〜彼と彼女の事情〜
K A R E × K A N O
Written by:きたずみ
#10
TVの音に、まな板の音がかぶる。
台所で料理をしているユカの後ろ姿を、トウジはずっと見ていた。もはや当たり前になってしまった光景。それなしでは、息さえ出来ないほどに。
こうして彼女が家に来るのは、実に二日ぶりだ。ようやく彼女が自分の傍に還ってきたのだという、奇妙な実感。彼女を自分ひとりで独占出来るのだという満足感。誰もいない家に二人きりでいることが、ひどく嬉しい。
「おまたせ〜。さっ、食べよ」
「いただきます」
二人、向きあって食事する。会話はない。沈黙と、食器の触れ合う音が、TVの音の合間に混じる。時折、視線が絡み合って、初めて自分がユカを見つめていることに気付くトウジだった。漆黒の双眸を向けられ、慌てて目を逸らす。
「どうしたの?」
「……いや、なんでもない」
その時になってようやく、トウジは自分がレイに嫉妬していたことに気付いた。ユカがレイに構うのを見て、不快だと感じていたのだと。
ユカがレイを変えていく。これまで誰も立ち入らせなかった彼女の心の中に、ユカはどんどん入り込んでいく。知らぬ間に自分をこんなにも彼女に夢中にさせていたように、レイもユカに惹かれていると感じる。
それは、良い事なのだと思う。だが、ユカの心を自分だけのものになど出来ないという事実、無邪気で奔放な彼女が好きなのに、それでも彼女を独り占めしていたいと思ってしまう自分の醜い心を改めて思い知らされて、愕然とした。これでは、まるで小さな子供だ。妹に母親を奪られたように感じてしまう子供と同じだ。
そして、不安になる。もし、ユカが他の男と仲良くしているのを見たら、自分はどうなってしまうのだろうか、と。こんな自分は知らなかった。硬派を気取っていた自分が、こんなにも嫉妬深い男だったとは思いもしなかった。
そして不安になる。こんな自分を知られたら、彼女が離れていくのではないか、と。
そもそも、彼女がどうして自分などを好きになったのかが、未だによく解らないのだ。こんな自分の何処を彼女は気に入ってくれたのだろう?
彼女は綺麗だ。顔立ちは整っているし、スタイルもいい。気立てはいいし、明るいし、女子にも男子にも分け隔てなく好かれている。そのうえ料理は美味いし、家事が得意で、「トウジのお嫁さんになりたい」なんて可愛いことを言ってくれる。
対して、自分はどうか? 別に顔がいいとは思っていない。そんなものには気を使ってこなかったし、服なんかジャージ以外は殆ど持っていない。短気で怒りっぽいし、スケベだし、無愛想で気のきいたギャグのひとつも言えない。女の子をどう喜ばせてあげればいいかも知らない。自分でも、何処がいいのか解らないのだ。
――本当は、自分じゃなくてもいいんじゃないのか?
そんな思いすら浮かび上がってきて、心が冷えていくのを感じる。
「ねぇ、どうしたの? さっきからずっとヘンだよ?」
「何でもあれへん。……ん、うまいなコレ」
「……」
誤魔化すように言って丼飯をかき込むトウジを、ユカは怪訝そうに見つめていたが、食事を終えてお茶を煎れるまで、何も言わなかった。
「はい」
「お、サンキュ」
湯飲みを受け取ったトウジの隣に、すとん、とユカが腰をおろした。そのまま、そっと躯を寄せてくる。触れ合う肌越しにお互いの温もりが伝わって、ドキドキする。二人とも目はTVを見ているのに、意識は相手のことにのみ集中していた。
トウジは、ちらりとユカの横顔を見やった。白い肌。長い睫毛。整った顔立ちをしているのに何だか幼く見えるのは、ころころと変わる表情と、大きな瞳の所為かもしれない。頬にかかった黒髪と、ふっくらした桜色の唇がなんだか艶かしく見えて、トウジはぼーっとユカに見惚れていた。
「なに?」
「え?――うわっち!」
急にユカが振り向いたのでびっくりして、トウジは持っていたお茶を足に零してしまった。慌ててティッシュを掴み取って拭う。
「大丈夫?」
「お、おお、平気や」
膨らみ始めた股間を気付かれないよう躯の向きを変えながら、トウジはそっとユカの肩に手を回そうとした。
が、その前にユカが両手で持っていた湯飲みをテーブルに置いて、言った。
「――そろそろ、帰らないと……」
トウジの手が、宙で止まる。
「ごめん。怒ってる?」
「……いや」
「うそ。だって、さっきから何も喋らないし」
言いながら、ユカが俯いた。その悲しげな横顔が、流れた黒髪で覆われる。罪悪感に苛まれながら、トウジは慌てて言った。
「ちゃうんや、そうやない。そら、ワシもユカとはもっと一緒におりたいけど、ユカは、その……ワシと一緒におって楽しいんかな、思うて」
「なんだ、そんなこと気にしてたの?」
「え?」
それまで俯いていたユカは、不意に顔を上げた。そこには満面の笑みがあった。一瞬見惚れるトウジに、ユカは続けた。
「楽しいよ? 楽しいに決まってるじゃない。だって、大好きな人と一緒にいるんだもん。トウジと一緒にいる時、わたしすごいドキドキしてるんだよ?」
そう言って、ユカはトウジの手を取った。その手を胸元に導いてそっと押し付け、上から掌をかぶせる。柔らかなものに押し当てられ、暖かなもので包まれる感触。
「わかる? わたしの心臓、ばくばく言ってるんだよ? トウジが傍にいるから。わたしのこと、見てくれてるから」
「ユカ……」
「いいの、トウジが傍にいてくれるだけで……」
その言葉に、トウジは思わずユカを抱き締めた。彼女の躰のカタチや柔らかさ、温もりを全身で感じ取る。何処か甘ったるいような汗の匂い。首筋にかかる彼女の吐息に、躯が熱くなる。彼女が欲しくてたまらなくなる。
「だいすきだよ、トウジ」
甘えるように首筋に鼻先を埋めて言うユカの唇を、トウジは奪った。唇を擦り合わせるように重ね、舌を滑り込ませる。絡みつくように迎える彼女の舌を吸い、彼女の口腔内を思うさまに舐り回す。可愛らしい鼻息が、トウジの脳髄を甘く痺れさせる。
ややあって、トウジとの間に手を入れたユカが、名残惜しそうに彼を見つめながらそっと離れた。頬を朱に染めて、恥ずかしそうな微笑みを浮かべる。
「約束、だからね。トウジにあげるって」
そう言いながら立ち上がると、ユカはそっとスカートの中に手を入れた。ことさらに、トウジに見せつけるようにして、ゆっくりとショーツを脱いでいく。それによってたまらなくなっていく彼の姿に、自分もどうしようもなく昂ぶるのを感じながら。
膝辺りまで引き下ろされた、白くてちっちゃな布きれ。可憐な少女の下半身を覆っていたそれから、ソックスに包まれた白い脚を引き抜いていく。
トウジが食い入るように見つめているのを確認して、必要以上には見せないように気を使いながら、もう一方の足からくるんと丸まった布を引き抜くと、ユカは恥ずかしそうにトウジを見つめた。これで、彼女のスカートの下は何も覆うものがない状態となった。それを彼に見つめられていることで、躯がひどく昂奮してくるのが解る。
「……はい。だいじに、して、ね」
自分でも声が掠れているのが解る。そっとトウジの前に膝をついてそう言うと、昂奮した眼差しで自分を見つめている彼の手に、まだ温もりの残るショーツを落とし込んだ。
「トウジも脱いで。サービス、してあげる」
ぼうっとした頭の中に、彼女の声だけが熱っぽく響く。そそくさと膝立ちになってジャージのズボンをトランクスごとずり下ろすと、痛いほどにいきり勃ったペニスがぶるんと勢いよく振り出された。臍辺りまで反り返ったまま、ヒクヒクと痙攣している。
「嬉しい……わたしでこんなになってくれたんだね」
そう言うと、ユカはトウジの唇に軽くキスをした。それから、そろそろと下半身に顔を埋めていく。男の子のむっとするような体臭に息をつかれながら、白い両手を伸ばして熱い強張りを掌でそっと包み込むと、ちゅっ、と先端にキスした。それだけでびくんっと震えるペニスを押さえて、ゆっくりと満遍なくキスしていく。
可憐な美少女が、制服のリボンを揺らしながらペニスに唇を這わせている。その光景に凄まじく昂奮しながら、トウジは必死でその快感に耐えた。久し振りなのに、簡単にイッてしまったら勿体無い。
「トウジ、気持ちいい?」
「あっ、あぁ……」
答える余裕もないトウジに小さく笑みを洩らしながら、ユカは瞳を閉じ、圧倒的な存在感をもって口内に滑り込んでくるペニスを迎え入れた。舌先にぬるつく粘液が絡まり、口の粘膜に纏わりついてくる。奥まで咥え込み、キュッと吸いながらゆっくりと顔を動かす。じゅるっという淫らな水音が響いた。
淡いピンクの唇の間を赤黒いペニスが出入りする様は、息を飲むほど煽情的で、見ているだけでイッてしまいそうだった。小さな口は何もしなくてもペニスを締め付け、舌先が口の中でチロチロと淫らに這い回る。
ユカの髪を掻き上げながら、トウジは乳首を吸うようにペニスに吸い付いているユカの倖せそうな顔と、ブラウスに包まれたままふるふると揺れる胸元を見つめていた。滑らかな舌先が裏筋を舐めあげるたびにペニスはビクンビクンと反応し、硬度を増してユカの口の中一杯に膨らんでいく。
「あ、あかん。も、もうイってまうわ、ユカ……え、ええか?」
切羽詰った声音でトウジが言うと、ユカはペニスを咥えたまま瞳を上げ、口許に笑みを浮かべながらこくんと小さく頷いた。そのまま瞳を閉じ、ぐっと奥までペニスを飲み込む。口全体でペニスを締め上げながら、舌先で敏感なところを責め立てた。
「うぁぁっ……!」
呻いて、トウジはユカの頭をぐっと押さえ込んだ。次の瞬間、ペニスはユカの口の中一杯に膨れ上がり、熱い白濁液を断続的に勢い良く放出して咽喉の奥に叩きつけた。
びゅっ、びゅるっ、と咽喉の奥を叩きつける熱い奔流にうっとりとした表情を浮かべながら、ユカはこくこくと咽喉を鳴らして精液を飲み下し、口の中でペニスを締め付けて射精を長引かせた。それによって、トウジは何度となくペニスを痙攣させる。
「っく、はぁっ!」
射精が終わってもまだ硬いままのペニスに、ユカは舌先を絡めた。先端のみを口に含んで、残った精液も啜り取る。
ちゅぽっ、と音を立ててペニスから口を離すと、ユカはにこりと微笑んだ。
「一杯でたねぇ。気持ちよかった?」
とろり、と唇の端から流れ出た精液を舌を伸ばして舐め取りながらそう言ったユカを、トウジは押し倒そうとしたが、その前にユカが立ち上がったので、機先を制されてしまった。ズボンとトランクスをずり下ろした情けない格好で、ユカを見上げる。
「ユカぁ〜」
「だ〜め。遅くなったらミサトさんに何言われるか解んないもん。今日はコレでおしまい。あとは自分でやって。せっかくあげたんだから、使ってね☆」
「そらないでぇ〜」
「さ〜って、いつまでもここにいるとえろえろじゃーじまんに襲われるからか〜えろっと」
そう言ってさっさと帰り支度を始めるユカを見やって、トウジは溜息を吐いた。さっき射精したばかりなのに、股間は全然落ち着かない。ふと掌に視線を落とすと、そこにはユカのくれたショーツがあった。
「トウジっ」
「――え?」
顔をあげると、帰り支度を整えたユカが戸口から自分を見ていた。
「いつまでちんちん出してんの? わたし帰るんだから、送ってよ。女の子を一人で帰すつもり? こんなくら〜い夜道で、カノジョが襲われちゃってもいいの?」
「わ、わかっとるわい」
NERVのガードがついているからそんなことは有り得ない筈なのだが、トウジとしても送っていくことに否やはない。
ドアに鍵をかけて振り向くと、ユカがそっとトウジの隣に並んだ。そのまま、寄り添うように並んで歩き出すと、鼻先を彼女の髪がくすぐった。花のような甘い香り。それだけでもうたまらなくなって、その手をトウジがそっと握ると、ユカは一瞬ハッとしてから、花がほころぶようにふわりと微笑んだ。
自分でもそんな表情を彼女にさせられることに喜びを覚えながら、トウジはユカの手をさらに強く握り締めた。応えるように、彼女が握り返してくる。汗ばんだ掌がどちらのものなのか解らない。絡み合う指の感じが気持ちいい。
トウジに手を握られたまま、ユカは少し俯き加減に歩いていた。しきりにスカートを気にしている様子に、彼女がさっきショーツを脱いだままなのを思い出す。
用意のいい彼女のことだから、てっきり替えを持っているのかと思っていた。
耳許にそっと口を寄せて、囁いてみる。
「今、ノーパンなんか?」
その一言に、ユカは耳まで真っ赤になってトウジを睨んだ。それがすごく可愛くて、そのまま道端で壁際に押しつけてキスをした。
「んっ、…んふぅっ」
自分から舌を絡めてくる彼女の反応で、ユカも昂奮していると解る。
「だめぇ……我慢できなくなっちゃうからぁ……」
つぅっ、と唾液の糸を引きながら唇を離すと、ユカはトウジから躯を離して歩き出した。数歩でそれに追いついて、そっと手を握る。
彼女はこちらを見ない。それをいいことに、トウジは舐めるようにユカの躯を見つめた。視線でその躯を覆った服を一枚、一枚剥いでいく。何ものにも覆われていない裸身を思い浮かべながら、彼女も濡らしているんじゃないのか、と思った。
こんな、職場帰りのサラリーマンやOLと当たり前に擦れ違うような夜道で、制服に身を包んでいながら下半身は剥き出しで、それを知る唯一の人間に視線で姦されている。
それを思うと、たまらなく昂奮してくる。近くの公園に連れ込んで、そのまま彼女を犯してみたいという欲望に駆られる。誰が見ていてもいい。彼女を思うさまに乱れさせることが出来るのは自分だけなのだと、男たちに見せつけてやりたい。
歩きながら、ユカはうなじまで真っ赤になっている。吐息は乱れ、足下がふらふらと覚束ない。そんな彼女を抱き支えるようにしながら、トウジはそっと指先で豊かな乳房をつついた。つぷ、と指先が沈み込んでいく感触に恍惚となる。
「……ぁ、んっ」
艶かしい吐息を噛み殺すようにしながら、快感で潤んだ瞳をトウジに向けてくるユカに、トウジの理性が飛びそうになる。
「大丈夫か? もうちょっとやからな」
そんな台詞を吐きながら、わざと耳許に息を吹きかけてやると、ユカは頬を染めながら潤んだ瞳でトウジを睨みつけた。眦に涙が浮かんでいるところがまた艶かしい。歩きながら、自分から胸を押し付けてくる。
「こんなことして、我慢できなくなったらどうすんねん?」
「い、いもんっ。トウジにしてもらわなくても、平気、だもんっ」
中途半端な所で生殺しにされたことへの意趣返しか、それともユカの恥らうさまがあまりにも可愛らしい所為か、トウジはコンフォート17に着くまで、ずっと彼女を言葉と吐息、そして微かなタッチで執拗に責め続けた。
もっとちゃんと触って欲しいのに、トウジの指先は焦らすように胸元や脇腹をそっと撫でていくだけで、誰かと擦れ違う時にわざと耳許でいやらしい言葉を囁いたり、お尻を撫でたりしてユカに声を洩らさせようとする。そして、「振り返って見ている」と告げたりするのだった。それがさらにユカを昂ぶらせる。
エレベーターで二人きりになると、我慢出来なくなったユカはトウジにしがみついてキスしてきた。わざと胸を押し付けてくる彼女に驚きながら、トウジもいよいよたまらなくなってくる。このままここで別れるなど、出来そうになかった。
エレベータが止まる。ドアが開く。このマンションには他に誰も住んでいないことを知っているから、二人はさらに大胆になる。
キスしたまま廊下に出て、そのままたっぷり一分ほど唇を合わせたままだった。
唇を離しても、ユカはトウジから離れようとはしなかった。彼の胸元にそっと頬を寄せて、背中に回した腕にぎゅっと力を込めてくる。
「ミサトさんが帰ってくるで」
「……」
トウジのその言葉に、黙ったまま首を振るユカ。トウジにしても言ってみただけで、このままでは到底おさまりがつかない。
「寄っていって……」
ポツリと呟くように洩らしたユカの一言に、トウジの顔が輝いた。が、それを敢えて抑えて、耳許で囁くように尋ねる。
「ええんか?」
こくりと頷いて、ユカはトウジからそっと身を離した。そのまま何も言わずに二人は廊下を歩き、「葛城」のプレートがついた11-A-2号室の前で止まる。無言でロックを外してドアを開けるユカに続いて、トウジも中に入った。
何度か来たことはあったが、こうして中に入るのは初めてである。女性二人が暮らしている空間に入り込む緊張も手伝って、トウジの顔から表情が消えた。
「ミサトさん、まだみたい……上がって」
そんなユカの言葉が何処か遠くに聞こえる。
硬直した顔のまま、靴を脱いで上がりこむ。居間へと辿り着くまでの間に目にするもの全てが新鮮で、トウジはユカが何をしているのか、まるで見ていなかった。
暗闇の中で留守電の赤ランプが点っているのに気づいて再生ボタンを押し、その間に自室に戻ってしゅる、とリボンを解く。スカートを緩めてブラウスのボタンを幾つか外した時、録音メッセージの再生が始まった。
『あ、ユカちゃん? あたし〜。仕事が立て込んじゃっててさぁ、今日帰れそうにないのよ。そういうわけだから、戸締りとかお願いね。じゃ』
たったそれだけの短いメッセージ再生を終えて、留守番電話は沈黙した。居間でそれを聞いたトウジは、そのまま呆然と立ち尽くしていたが、人の気配に振り返った。
そこには、ブラウス一枚だけの姿となったユカが立っていた。ボタンが幾つか外れているため、しどけなく開いた胸元からはブラジャーに包まれた豊かな膨らみが覗き、裾は白い太腿までを隠していた。薄闇の中で、そこが濡れ光っているのが解る。
「ふたりきり、だね」
ユカのその一言で、トウジの理性は飛んだ。
女の子の甘い匂いに満ちた部屋に、淫らな水音が響いていた。
ピンク色にシーツをかけられたベッドに、トウジはユカを組み強いていた。ブラウスの前を開き、ブラジャーを押し上げて柔らかな双丘を掌一杯に包み込む。
掌の中でいやらしく形を変えながらぷるんぷるんと揺れる乳房の柔らかな弾力を堪能しながら、トウジはユカの唇を貪った。その間も、乳房への愛撫は止めない。両手で寄せて揺らしてみたり、指先で痼った乳首をしごいたりすると、ユカは甘やかな声で啼いた。
「さわって……もっと一杯、ユカのおっぱい触ってぇ……」
「揉まれるのが気持ちええんか? こんなに大きゅうなって……いやらしいなぁ。もしかして自分で揉んどるんとちゃうか?」
「や……ぁっ、してない、そんなことぉ……」
柔らかな乳房を荒々しく揉みしだきながら、トウジはユカの耳許に唇を寄せて囁いた。そうするとユカは恥じらいの表情を浮かべながら、潤んだ瞳でトウジを見つめる。その表情にたまらなく昂奮する自分をトウジは感じていた。
「ホンマか? 怒らへんから、ホントのこと言うてみい」
耳朶を甘噛みしながらそう囁くと、ユカはすん、と鼻を啜りながらトウジを見つめた。安心させるように頷いてやると、ぽつぽつと告白し始めた。
「小学4年の頃から大きくなり始めて、それで嬉しくて……自分で揉んでるうちにどんどん大きくなって……それから、おっぱいがすごく感じるのぉ……。一人でする時も、おっぱいだけでイッちゃうこともあるの……」
それだけ言うと、ユカは顔を背けて泣き始めた。
「こんなやらしい女の子なんか、トウジは嫌いだよね……もうわたしのこと、嫌いになっちゃったんでしょ? だからユカのこといじめるんだ」
「嫌いになんかならへん。もっと好きになったで。ワシもスケベやから、おあいこや」
そう囁いて、トウジは唇でユカの涙を拭うと、そのまま唇を重ねた。ハッとしたように目を見開いてから、ユカはトウジの首に手を回してしがみついてきた。
「いいよ……トウジになら、何されたって、いい……」
「ホンマか? ワシ、変態かもしれんで。ユカが恥ずかしがるん見とると、めっちゃ昂奮すんねん。外でユカのこと抱きたいとか思ってまうねん。みんなにユカのいやらしいとこ見せたりとか、したなるかもしれんで?」
その言葉に、ユカはいやいやと首を振った。
「そんなの、いやぁ……他のひとになんか見せないで……トウジだけがいい……」
「大丈夫や、見せたりせぇへん。けど、今日みたいなんやったらええやろ? ユカかて、ノーパンで歩いてて昂奮したやろ?」
耳許で囁くと、ユカはこくんと頷いた。
「……すっごい恥ずかしかったけど、物凄く昂奮して、溢れてきちゃったの。濡らしてるの誰かに気付かれるんじゃないかと思うとまたどきどきして……」
「ワシもユカが恥ずかしがるん見とって、めっちゃ昂奮したんや。またやろ。な?」
「……」
トウジの首に抱きついたまま、ユカはいやいやと首を振る。が、その動きは弱々しかった。トウジは硬く尖った乳首を指先で転がしながら、耳朶を甘噛みした。
「ええやろ? な?」
息を飲む音がして、ユカが躯を震わせた。そのまま舌先を耳に這わせていくと、びくびくと痙攣しながらユカは小さく何度も頷いた。それを確かめて、トウジは舌を首筋から鎖骨、そして乳房へと滑らせていった。蛞蝓の這った後のように、唾液の痕が光っている。
ユカの指が髪に絡められるのを感じながら、両手で豊かな乳房を寄せ、二つの乳首を口一杯に頬張る。ちゅうちゅうと吸いたて、唾液を絡めて転がすと、ユカは頬を染めて喘ぎ声を洩らした。
「……っは、ぁっ……ぅぅんっ」
トウジの掌に鷲掴みにされて白い双丘がぐにゃりと歪み、ピンク色の乳首がトウジの舌に責められて硬く尖っていく。血管が透けるほどに白いユカの乳房は、トウジに吸われてうっすらと紅い痕を幾つも残していた。
トウジは片手で乳房を揉んだまま唇を下に滑らせ、白いお腹やお臍を舌先で軽く弄ったあと、ぐしょぐしょに濡れそぼった秘所に顔を寄せた。
「なんか、すっごく恥ずかしいよぉ……」
自分の部屋で彼氏とこんなことをしていると思うと、恥ずかしくてたまらない。ベッドに入るたびに思い出すんじゃないか、とか思ったりしてしまう。
「めっちゃ濡れてんで、ユカ」
トウジは手をユカの乳房から引き、両手で太腿を開いた。申し訳程度の薄く柔らかな恥毛で彩られた秘裂はぱっくりと開いて、しとどに潤っていた。
「ばかぁ……なんでそういうこと言うのぉ……」
「言うたやろ、ユカの恥ずかしがる表情が好きなんや」
そう言いながら、トウジは閉じようとするユカの両脚を強引に押し広げ、美少女の秘所を見つめた。桜色の可憐な秘肉を指先で割り開くと、トロトロと透明な粘液が溢れ出てくる。小さなクリトリスは可愛らしく包皮から顔を覗かせていた。
「ここがええんやろ?」
「はぅっ……、うぅんっ」
ユカの反応を見ながら、トウジはクリトリスを指先でつつき、秘肉をなぞった。開き始めた膣口に指を挿し込み、親指の腹でクリトリスを転がしながら、入り口の辺りを擦ってやると、ユカは背中を仰け反らせて喘いだ。
「美味いで、ユカのオ×コ」
「やぁぁっ」
じゅるじゅると音を立てて愛液を啜るトウジに、ユカは顔を両手で覆った。肉襞を掻き分けるようにして淫らに舌先が這い回る。溢れ出す愛液を啜る音が、ユカの脳髄を痺れさせていく。ユカは背中を仰け反らせ、髪を振り乱して切なげな吐息を漏らした。
芳しい香りを胸一杯に吸い込みながら、トウジは夢中で淡い桜色の秘裂に舌を這わせ、淫らな水音を響かせるようにして愛液を啜った。
「いやんっ、あぅっ、や、やめ、ぁふんっ」
ユカは首を激しく振りながら身を捩って悶えた。躯は理性を駆逐する勢いで押し寄せてくる快感に反応し、甘美な小波が意識を押し流そうとする。
秘裂から口を離したトウジは、ジャージを一気に脱ぎ捨てた。雄々しくそそり勃ったペニスを揺らしながら、ユカの上に覆い被さる。
「そろそろ入れるで、ユカ」
「う、うん……」
とろんとした瞳で自分を見つめるユカの両脚を高々と上げて、トウジはユカの膣口に照準を合わせた。キスマークを幾つも浮かび上がらせた乳房を淫らに波打たせながら、ユカは期待に満ちた視線をトウジに向けている。
「――…あ……」
くちゅ、と秘裂が亀頭に絡みつく。潤んだ秘裂の中心に亀頭を押し当てたトウジは、そのまま腰に力を入れて一気に押し込んだ。にゅるうっ、といった感じで、ユカの秘唇は形を大きく歪めながら、ペニスを深々と飲み込んでいく。
「くぅんっ!」
シ−ツの上にさらさらの黒髪を流しながら、ユカはトウジのペニスが胎内に打ち込まれる感覚に躯を戦慄かせた。それを恍惚の表情で眺めながら、トウジはゆっくりと抽送を開始する。赤黒いペニスがピンク色の可憐な秘裂を圧し拡げて出入りするたび、くちゅっ、ずちゅっ、といやらしい水音が響いた。
「うぁぁっ……、やっぱ締まりええわぁ、ユカのオ×コ……入れてるだけで気持ちええわ」
「ぅんっ、そ…んな、こと、い、わない、でっ……ふぅんっ、はぁぁっ!」
トウジはユカの両脚をV字に開くと、猛然と腰を振った。ずんっ、ずんっと子宮の奥まで深々と突き上げるたび、ユカの豊かな乳房がぶるんぶるんと跳ね踊るさまがたまらない。根元まで目一杯挿し込んでいくと、熱く潤んだ肉襞がきゅうきゅうと強烈に締め付けながら、ペニス全体をやわやわと包み込んでくる。
「ほら、見てみい。ユカのオ×コにワシのチンポが出たり入ったりしとるで」
「ばかぁっ……エロオヤジみたいなこと言うなぁ……っ」
「いっぺん言うてみたかったんや、これ」
結合部を見せられて真っ赤になったユカの台詞に、トウジはにんまりと笑った。
「もぉ、やだぁ……トウジのかばぁ、変態、すけべぇ……」
「ほほぉ。そーか、そーいうこと言うか」
「ひゃんっ!」
言って、トウジはユカを抱えあげた。自分が下になって、ユカの胎内をぐいぐいと突き上げる。一方、ユカは髪を振り乱しながら頭を振った。姿勢を変えた瞬間、躯の奥深くにペニスが突き刺さってきて、頭の中が真っ白になったのだ。
「はぁっ、あっ、ぅんっ……お…くが、熱い、よぉっ!」
下から突き上げられるたびに、衝撃と共に快美な電流が全身を駆け巡る。トウジに乳房を鷲掴みにされて揉みしだかれながら、ユカは自分から腰を振り始めた。
抽送の衝撃で、ベッドがぎしぎしと軋んだ。襞のひとつひとつが別個の生物のように蠢きながらペニスに絡みついてくる。結合部分を見ると、花弁の中心を出入りするペニスには白く泡立った粘液が纏わりついていた。
「くふんっ、んぁぁっ、っは…ぁっ、イッちゃぁぁ――…」
強烈な勢いで女の源泉を何度も何度も撃ち抜かれ、津波のような快感に翻弄されながら、ユカは半ば我を忘れて立て続けに何度も昇り詰めた。
「ユカ、中に出すでっ、ええなっ」
「うんっ、きてっ、きてぇっ!」
また、トウジも白い乳房を波打たせ、狂ったように腰を振って快感を貪り続ける少女の姿に昂奮し、熱い奔流を彼女の胎内にぶちまけた後も、依然萎えないペニスでユカを貫き続けた。何度絶頂に達しても、まだ先があった。
少年は飽きることなく少女の躯を貪り続け、少女の甘やかな喘ぎ声と淫らな水音は、いつまでも終わることなく響いていた。
どれぐらいの間、交わり続けたのだろう。
ぐちゃぐちゃに乱れたシーツは二人の汗や体液にまみれ、ぐっしょりと濡れていた。何度目かの絶頂の後、ユカはトウジの躯の上にそっと身を横たえた。
二人とも息が荒い。躯は汗と体液で濡れている。窓も開けず、エアコンもかけていなかったので、部屋には二人の淫臭が汗の匂いと入り混じるようにしてこもっていた。汗で濡れたトウジの胸板に頬を寄せながら、ユカはそっと瞳を伏せた。
「トウジ、ぎゅってして……」
そんな囁きに応え、トウジはユカの躯を力一杯抱き締めた。未だ繋がったままの結合部分から、ごぷりと精液と愛液の入り混じった粘液が溢れ出してくる。
何度となく射精した後の気だるさが股間に残っている。硬度を失ったペニスを柔らかく包み込んでくる肉襞の感触が気持ちいい。胸板に押し付けられて潰れるユカの乳房の柔らかさを堪能しながら、トウジはユカの耳朶に唇を這わせた。
「やっ……、はぅんっ」
トウジの掌が髪を撫でる感触にうっとりしながら、ユカは胸一杯にトウジの匂いを吸い込んだ。こうしていると物凄く安心する。
「だいすきだよ、トウジ……いっぱいだいすき」
「ワシもや。ワシもユカんこと、好きや。だいすきや」
ちゅっ、と軽く唇を合わせる。たったそれだけのことなのに、恥ずかしそうに頬を染めて、ユカはトウジの首筋に顔を埋めた。そんな彼女がどうしようもなく可愛くていとおしくてたまらなくて、ぎゅうっと抱き締めながらトウジは囁いた。
「明日、学校休みやろ……約束通り、遊園地行こか」
「ほんとっ?」
嬉しそうに顔をあげるユカに、トウジもつられて嬉しくなりながら頷いた。明日は第二土曜日である。平日ほどではないが、日曜ほど家族連れは多くないだろう。
「じゃ、おべんと作らなきゃ。トウジの好きなもの、いっぱい入れてあげるねっ」
「そら楽しみやなぁ」
自分に抱きついてはしゃぐユカを見て、誘ってよかったと思いながら、トウジは不意にユカの顔が曇るのを見て眉をひそめた。
「……どないしたんや? まさか、NERVの用事があるんか?」
「んー、それは解んないけど……でもテストとかはなくってオフなんだけど、そゆんじゃなくって、……トウジのことなんだけど」
「ワシがどないしたんや?」
怪訝そうに問うトウジに、ユカは言いにくそうに口を開いた。
「あのさ……じゃーじのままで、ゆうえんち行くのかなって、思って……」
「あ、そか。ワシ、着替えないしなぁ……せっかくの初デートやのに、ジャージはまずいわなぁ。いっぺん戻って着替えてこなあかんか」
「で、でぇと?」
トウジのさりげない一言に、頬を染めて嬉しそうな顔をするユカ。
「デートやろ? ユカはワシの……かっ…、カノジョやねんから」
「きゃ〜〜〜っ、恥ずかしぃ〜〜〜っ!」
精一杯平静を装っていたトウジも、ユカが真っ赤な顔で頬を押さえて喜んでいるのを見ると、改めて恥ずかしさが込み上げてくる。
「か、カノジョなんだ、わたし。じゃ、じゃあ、トウジはわたしのカレシってことだよね」
「せ、せやな」
もう恥ずかしくてお互いの顔をまともに見れない。考えてみればもっと恥ずかしい体勢でいるのだが、そんなことは頭の中にはないらしい。
「……よかった」
ことん、とユカがトウジの首筋に頭を預けながら呟いた。
「なにが?」
「ここに来て、よかった。ここに来なかったら、わたしトウジに逢うこともなかったもの。こんなに倖せな気分になることも、きっとなかったと思うもの」
「……せやな。ワシも、ユカに逢えてよかったわ」
その意味では、ユカの親父さんに感謝せなな――そうは思ったが、敢えて口には出さなかった。せっかくいい気分でいるのに、水をさすことはない。
ユカが顔を上げた。トウジの瞳をじっと見詰めてから、そっと瞳を閉じる。
そのまま誘われるように、トウジはユカにキスをした。
「んぁっ……ふぅんっ」
甘い鼻息を洩らしながら、ユカが腰をくねらせ、膣内に納まったままのトウジのペニスをきゅきゅっと締め上げると、それは再びむくむくと硬度と大きさを取り戻していった。舌を絡めながら、トウジはユカの乳房を両手で掴んで揉みしだく。
「あっ、ふぁぁんっ」
湯かな甘やかな喘ぎ声とトウジの荒い吐息、そしてくちゅくちゅといういやらしい粘液の音が再び部屋の中に響き始めるのに、時間はかからなかった。
つづく
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あとがき
久し振りの全編18禁(笑)。
嬉しさのあまりか、なんだか妙な方向にハジケてしまったようです。
まったく、どうしようもないやつだ(笑)