『お兄がそうゆうことをちゃんと言ったげへんから、ユカ姉が不安になるんよ。お兄の方からもっと積極的になったげな。ホンマ、お兄にはもったいないわ。あんなええ人、逃がしたら二度と捕まらへんねんからね。解った!?』トウジは、ユキノがそう言っていたのを思い出す。あの二人は電話でしょっちゅう話をしているらしく、ユキノはユカに悩みを打ち明けられることが多いらしい。まあ、悩みといっても、トウジが自分から手をつないでくれないとか、くっつくと嫌な顔をするとか、そんな他愛もないことなのだが、女の子にとっては重要なことなのだ。