」
『……』
「……勝て。……勝って……帰って来い」
『……父さん……』
「……なんだ……?」
『……帰ったら……色々聞きたいこととか……一杯……あるんだけど……』
「……帰ってきたら……私も言いたいことがある。……全ては勝ってからだ。……勝て。シンジ」
『それは……命令?』
「……あぁ……父親としての……命令だ……必ず勝って……帰って来い」
『!!!! ……うん。分かったよ。父さん』
 わずかな、ほんの僅かなやり取りは発令所の雰囲気を変えた。そこは、己の未来を賭けた闘いに臨む者達の顔があった。
「シンジ君。とにかく1対9では不利よ。囲まれないように山際まで移動して、山を背にして後ろをとられないように気をつけて」
『分かりました。ミサトさん』
 ジオフロントでは、それぞれの未来を現実にするための闘いが始まろうとしていた。しかし、加持リョウジがもしこの場にいたとしたら、ある一つのことを不思議に思ったことだろう。
 発令所の心配をしているシンジが、結局一度も映像回線を開かなかったことに……




弐号機
「どうやら始まるようだね。しかし、一対九ではさすがのシンジ君にも荷が重過ぎる。ボクも出るべきだろうね。……さて、その前に……」
 そう言うと声の主は弐号機のヒビのはいったコアに近づく。
「君の半身は無事に戦域を脱出したよ。その為にわざわざ安全な場所まで送ったのだからね。そこで相談だ。君はこのままでは確実に消滅するだろう。しかし、それは君の本意ではないだろうし、ボクとしても困る。生身ではさすがに長時間の戦闘は無理だからね。だから君の存在を今だけ貸してもらいたい。その代わり、君は消滅せずに君の半身を見つづけることができる。どうだい? 悪い話じゃないだろう?」
 まるで数年来の友人のように語り掛ける。はたから見たらおかしいと思われても仕方ない状況なのだが、本人はいたって真面目なのである。……多分……
「どうやら交渉成立したようだね。……さて、始めるか」




ジオフロント
 ジオフロントでは奇妙な睨み合いが続いていた。九体の量産機は、その手に二股の槍を構えたまま、初号機から間合いを取っている。そしてその様子を初号機の中からシンジは冷静に見詰めていた。
(……一気にはこない。一機ずつの撃破は無理……か。ダミープラグとはいえ、カヲル君の分身か……僕の戦い方を知っているのかな? ……このままではキリがない。ゼーレの事だから何をしてきてもおかしくない。行くか……)
 そうシンジが考えている時、量産機の二体が間合いを詰めてくる。そのスピードは弐号機が闘った時の比ではなく、その手にはロンギヌスの槍が握られている。
「くっ……!! 挟み撃ちか!!」
 山を背にしているため、初号機の背後のスペースは多くない。量産機もそれを分かっていたようだ。そして二本の槍が初号機の体めがけて突き出される。そのスピードは恐ろしいほどに速く、正確に初号機の体を貫いた。……かに見えた。
 グウウウウルウウウルウウル……??
 しかしその場所には初号機の姿は無く、量産機の攻撃は空を切る。
「でえええええええええやああああぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
 ずしゃああああああぁぁぁぁぁぁ!!!!
 二体の量産機は、頭を割られて倒れ伏す。上空から落下してきた初号機が力任せに頭を打ち砕いたのだ。しかし、量産機はそれでも動かない。
「……捨て駒……か……」
 シンジは他の七体の様子を見てそう感じた。
(このままじゃぁ……体力を削られるだけだ) 『シンジ君! 量産機はS機関を搭載しているの! 倒してもすぐに再生するわ。だから倒したとしても油断しないで。今、マヤと私で弱点を探っているから』
「……リツコさん。ここからは、僕達に任せてくれませんか? ミサトさんも。父さんも」
『えっ……!!』
「すみません」
『シンジく……!!』『かまわん。赤木君。……シンジ。好きにしなさい。葛城君も手出し無用だ』
『『司令!!!!』』
「ありがとう。父さん」




発令所
「いいのか……? 碇? 彼の敗北は世界の死を意味しているのだぞ。しかも相手はゼーレの老人達だ。彼一人の手には余るのではないかね?」
「ゼーレは今は何も出来んよ。我々もな。……それに……冬月。シンジは一人ではない」
「ユイ君のことかね? それでも……」
「ふっ……問題ない。しかし、ユイだけではないぞ」
「それはどういうことだ? 碇?」
「司令。私たちにも説明してくれませんか? 赤木博士も知らないようですし……」
「ふっ……それは自分たちの目で確かめろ」
 そのゲンドウの言葉が終わるや否や、状況が変化しだす。
「!! 初号機のシンクロ率が上がり始めました!!」
「顎部拘束具を自力で除去!!!!」
 フウウウオオオオオオォォォオォオオォォォオオォォオォオンンンンンンンンン……!!!!!!
「!!!!!!!」
 その叫びは聞く者の魂すら揺さぶるような響きを伴い、大地を揺るがす。そして全ての人に絶対の力と恐怖感じさせるとともに、目の前に立ちふさがる障害を打ち破ろうとする意志を伝える。そしてその声に反応したかのように姿をあらわしたものがあった。
「……これは……なんだ?!! ……衛星軌道上から何か来ます!! コレは、速い!!!!」
 ずどおおおおおぉぉぉぉぉぉぉんんんんっっっっ……
 衛星軌道上から飛来したものは、初号機の目の前と、弐号機と、新芦ノ湖の中央に落下した。
「何が起きたの!!」
「わかりません!! ……モニター、回復します!!」
 そこには恐ろしいほどの妖気を漲らせる初号機と、紅く輝く槍があった。
「オリジナルのロンギヌスの槍!! まさかシンジ君が呼んだのか!?」
 冬月の推測は的中した。そこには、最も神に近き者を刺し殺したといわれる槍があった。そしてそれをシンジが呼び寄せたということも。
「!! ね……熱反応!! これは……弐号機!? まさか……」
 放心していた冬月等の耳に、更に舞い込んでくる信じられない報告。しかしメインモニターには確かに、弐号機を示す識別信号が映っていた。
「もう一つ熱反応を感知!! 湖のほうからです!!」
「識別は!?」
「……まさか……」
「マヤ?」
「……ぜ……零号機です……」
「「「「「!!!!」」」」
「間違いありません。……一体……何が起きたんでしょう?」
「わからないわ。おそらく、それが分かるのはシンジ君と、司令ぐらいでしょう」
 その時……
『本部……応答願います』『やぁ、皆さん。生きてますか?』
「その声は……!!」
『葛城三佐。綾波レイ。ただいま戻りました。……指示を』
『皆さん、お久しぶりです。渚カヲルです。……レイ。君は無事かい?』
『ええ……』
『そうかい、それは良かった。でも急がないとシンジ君が待っているよ』
『わかっているわ……』
「パイロット両名。こちらからは指示できん。各自の判断で抗戦せよ」
『……了解』
『じゃぁボクはシンジ君の指揮に従うか……』
「ただし」
『『……』』
「生きて帰れ。それだけだ」
『『了解』』
 その声にあわせて、初号機を映していたメインモニターに零号機、弐号機が姿を現す。その姿を見た者たちは、一様に息を呑んだ。零号機と弐号機の色を見て。
「……アスカは?」
「セカンドチルドレンは、現在本部内で治療を受けています」
「あれを見たら、怒るわね。絶対」
 そこには、初号機と同じく、紫苑の特殊装甲をまとった零号機と弐号機の姿があった。フォルムは変わっておらず、零号機は一つ目、弐号機は四つ目であった。ただ、その色はあまりにも違和感があった。




初号機
『碇君』
『シンジ君。大丈夫かい?』
「二人とも!! そうか。エヴァの再構築、成功したんだね」
『ええ。これで碇君を守ることができるわ』
『レイ。ボク達はオリジナルの槍を使わずに量産機を止めることが出来るから。よく考えてるんだよ』
『分かっているわ』
「とにかく合流しよう」
 そう言うとシンジは初号機を跳躍させ、零号機と弐号機の間に着陸する。それと同時に、いまさっき破壊したはずの量産機が活動を再開した。頭を割られたまま動くのは、はっきり言って不気味である。
『シンジ君。君は槍を使って奴らを攻撃して牽制してくれ。まず槍を奪う。あれを持たせたままにするのは危険だからね。本格的な攻勢にまわるのは、それからにしよう』
「うん。とにかく、二人とも気をつけて。いくら君達が強いといっても、槍に攻撃されるとATフィールドも貫かれるから」
『分かったわ』
『じゃぁ……行くよ!!!!』
 カヲルの言葉を合図にして、初号機がまず手近の量産機に槍を繰り出す。量産機はそれを受け流そうとするが、シンジは槍をひねり上げ相手の槍を空高く弾き飛ばす。そのまま勢いを殺さずに、量産機の左腕を下から振り上げて切り落とす。
 シンジが一体目の槍を弾き飛ばしたのと同時に、レイとカヲルは左右に広がり量産機を引きつける。そこに今さっきまで事態を傍観していた量産機が槍を投げつける。量産機の手を離れた槍は真っ直ぐに零号機と弐号機に向かう。槍の本数は計五本。零号機に二本、弐号機に三本といううちわけだ。
 カヲルは弐号機を低く構えさせると、飛来する三本の槍を睨み付け、タイミングを計る。
「いまだ!!」
 カヲルの掛け声に合わせて、弐号機に槍が触れる寸前、弐号機が全身のバネを使って垂直に飛ぶ。槍は目標を見失い、大地に深々と突き刺さる。そこに弐号機が重力に従い落ちてくる。そして槍を三本とも抜き去ってしまう。そしてまた間合いを外した。こうしてまんまと槍を奪ってしまった。
「……」
 レイは即、零号機を跳躍させる。そこにまるで意志をもつかのように、二本の槍がその軌道を変えて飛来する。しかしレイは慌てることなく、シンジが弾き飛ばした槍を空中で掴むと、飛来した槍を弾き飛ばした。その槍はカヲルに回収された。
 零号機が着地するのに合わせて量産機が、更に槍を繰り出してくる。が、その槍はことごとくシンジの初号機に弾かれてしまう。
「ありがとう。碇君」
『いや、気にしないでよ。綾波。それより、来るよ』
「ええ、分かったわ」
『シンジ君! レイ! 何とかして敵の動きを止めてくれないかい? こいつらは跡形もなく消し去る必要があるからその隙を作って欲しいんだ。こいつらはコアを潰そうが、プラグを潰そうがお構いなしだからね』
『「分かった(わ)」』
 カヲルが間合いを取るのと同時に、レイとシンジは敵の中に突っ込む。そのまま量産機の足を狙いにかかった。




発令所
「すごい……」
 ミサトの言葉は発令所内の全員の心を代弁したものだろう。冬月すらその光景に目を奪われていた。相手の攻撃を槍で捌きながら確実に量産機を破壊していくシンジ。そしてその背後から、散発的なATフィールドを展開して相手の動きを止めて、シンジの初号機を援護するレイ。しかし、量産機も時間がかかるといえ、S機関搭載のエヴァ。疲れることを知らないので、動けるものからシンジ達につっかかって来る。
「……ホントに私達は必要ないわね。この闘いには」
「そうね、その間にできることはやらないといけないんじゃないの? ミサト。リツコ」
「……アスカ……もう体は大丈夫なの?」
「ミサト。誰に聞いてんの!? このアタシがあれぐらいで参るわけないでしょ!! しっかし何なの!? あの弐号機の色!? 趣味悪すぎよ!! まったく、勝手に人の機体を使っちゃって!! あれだけ大口叩いた割には役に立ってないじゃない! レイとバカシンジにだけ戦わせて!」
「……大丈夫みたいね」
 リツコの苦笑にその場にいる全員が頷いた。その時、
『役立たずは酷いんじゃないかい? これでもシンジ君の役には立っているつもりなんだけどね? 見えないかい?』
「……アンタ何してんの!?」
『おや、酷いねせっかく自己紹介したのに。名前で呼んでくれないんだね。こうして同じ機体を使う仲なのに。ボクは悲しいよ』
「誰がアンタなんかを名前で呼ばないといけないのよ!! それにアンタは今さっきから槍を地面に突き刺して何してんの!!」
『ふむ、やはり名前で呼ばれるシンジ君は特別か……』
「なななななななななな!!!!!!!!!」
 ……真っ赤である。
『それに、準備も出来たことだし、決着を着けようか……シンジ君、レイ。こっちは準備が出来たよ』
『こっちもほとんど出来たわ』
『わかった。レイ、配置につこう』
 そう言うと初号機と零号機は六本ある、カヲルが刺したうちの一本の槍に近づいた。
 槍はちょうど六角形に配置され、三人は一本置きに配置についた。シンジはオリジナルの槍を近くに突き刺すと、コピーの槍を握った。レイとカヲルも同様である。
『『『ATフィールド全開!!!!』』』
 三機のエヴァがフィールドを展開する。本来自分自身を包むように発生するATフィールドは、槍を触媒として量産機を包み込むように発生した。そして、……一気に小さくなっていった。
「何を……まさか!? ATフィールドで押しつぶす気!?」
 リツコが叫ぶ。当然である。ATフィールドを武器にしようという考えは、あのミサトですら考えつかなかったことである。
「勝ったな……」
「あぁ……」
 最上段のやり取りが響く。その目の前では凄まじいほどの光を放つATフィールドが見える。その大きさはどんどん小さくなっていった。
 キシュウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥン……
 凄まじい光によりメインモニターが発光する。光が収まった後には、三機のエヴァと、六角形に(なら)された大地が広がっていた。
「終わった……かな?」
『あぁ、ご苦労様シンジ君。まったく、君の強さは素晴らしいね。賞賛に値するよ』
「カヲル君……」
『碇君……無事?』
「綾波こそ大丈夫かい?」
『ええ』
『三人ともご苦労だった。後の始末は我々がしよう』
『三人とも。エヴァは一応ケイジの所に動かしてて。お疲れ様』
『シンちゃ〜ん!! みんな、ご苦労様。早く帰ってらっしゃい。疲れたでしょう』
『いつまで突っ立ってんのよ!! あんた達アタシを待たせる気!? 早く降りてきなさいよ!!』
『……陽気な……人たち……だね……シンジ君……』
「普段は違うと思うんだけど……」
『碇君。戻りましょ』
『レイ。いつも思ってたんだけど、何でボクの名前がででこないのかな?』
『……呼ぶ必要……無いもの』
『ガ―――――――――ン!!!! ボクはその程度だったのかい? 少し酷いんじゃないかい?』
「た……多分何時(いつ)も僕といるからだよ!!」
『まぁいいや。とにかく、戻ろうか。レイその話は後でね』
『……必要ないわ』




第7ケージ
「フ――ン。あんまり壊れてないんだ。この辺は……」
「碇君」
「綾波。それにカヲル君」
「やぁシンジ君。……しかし、こうして改めて明るい所で見ると似合うね、その姿。ボクらとお揃いだ」
「な……なんだか改めて言われると恥ずかしいね」
「似合っているわ」
「ありがとう綾波」
 ……真っ赤である。
「……」
 ……お互い様か。
「ヤッホ――――!! シンちゃ……ん?」
 駆けつけたミサトが固まる。
 そこには、白銀と、蒼銀の髪が揺れている。そこまではいい。問題は黒曜石の髪が見あたらず、煌く銀髪に若干の金髪が混ざった髪をした少年が、談笑しながら立っていた。
「どういうことよ――――――――――!!!!!!」
 ミサトの絶叫がこだました。

 第2幕の闘いは彼等の勝利に終わる。
 束の間の平穏と、膨大な事後処理。
 そして、自分の未来の選択。

 運命すら変える力を持つ神の子達は、
 自らの進むべき道を模索する。
 暁の心を持つ者は、
 己の価値を見失う……

 全てはここから始まる……
つづく




(後書きに変えて)
 シンジ「第壱話が書きあがったのでお届けします」
 アスカ「ちょっと!!」
 シンジ「なに? アスカ?」
 アスカ「いきなりみんな集めたと思ったら!! 何してんのよ!! アンタは!!!!」
 レイ「……座談会」
 カヲル「……お茶が入ったよ」
 アスカ「和むな!!!!!!」
 カヲル「まあまあ、しかし今回の話は何で行間を取ったんだい?」
 レイ「公開されたのを見て、『まずい、短かった!』と作者が叫んでいたわ」
 カヲル「……行間で上げ底か……好意に値しないね」
 アスカ「そういえば!!!! 作者はどこ消えたのよ!!」
 シンジ「なんか『緊急避難』って言ってたよ」
 アスカ「へ??」
 レイ「『アスカと』」
 カヲル「『マナちゃんから逃げるんだ』って。すごいスピードで」
 アスカ(バレたか!! ちいいいィィィ!!)
 シンジ「あれ? どうしたのアスカ?」
 カヲル「活躍の場が無かったことが不満だったようだね。多分作者に文句言うつもりだったんじゃないかな?」
 アスカ「ギクウウウウ!!」
 カヲル「……やっぱり」
 レイ「……碇君。作者から指令。『作品を説明せよ』」
 シンジ「うん。えっとこの作品は、一応アフタ―物ということです。登場人物はほとんど変わりませんが、過去にあった事件などの結末は変えるらしいです」
 アスカ「確か『ハッピーエンドにするんだ!!』って燃えてたわよね?」
 シンジ「うん。でも未来のことだから、本人もどうなるか分かんないらしいよ」
 カヲル「そうそう。それにLRSかLASか、はたまたLMSかは決めてないらしいし、オリジナルキャラも作ってたよ。出せるかわかんないけどって」
 レイ「マナはもう少し後の登場予定。その前に登場(復活)させるキャラ有り」
 シンジ「敵役も考えていたらしいよ」
 アスカ「でも、設定資料は公開する気は無いんでしょ?」
 シンジ「細かい所は、読んで下さる人の想像の範囲だから、公開したらあんまり意味が無いって」
 カヲル「一応まともなことを考えているんだ」
 レイ「意外ね」
 アスカ「……シンジ」
 シンジ「何?」
 アスカ「それ……何?」
 シンジ「作者の言い訳ノート」
 3人「……」
 アスカ「……この座談会の本音は何?」
 シンジ「霧島さんに襲われたのと、戦闘シーンが上手く無いから人前に出れないのと、『こいつらにある程度のことを喋らせ(出させ)ときゃ、本編で何しても文句無いだろう』って」
 アスカ「……レイ、行くわよ」
 レイ「了解」
 ダダダダダダダダダダ……!!
 カヲル「……マナちゃんにもつかまっていたのかい……死ななきゃいいけどね……続き書けなくなるから」
 シンジ「……うん」
第壱話終幕

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管理人のこめんと
 SHOWさんの『誰がために……』、第1話です。早くも続きを送ってくださいました。
 祝! シンちゃん大ふっかつぅ。……はいいんですけど、なんか強すぎ(笑)。とかげりおんをあっという間に殲滅してしまいましたね。この調子だとこの先どんな敵が現れるのか、ちょっち不安なんですけど(^-^;
 しかも髪を銀色に染めちゃうなんて。おまけに金のメッシュよ? いいんですかお母(ユイ)さんっ。
 でも不良(?)になったシンちゃんもス・テ・キ(爆)

 なにげにカヲルくんがデフォ状態で壊れているあたりもいい感じですが、壊れてたはずのアスカもすっかり元気になっちゃって、弐号機をあんなことにしちゃったカヲルくんをどのように殲滅(?)するのか、今からとっても楽しみです。
 しかも復活させる必要のあるキャラがいるそうで……うーん、誰だろう(爆) 
 某ひみつ結社のユカイなお爺さんたちも復活してくるんでしょか(^-^;

 ともかく、ハッピーエンドを目指すそうなので、安心して応援しましょう。
 誰にとってハッピーなのかがちょっと心配ですが(^^;)

 とゆうわけで皆さん、マナとアスカとレイの襲撃から決死の逃亡中(爆)のSHOWさんに、何とか頑張って生き延びてねー、とか、死にそうになってもとりあえずつづきをっ(をひ)、とか、感想や応援のメールをじゃんっじゃん送って頑張ってもらいましょうっ。
 SHOWさんのメールアドレスはこちら。

 このファイルは、きたずみが整形及びHTML化しました。それによって生じた問題はきたずみに言ってください。くれぐれも作者さんに文句を言ったりしないでくださいね。

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