フラッシュバックする記憶。何時の頃の記憶だろう? もう随分昔……体が弱くて、いっつも寝ていた頃? 本の世界にあこがれて本ばかり読んでいた頃? それとも……親がいなくなった頃?
 どれもそうで、どれでもない。わたしが覚えておきたかった記憶? 忘れておきたかった記憶? 何もかもが曖昧。人の『記憶』は『記録』じゃないから……でも、これだけは覚えている。
 そんな曖昧な記憶でも、私の宝物なんだという事を……


微笑(ほほえみ)の中で』

作:SHOWさん


弐話 『未来への始動』

「………ここは…?」
 なんだか記憶がはっきりしない。何で私はこんな所で寝てんの?
「……病院? ………いやだなぁ………病院は…」
 ? …ドアの外が騒がしい…病院だよ? ココ。一体誰なんだろう?
「あんなの、作戦なんて呼べない!! アナタは一体何のためにいるんですか?! 彼女にもしもの事が在ったら! ボクはあなたを許さない!!」
「あの時は……しょうがなかったのよ…」
「『しょうがない』で姉さんを危険な目に合わせないで!!」
 …一人はミサトさんで、もう一人はミナね。…でも男の声が…
「……何をしているの? ミサト、ココは病院よ。喧嘩なんかしないでね」
「リツコ…」
「彼女、起きてるはずよ」
 バン!! 
 ……! びっくりした……。いきなりドアが開くんだもん。
「姉さん!!」
 ミナが白衣を着たまま駆け込んできた。あら〜、目が真っ赤。
「ミナ……どうしたの?」
「! 心配したのよ! 丸一日も寝てたんだから! 全然目を覚まさなかったから…」
「心配かけたみたいね。ミナ、ありがとう」
「ううん。姉さんが無事なら、それでいいわ」
「ところで、後にいる男の子は誰?」
 そう。ミナの後ろには見慣れない男の子が立っていた。綺麗な子。銀色の髪に赤い瞳……。なんだかあの女の子に似てるような気が……気のせいかなぁ?
「私から紹介するわ」
「リツコさん」
 リツコさんが入ってきた。いつもの白衣だ。……? ミサトさんがいない……。
「彼の名前は渚カオル。あなたと同じ、チルドレンよ」
「よろしく、碇君」
 手を差し出してきた。なんだか不思議なかんじの人…
「あ、どうも……。あの、レン、でいいです」
「ボクもカオルでいいよ、レン君」
「あ、うん……。ところでリツコさん、ミサトさんの声が聞こえたんですけど……」
 その言葉で、ミナとカオル君がドアを睨む。…なんだか怖いよぉ……
「……入って来れないんでしょう。作戦部長の肩書きを持っているのにあれじゃぁね。司令からも叱られていたみたいだから」
「………お父さん……?」
「……午後から見舞いに来るような事を言っていたわ。随分と責任を感じていたみたいだったけど…」
「そうですか……。あの、私はこれからどうすれば良いんでしょうか? 住む所ってどこか分からないし」
「それは後で話をしましょう。詳しくね」
 そう言うとリツコさんは部屋から出て行った。……カオル君はミナと一緒に残ってる。ついでだから色々聞いておこうかな…。
「ねぇ、カオル君。………とりあえず、ミナも座ったら? ちょっと目線が合わないから…」
「じゃ、そうさせてもらうよ」
 二人に椅子を勧める。…うん。これでとりあえず落ち着いて話が出来るかな。さて……。
「カオル君、少し聞きたい事があるんだけど、いいかな?」
「ああ。いいよ」
「チルドレンって一体何の事なのかな? それに私の事フォースチルドレンって言ってたから、後三人はいるんだよね? カオル君も含めて、その人たちもエヴァに乗るの? 何で私がチルドレンって呼ばれるのかな?」
「…ミナちゃん、何も説明していないのかい?」
「うん。そんな暇無かったしね。姉さんはこっちに来てすぐエヴァに乗ったの」
「…じゃ、簡単に説明するよ。『チルドレン』って言うのは、『適任者』ってことさ。これはエヴァに乗れる子どもの事を指しているんだ。ちなみに現在のチルドレンは五人。ファーストチルドレン『綾波レイ』。セカンドチルドレン『惣流・アスカ・ラングレー』。サードチルドレンがボク。フォースチルドレンのレン君。フィフスチルドレン『王 飛龍』。今この本部にいるのはボクとレン君を入れて三人。綾波レイがここにいる」
「……男の子は二人? それに、知らない名前が……」
「姉さん。綾波レイにはもう会っているわ。それに、男の子はカオルだけよ」
「? でも、王って…」
 カオル君が笑を必死でこらえている。…私変なこと言ったかな?
「……王は女の子さ。家の都合で男名をつけられているんだ。……で、レン君が今回、初号機の起動に成功したから、全員エヴァに乗る事になる。今回はボクのエヴァはここに無かったしね。今ごろこっちに向かってる頃じゃないかな。…ボクが初号機に乗れれば、今回の事も無事に過ぎたかもしれないのにね……」
「……私は起動すら出来なかったから、チルドレン候補のまま…。ゴメンね。姉さん」
「済んだ事はしょうがないわ。二人とも。私も無事だったんだし、問題ないわ」
「うん」
 ………こんなもんかな? う〜ん、なんか気まずいなぁ…。
「あ、そう言えば。ミナ、あの子どうだった? 大丈夫だった?」
「? ああ、レイの事? うん。もう大丈夫だって。同じ階に入院してるよ」
「じゃぁ、お見舞いに行こう。私は大丈夫だから。あ、カオル君。ちょっと出ててくれるかな? 着替えたいの」
「了解したよ」
 そう言うとカオル君は部屋から出て行った。さて、着替えますか…


 ………白い天井。
 差し込んでくる光…。
 窓の外から聞こえる声。
 鳥の鳴き声。
 これが今の周りの状況。
 変化は無い…。
 身体は……数箇所の骨折、頭の裂傷、内臓の一部がダメージを受けてる…
 まだ……生きてる………
「レイ。大丈夫か?」
 あの人。私を必要としてくれる人。その声。
「ハイ。問題ありません」
「そうか……」
 …………分からない。この人は本当に私が必要なの? 優しい言葉、笑顔。それは私に向いていない。私に向けながら私でない誰かに向けている……。誰? 私は……誰?
「時間だ。もう行く」
「ハイ」
 ……扉が閉まる。また一人。……私には何かが欠けている。決定的な何かが……あの人は持っているのかしら? 碇ミナ。………彼女は私を必要としているの? ………違う気がする……。…………会いたい…。
 コンコン
「? ハイ…」
「レイ、起きてた?」
「……ミナ……? …カオル……? 何故ここに?」
「お見舞いよ。一応、初めましてって言っとくね。私は碇レン。ミナの双子の姉妹よ」
 !!! 笑顔………。ミナの姉? お見舞い? ………この人は私を知ってる?
「レイ、彼女は、初号機を動かす事の出来る、フォースチルドレンさ。ボクらの仲間だよ。ケイジで会ったそうだけど、覚えていない?」
「!!! チルドレン……。初号機を? ……ミナが言っていた人?」
「そうよ。私の姉さん。前に話した事あったよね?」
「ええ。でも、初号機を起動させた? …………今回、カオルの参号機は間に合わなくて………、零号機は凍結中」
「そう。私が乗っても初号機は起動しなかったの。で、嫌がっていた姉さんが呼ばれて……」
 ? 嫌がる? エヴァに乗るのを? ここに来るのを?
「何故?」
「? 何故嫌がるかってこと? う〜ん、綾波さんってさ、いきなり『私たちが生きるために命をかけて闘え』って言われたらどう思う? 『はい! 分かりました!』って言って、喜んで従うの?」
「それが命令なら、従うわ」
「関係ない人からでも? 関係ない人から命令されたら簡単に従うのかしら? それが自分の生死にかかわる事でも?」
「……………分からない。関係ない人にあったことが無いから……普通は、そういう物なの? でも、あなたのお父さんの仕事でしょ?」
 ……困った顔をしてる。……この人は? 一体?
「…………綾波さん。ご両親は?」
「いないわ」
「大切な人は?」
「大切?」
「『この人は特別だ』って言う人のことよ」
「……ミナ。初めての友達…」
「そのミナが、たとえばの話、そのあなたが言う『父親』の仕事で亡くなったら? それでも、信じられる? 嫌がらない?」
 …………答えられない。……彼女は私を責めているわけじゃない………。なのに、彼女の言葉は重い。…………何故?
「……ごめんなさい、こんな事、話すことじゃないよね。お見舞いに来たのに」
 …よく笑う人。………ミナとは何かが違う。どこが? 分からない……司令の娘。でも、似ていない。彼女は…何かが違う…。
「えっと、綾波さん? ごめんなさい。気を悪くしないでね」
「……………あなたは………一体? …………碇さん……」
「ミナと混じっちゃうからレンでいいよ。あ、もうこんな時間かぁ…。カオル君、そろそろ行かないとまずいね?」
「そうだね。大丈夫。レイの見舞いはまた来ればいい。ミナはどうする?」
「私も行くよ。じゃぁレイ、また来るね」
 ……………出て行く…………また………一人…。
 ズキッ!!
 ?! ……怪我…じゃない。今の何? …胸が……痛い……。……碇…レン……。


「えっと、じゃぁ基本的に私の意見って尊重されるんですか?」
 目の前の事務らしき人に聞く。なんでこういう組織の男の人って、黒いスーツなんだろう?
「そうだ。チルドレンは一応士官待遇だからな」
「住む所も自由なんですか? って言ってもあんまりわかんないけど」
「そうだ。司令からも言われている。司令と暮らす事以外は自由だ。まぁ、守秘義務がつきまとうがな」
「姉さん、どうするの? なんだったら私と一緒に暮らそうか?」
 目を輝かせてる……そういえば、ミナって家事は一切だめだったわね………そういうことかな?
「……えっと、チルドレンって基本的にどうしてるんですか?」
「ボク達は一人暮らしさ。レイもね。場所はまちまちだけどね」
 う〜ん、一人暮らしは構わないんだけど、事情を知っている人が欲しいな……。
「………じゃぁこうしよう! ボクらも引っ越そう!」
 ………………………………………………………………カオル君………………今………何て言った?
「ええええええええええ!!!!!!」
 あ、ミナも驚いた。ま、当然かな?
「ボクもレイもミナも引っ越す。そうだな、場所はそちらに任せる。なるべく良い所でね。はい、決定♪」
 決定って………事務の人も固まってるよ〜…。でも、皆と暮らせるって言うのはいいかな?
「ただ……」
 カオル君の表情が変わる。…………なんだか怖い…………。
「葛城1尉の近辺は拒否する。彼女の近くに用も無く居たくないからね」
「カオル君………どうしたの?」
「…………ボクは彼女を信用しない。だから、ボクの好きなレン君を近づけたくないのさ」
「………………………………………………………………………………………え?」
 何て言った? 今、なんだかとんでもない事を聞いてしまったような…………。………………冗談だよね?
「………………………カオル君、姉さん固まっちゃってるよ? いいの?」
「…………………ま、まぁ、引越しの事は一応聞いておく。じゃぁ、碇レン君。この後、司令の所に行ってくれ。渚カオル、碇ミナも同行するように指示がきている。分かったな?」
 あ、逃げた。当然かな? 私も、まだなんだか意識がはっきりしていないし……。
「……………と、とにかく!!! 司令室ってどこ?!」
 多分、今顔が真っ赤なんだろうなぁ。あ〜恥ずかしいよううううう!!!!!


「ここだよ。司令室」
 そう言ってカオル君が一室を指し示す。
 コンコン
「入りなさい」
「失礼します」
 …………………………………………………趣味の悪い部屋。床に書かれてるのは……セフィロト…かな? 壁の一面が窓になっているけど、暗いなあ。全体的に黒を使いすぎなのよ。よくサングラスをかけたままこの部屋にいられるわね……。信じられない神経してるわ。そんな中に人が三人。リツコさんとあの男。後一人は…
「よくきたね。久しぶりだね? レン君」
「冬月先生?! お久しぶりです!」
「? 姉さん、副司令を知っているの?」
「副司令? 何それ?」
「今の私の立場だよ、レン君。今は碇の下で働いている。しかし、最後に会ったのは君がドイツに行く前だった気がするが……、ますますユイ君に似てきたな。よかったよ。二人とも碇に似ずに……」
「冬月………話しすぎだぞ」
「何だ? お前は昼間見舞いに行ったんじゃなかったのか? 少しくらい私に話をさせてくれ」
「? お父さん、姉さんのお見舞いに来たの? あちゃ〜、タイミングが悪かったね……。副司令、私たち昼間レイのお見舞いに行っていたので、どうも入れ違いになってしまったみたいです」
「それはそれは……………。それで、機嫌が悪かったわけか……相変わらず、不器用な奴だ」
「それで? ボク等に何のようですか? 何か用があったから呼ばれたんですよね?」
「ええ。今後の事でね。……それで、レンちゃんはどうする事にしたの? ここに残るの?」
「……………………はい。その代わり、給料はもらいます。そう、今さっきの人にも言っています」
「そう、じゃぁ、色々渡すものがあるわ。住む所はどうしたの?」
「あ〜〜〜〜〜、その事なんですけどもぉ…」
 カオル君を見る。……なんかあの顔で笑ったままっていうのも怖いなぁ…
「? ああ。そうそう、ボク達は引っ越す事にしました。ミナも、レイも一緒に」
「「「はぁ?」」」
 ………まぁ、その反応が当然でしょうね…。いきなりなんだもん。ちょっと信じられないなぁ。
「……冬月」
「………………今、報告が上がってきていた。確かに。しかも、総務部がもう手配しているそうだ。後は場所だが…」
「あ、そのことでちょっと。誰かネルフを知っている人の近くが良いんですけど…」
「………………赤木君」
「はい? 何でしょう?」
「君のマンションでいいかね?」
「それがいいですね。リツコさんが近くにいればボクらも安心だし。とにかく、葛城1尉の近くで無ければいいです」
 相変わらず、ミサトさんの事になるきっついわね、カオル君。
「………………分かりました」
 あら、決まっちゃった…。何だかこの後も大変そうだな……。はぁ………


「あ、リツコさん。晩御飯の買い物して帰りません? 人数増えちゃったから…」
「そうね、一人暮らしだったから、あんまりいいものなんか無いしね。でも、私の料理は人並みよ」
「じゃぁ私が作ってもいいですか?」
「? レンちゃんが? いいの?」
「ええ。ちょっと料理には自信があるんです」
 今はリツコさんの車の中。ミサトさんも良い車乗ってたけど、リツコさんも良い車乗ってるなぁ。運転は丁寧だし。おかげで、助手席に乗っていても酔わないもの。後の席ではミナとカオル君が楽しそうに話してる。あの後、リツコさんが送ってくれるっていうから、皆で帰ろうってことになったの。
「でも、カオル。どうして急に引っ越す気になったの? ミサトから何回か誘われていたでしょ? それに、よくレイが引っ越す気になったわね?」
「それは、レン君に会ったからさ。レイも同じ。…リツコさんはどうしてボク等を引き取ったんだい?」
「…………何故かしらね。………私の家は広すぎるのよ、一人で暮らすにはね。それに、ちょっと打算的なところもあるわ。レンちゃん、ミナ、二人とも猫は大丈夫?」
「? ええ。姉さんも大丈夫よね?」
「うん。アメリカにいる間飼ってたしね。でもどうして猫が出てくるんですか?」
「私一人だと、家にいないことが多いから、猫は飼えないの。でも、誰かいれば飼えるかもって思ってね」
「確かに、リツコさんは猫好きだという割には、飼っているという噂は聞かなかったね。そういうことだったのかい」
「そうよ。ま、純粋に家に誰か話し相手が欲しいって言うのもあるわね」
 そっか。…一人は寂しいもんね。リツコさんもそうなんだ…。
「さ、ついたわ。ここが、一番食料品の品揃えがいいところよ」
 大きいなぁ。とにかく、晩御飯はなんにしようかな? う〜ん。
「リツコさんって嫌いなものとかありますか?」
「いいえ。無いわ」
 ……歩きながら話しているんだけど、リツコさんってやっぱり綺麗。金髪も似合ってるし……。
「私の顔に何かついてる?」
「!!!! い、いいえ!!!」
 あ〜ビックリした。急に顔を近づけるんだもん……。でも…。
「どうしたの? 面白い事でもあった?」
「いえ、何だか嬉しいなぁと思って」
「嬉しい? どうして?」
「………双子として生まれて、生まれた時から妹しかいなかったから。何だかお姉さんが出来たみたいって思うと、嬉しいんです」
 そういうと、リツコさんはちょっと驚いた顔をして、笑ったの……。


「はい、出来ましたよ〜」
 私たちの前に凄い料理が並ぶ………。彼女、これ一人で作っていたわよね……。ミナは料理できないはずだし、カオルは私と話してたから……。でも、ちょっと信じられないかな。
「やぁ、凄い料理だね。レン君は料理が上手なんだ……。ミナも見習うべきだね」
「……………姉さんの料理の腕を知ってたら、料理する気が起きると思う?」
「無理ね……。ミナじゃなくとも。でも、凄いわね…」
「とにかく、冷める前に食べてください」
「「「頂きます」」」
 ……………………この子、本当に十四なの?
「「「………………………」」」
「あの……お口にあわなかった?」
「い、いや。ボクとしたことが、一瞬我を忘れてしまったよ………。美味しいね…………これは。…………和食は日本人が生み出した芸術だね……」
 カオルは偉いわ。短時間で我を取り戻したから。カオルが何か話さなければ、私も我を忘れていたままだったわね。
「素晴らしいわ………。味加減も、絶妙だわ…」
「…………………」
 ミナは涙を流している。ま、当然かな。あの子確かミサトの隣だったわよね、今まで住んでた所って…。
「そうですか、よかったぁ〜」
「でも、良いんですか? ボク達もここに住んで?」
 カオルが箸を止めないまま話し掛けてくる。
「ええ。私もそのほうがいいしね。………………………………レイの事もあるしね」
 そう。この子達、レイの事を何か感づいてる。特に、レンちゃんはそうね。買い物の時にそれらしい事言ってたし、カオルも彼女の方に回っている。
「………………その事なんですけど…」
「食事の後にしましょ。…………とにかく、ミナを起こさないと。このままだと何も食べれないわよ」

「綾波さんはどういう子なんですか?」
「………あなたはどう思う?」
「………ミナと……同じ……。そういう感覚があります。私の血縁である事は間違いない……。でも、ミナ以外に妹はいない…」
「…………………ふぅ」
 リツコさんの溜息が居間にこぼれる。食事の後、私たち四人は居間のソファーに座っているの。
「隠し立ては出来ないものね……。いいわ。話してあげる」
「その前に、あの男。……私の父親のしている事も隠さないで下さい」
「!!!!!! ………何処で知ったの?」
「…母が残した記録にゼーレとかいう団体の事が書いていました。それに、外国を巡っている間に色々聞きましたから」
「そう……。でも、その事はお父さんから聞きなさい。私が言って良い事じゃないわ」
「…………分かりました」
「レイに関してだけど、レンちゃんの言う事は半分当たっているわ。彼女のパーソナルパターン、遺伝子にはあなた達の母親、碇ユイさんのものが使われているわ。だから、あなた達の妹って言えるわね」
「………人造…………人間…………? レイが……?」
「そうよ、ミナ。この事を知っているのはネルフでも三人。司令と副司令、それにメンテナンスを頼まれた、私よ」
「………なんで…」
「……あなた達に嘘はつかないわ。………私も、疲れているしね……。出来るものなら、この狂った計画を、止めたいわ。あの人のためにも…………」
 リツコさん、疲れてるなぁ。私もゼーレが何考えているかは知ってる。大学にいる間、色々あったしね。そんな計画の中にいたら疲れちゃうよね…。
「カオルは知っているわね? ネルフとエヴァがどういうものか」
「……………その様子だとボクのことも知っているんだね……。なかなか、リリンは油断できないね」

 カオル君とリツコさんの話は二時間に及んだ。わたしが想像していた以上に、狂った計画ね。人類補完計画、エヴァ、ネルフ、ゼーレ、使徒。あの男の考えそうな事ね。リツコさんはその計画に巻き込まれた形の被害者だったんだ。
 レイもそう。リツコさんにとって、レイは自分の罪を実体化させたものだったんだ。だから、レイに関して物として扱ってきた。でも、それによって更にリツコさんは罪の意識を植え付けてしまったのね。そして、周りの人たちも裏切っていく。物凄く悪循環。それに耐えてきた事は本当に驚くわ。やっぱりリツコさんって凄い……。
 それにネルフも何とかしなきゃね。このままだったら確実にミナにも害が及ぶわ。この悪循環を断つためにも、リツコさんに協力してもらった方がいいわね。綾波さんのためにもならないし………。カオル君もこのままにしておいたら、確実に火種になるしね。
「……これが全部よ。司令が何を考えているかは分からないけど…。起こそうとしている事はそういうことよ」
「ボク達使徒は本能的だからね。他の使徒は何考えているかはわか………」
 ピンポ〜ン♪
「? 誰かしら? リツコさん、私出ますね」
 そう言うと私は立ち上がって玄関に向かった。インターホンに付いているカメラで姿を確認してっと……。………? 誰もいない…。
「誰もいません……」
 ピンポ〜ン♪
 ……おかしいなぁ? とにかく開けてみようか……。
「はい。どちらさ……」
「ママ!!!!」
「?! ………リツコさんって独身ですよね?」
 様子を見に来たリツコさんに尋ねる。コクコクと首を振る。その声を聞いてみんな出てくる。そこに居たのは小学校の低学年くらいの女の子。その子が私に抱きついてきて……
「ママ!!!!」
「………………………? え?」
 ……沈黙が流れて、
「「「「えええええええええええええええええええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!」」」」
 




(後書きのようなもの)

 作 「ん〜〜〜〜〜〜。弐話目までは早いんだよね」
 レン「それより! 最後のあれってなんなんですか!!!」
 作 「オリキャラ。次回名前も出すよ。それが?」
 ミナ「姉さんの子ども? 私の姪? そんなこと聞いた事無いですね…」
 レン「ミナ…、アナタ何歳?」
 ミナ「14ですけど?」
 レン「双子のわたしは?」
 ミナ「同い年ですね♪」
 作 「いや、実の親ってわけじゃ無いよ。当然。ボクが出したかったキャラってだけ。実際の年齢に比べて、みんなオトナっぽいから、子どもっぽいのが居ても良いじゃんってわけ」
 レン「次回、その理由は明らかにしてくれるんでしょうね?! このままって訳じゃないでしょ?!」
 作 「当然♪ このままにはして置けないでしょ? 参話は一応書きあがってるんだけど…」
 ミナ「けど?」
 作 「四話目が手付かずだから、発表できないわけ。18禁にしたいけど、その辺にどうやって持っていくかって所。参話目が変わる可能性も高いから」
 ミナ「18禁にこだわるんですね。プロットは全部普通ですけど…」
 作 「そうなんだよ。この話、18禁じゃないネタばっかり浮かぶからさ。まぁそのネタは1スタに持っていくけど…」
 レン「1スタ………。アスカさんが『私の出番は〜〜〜〜〜!!!!』って控え室で唸っていましたよ。続き書かないと、殺されますよ?(私たちが)」
 作 「そうなんだよね〜。でも、向こうは少し書けないかな? 何たってアスカが強いから。簡単にLASに持っていきたくないし…」
 ミナ「そういえば、この話って18禁にしようっていってる割には男の子少ないですね? カオルだけじゃないですか?」
 作 「学校にオリキャラも居るし、使徒も居る」
 レン「使徒と? 本気?」
 作 「何想像してるかわかった。ちなみに人間モードにするよ、当然ね。カオルの親戚だから、美男子の可能性は高いよね」
 ミナ「それって私もですか?」
 作 「この話に出てて、何も無いと思うの? そりゃぁ甘いよ」
 レン「作者って鬼畜?」
 作 「違うよ! 普通に純愛系にしたいけどね」
 ミナ「作者の口癖【予定は未定】」
 作 「……誰から聞いた?」
 ミナ「1スタのレイちゃん」
 作 「向こうはキャラ壊してるからなぁ〜(あの野郎…)」
 レン「(なにか考えてるな)で? これからは?」
 作 「何とか学校と、18禁を!!!!!」
 ミナ「それはわかりましたって。そういうことじゃなくて」
 作 「…………………………………………………気が向いたらね」
 レ・ミ「結局それか〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!!!!」


第弐話 終

1コ前へ   INDEX   次へ
管理人のこめんと
 SHOWさんの『微笑の中で』、第2話です。
 カオルくんがいきなり登場です。こんなところで出てくるとは予想してなかったですね。
 しかもいきなり告っちゃうなんてだいた〜ん(^-^) カオルくんらしいといえばらしいです。これからもガンガン攻めまくって欲しいですね。
 しかし、カオルくんといい、ミナちゃんといい、おひげのおぢさんといい、なんかやたらとミサトさんを毛嫌いしてますけど。まあ、あんな事の後だし、ミサトさんはああいうヒトだから、気持ちは解らないでもないですけどね……そこまで嫌わなくてもいいような。
 ミサトさんにだっていいとこが全くないわけじゃない……けど、ありあまる欠点がそれを覆い隠してしまうんだよね(爆) シリアスではちょっと使いにくいキャラです。
 話がいきなり深いとこまでいってしまいましたね。このまま補完計画阻止に向かうんでしょうか。
 って思ったら何かいきなりな展開に目が点です。14歳でママなんて(笑)。
 サ○ちゃんですよね、あれ。ろりぃ〜な感じが大変イイです(*^▽^*)
 なんだかあっとほーむな感じになりそうな予感。どうやって18禁に持っていくんでしょうか。触手とか鬼畜系はちょっとアレですけど、純愛系ならろりでもれずでも全然オッケー(^^)。
 続きが楽しみです。

 とゆうわけで皆さん、学エヴァと18禁への野望に燃えるSHOWさんに、ろりろりはいいねぇ〜、とか、18禁は人類の至宝、まさに科学の勝利ねっ(意味不明)とか、感想や応援のメールをじゃんっじゃん送って頑張ってもらいましょうっ。
 SHOWさんのメールアドレスはこちら

 このHTMLファイルはきたずみがちょこっと修正しました。
 問題があった場合はきたずみに言って下さい。