〜彼と彼女の事情〜
K A R E × K A N O
Written by:きたずみ
#25
外では、まだ雨が降っていた。
降り続ける雨の音が、薄暗い室内に響いている。
居間の片隅で、ユカはぼんやりと座り込んでいた。濡れた畳の匂いが鼻先をくすぐる。壁にかかった古い時計が、かちかちと音を立てながら時を刻んでいる。
この家の雰囲気をとても懐かしく感じるのは、叔父夫婦と暮らしていた家も同じように古かったからだ。まるで今にもそこの襖を開けて、叔父がひょっこりと顔を出してきそうな感じがする。
一度思い出してしまうと、それまで気にも留めなかったものから色んなことが次々に思い出されてきて、自分でも驚いてしまう。こんなにも自分はあのひとたちのことが好きだったのだと、改めて思い知らされる。あのひとたちが自分をどう思っていたかは解らないけれど、自分は確かに好きだったのだ。少なくとも、父のことを思い出さずにいられるくらいには。
別れてから、もうすぐ2ヶ月になる。あれから声を聞いていない。
(帰りたい、な……)
連絡がつかない、というのがいちばん気がかりだった。せめて声だけでも聞ければ、まだ安心出来るのに。
頭の中では、叔父たちの顔や懐かしい風景がぐるぐる回っていて、その一方で父の背中や大きな手の感触も蘇ってきて、どうしようもなくたまらない気分になる。
いつしか、ユカは膝を抱え込んでいた。
全身ずぶ濡れのまま、居間の片隅でまるで踞るように膝を抱えて座り込んでいるユカを見て、トウジは小さく溜息を漏らした。手にしたバスタオルをぎゅっと握り締めて、彼は俯いたままの少女の傍にそっと歩み寄る。
きしり、と床が軋んだ音に、ユカはハッとして顔を上げた。慌てて涙を拭う彼女の隣に、トウジは何も言わずに腰を下ろす。
「…っ…?」
ぐいっと躯を引き寄せられ、力強く抱きしめられて、軽く息が詰まった。けれどその腕の感触は心地よかったし、肌に伝わる温もりは温かかった。濡れた髪をまさぐる彼の手の感触に、ユカは目を閉じる。
とくん、とくん、とさっきから耳許で鳴り響いているのは、自分の心臓の音だろうか。トウジに優しく頭を撫でられながらその音を聞いているうちに、ユカの躯からふっと力が抜けていった。先程まで頭を埋め尽くしていたものが、まるでつまらないことのように思えてくる。帰りたい、という気持ちより、もっとここにいたい、という気持ちの方が膨らんでいく。
このやさしいぬくもりを、失いたくない。
「トウジ……」
「…ん?」
「……ありがと。こうしてると、すごい安心する」
「そ、そうか」
きゅ、と背中に回されたユカの手に、トウジは今更のように顔を赤らめた。さっきはつい感情にまかせて彼女を抱きしめていたが、こうして密着した状態で少し冷静になってしまうと、押し当てられた彼女の躯の柔らかさが意識されて、咽喉の渇きを覚える。
「……い、今、風呂沸かしとるから」
そう言って、トウジはユカの躯をそっと離すと、小さな子供にするように彼女の頭をタオルで包み込み、優しく拭き始めた。嬉しそうに目を細めて、ユカはされるがままになっている。トウジの拭き方は少しばかり荒っぽくて、でもとても大事にしてくれているのが伝わってきて、胸がどきどきする。躯の中で彼への気持ちがぐんぐん大きくなって、たまらなくなる。
「ね、トウジ」
トウジが髪を拭いている間、閉じていた瞳をゆっくりと開いて、ユカがトウジを見上げた。
「んー?」
ユカの躯を拭くことに気がいっていて、トウジは彼女の瞳がとろんと潤んでいることに気づかない。
「キスしよ」
「…え?」
「キス。しよう」
そう言って、ユカはトウジの方に身を乗り出した。トウジは一瞬、ビックリしたような顔をしたが、やがて微かに頬を赤らめながら、潤んだその瞳を見つめ返して、そっと口唇を寄せる。目の前で彼女の瞼が閉じ、少し青褪めた冷たい口唇が彼の口吻を受け入れた。しばらく口唇をすり合せていたが、やがてそれだけでは物足りなくなって、トウジは少女の躯を大きなバスタオルでくるみながら引き寄せる。
「…っ…ん、ふぅ…っ……」
彼の胸の中で甘えるように鼻を鳴らすユカを、トウジはぎゅっと抱きしめた。
躯は冷え切っているけれど、口唇だけは溶けそうに熱い。想いをのせるかのように、舌と吐息が熱く絡み合う。口唇を重ねたまま、トウジの手がユカの躯を引き寄せる。膝の上に抱きかかえるようにして、トウジはユカの小さな躯をそっと抱きしめた。
この上なく大切なもの。この世で最もかけがえのない存在。今、自分の腕の中で彼女が微笑んでくれていることが、とても嬉しい。彼女なしではもう、自分は息すら出来ない。
「ユカ……」
そんな想いをのせたキスが、額や頬に絶え間なく降り注ぐ。
「トウジ、好きぃ……」
「ワシもや」
甘えるように呟いてトウジを見上げるユカの瞳が潤んでいる。その瞳を覗き込むようにしながら、トウジはユカの髪をそっと撫でた。濡れた髪はしっとりと冷たい。初めて彼女に逢った頃と比べると、少し伸びたようだ。
「…髪、けっこう伸びたな」
「う、うん」
低い声がすぐそばで囁く感触に、ユカの頬の赤みが増した。
「前はもっと短かったやろ。伸ばしとるんか?」
「……トウジ、長い方が好きかなぁって思って」
言って、ユカは少し目を逸らした。ヒカリのことを気にしていた時の名残だ。今はもう、彼女に対抗して髪を伸ばそうという気持ちはない。長い髪の感触は嫌いではないし、これはこれで色々と楽しめるけれど、正直言うと短い方が楽なのだ。
「別に無理せんでええのに。そのままで」
「そ…うなの?」
「短かった時も、可愛かったで」
髪を撫でながら、トウジはユカの耳許に口唇を滑らせた。濡れた髪の匂いが鼻腔をくすぐる。腕の中で彼女がモゾモゾと動いて、自分の顔を見上げるのが解った。唇に触れる彼女の耳の感触が、心地いい。
「ほ、ほんと?」
「ホンマや」
「嬉しい……」
耳まで紅くなって、ユカは俯いた。勝手に笑みがこぼれてきてしまう。恥ずかしくて恥ずかしくて、まともに彼の顔が見られない。
「初めてだね、そんなこと言われたの」
「ウソつけ。うちの男子とかにしょっちゅう言われとるやろ」
「トウジに、だよ。トウジがユカのこと可愛いって言ってくれたの、初めてだもん」
「せやったか?」
「うん。だから、すっごく嬉しい」
「そ、そか」
満面の笑みを浮かべる彼女に、トウジは紅い顔で頷いた。彼女が可愛くてたまらない。びしょ濡れのユカを放っておけなくてこうして家に連れてきたものの、本当はキスぐらいで済ませようかとも思っていたのだ。だが、こんな可愛いことを言われてしまうと、もうそんな悠長なことを言っていられる余裕はなくなってしまった。
頬を撫でるようにして、そっと口唇を寄せる。彼女は嬉しそうに瞳を伏せて、彼の口吻を受け止めた。トウジの指先が胸元に下り、濡れたリボンをしゅるっと引き抜く。そのままブラウスのボタンを外し、ユカの服をそっと脱がせていく。ユカはされるがままになっている。スカートを下ろし、ブラウスを脱がすと、ブラとショーツ、そして靴下だけの少女の裸身が露わになった。
外気に濡れた肌が触れて、少し肌寒さを覚える。ジャージ姿の少年の膝の上で、小さな白い躯が微かに震えているのに、トウジは気づいた。後ろからぎゅうっと彼女を抱きしめると、ユカはトウジに頬をすり寄せ、甘えるように鼻息を漏らしてキスをねだる。
再び、キス。
後ろから包み込むようにして、トウジがブラの上からユカの乳房を揉む。柔らかくふにゃりと形を変える。下から中に手を入れると、指先にぷっくりと固く尖った乳首が当たった。
「ふっ、ん、はぁぁっ」
甘やかな少女の吐息が、少年の脳髄を痺れさせる。この声をもっと聞きたくてたまらない。その想いが、彼女に対する愛おしさと相俟って、トウジに何度となく口唇を滑らせ、ユカの頬や首筋、唇にキスの雨を降らせる。
「あ……」
ユカのお尻の下で、トウジのペニスが熱く、固くなっていくのが解る。見上げた先で目が合うと、さすがに恥ずかしいのか、互いに真っ赤になって笑みを交わした。
「ひ、ひさしぶり、だね」
「そ、そやな」
恥ずかしさと、嬉しさがこみ上げる。
「いっぱい、しよ……」
甘えるような、キス。それに応えるように、トウジは歯先で挿し込まれたユカの舌を軽く挟み、ちゅうっと吸い立てていく。舌先から震えるように全身へと拡がっていく甘い痺れに、ユカは太腿をすり合せた。恥ずかしいくらい溢れ出してくるのが解る。
ブラを押し上げ、トウジはユカの乳房を両手で揉みしだいた。掌に吸い付くようにしっとりした肌の感触と、指が何処までも沈み込んでいくような信じられない柔らかさ。その芯では、沈み込んだ指先をしっかり押し返してくる弾力があって、掌の中心には固く尖った乳首が押しつけられ、形を変える。その感触を存分に味わいながら、トウジは下半身をいっそう硬くしていった。
「ふぁっ……ぁっ、…ぅふぅんっ」
胸を揉まれているだけで、ひどく感じてしまう。溢れ出す愛液はショーツを染み出し、トウジの膝を濡らした。軽く膝を揺すると、その振動がクリトリスに刺激を与え、ユカに可愛い嬌声をあげさせる。
胸を揉み、キスしながら、トウジはショーツの上から秘部に指を這わせた。そこは溢れ出したユカの愛液でもうすっかり濡れてしまっていて、薄い恥毛が貼り付き、微かに開いた秘唇の形や、ぷくりと尖ったクリトリスの場所までも、布地の上からでも解るぐらいだった。
「びしょびしょやで、ユカ」
「あっ、雨、だもんっ」
「そうか?」
雨はこんなにヌルヌルしないよな、と思いながら、トウジはユカの耳朶に口唇を寄せた。
「あ、ふぅぅぅんっ」
色んなところをいっぺんに責め立てられて、頭の中がちかちかする。
「だ、だめ…、も、イッちゃうよぉ……」
「イッてもええで。ワシ、ユカのイくとこ見たいわ」
「だめ…、そんなの、……恥ずかしいもん」
「ユカが恥ずかしがるとこ見るんも、好きやな」
ユカの感じる声を聞きたくて、快楽に溺れそうになった顔を見たいがゆえに、トウジはユカをイかせるべく、執拗に責める。ショーツの中に指を滑り込ませ、汗と粘液とで湿った淡い草むらを掻き分けながら、ぱくりと開いた秘唇を探り当てる。粘液に塗れた指先は、ほとんど何の抵抗もなく、するりと吸い込まれるように秘孔の中に入り込んだ。
「ああっ、だ、だめぇ…っ」
「ユカのここ、めっちゃ締め付けてくんで」
「ばかぁっ……」
わざといやらしいことを囁くトウジをユカは軽く睨みつけたが、彼の指が奥から出口にかけて、ゆっくりと膣襞を擦り上げるようにして蠢くと、躯の奥から溢れ出した粘液が勢い良く彼の掌に吹きかかった。
同時に、トウジはユカのお尻をのせた膝を軽く揺すり、掌から溢れ出す真っ白な乳房にぐいっと力を込めて揉みしだいた。頂点のピンク色の乳首は充血の度合いを増して色濃く変色し、倍以上に大きく膨らんで硬くしこっている。それを指先で挟んでクニクニと揉みしごくと、ユカは白い咽喉を仰け反らせて甲高い声を漏らした。
「あぁっ、だめぇ…っ」
膝を揺するトウジの動きにあわせるようにしてユカはお尻を振り、トウジの指を飲み込んだ膣襞をいやらしく蠢かせて、きゅうっときつく締め上げる。お尻を振るたびに、その下で硬く屹立したトウジの肉茎の感触がまざまざと感じられて、いっそう躯が火照ってくる。他のところはすごく優しく触ってくれる彼の指が、乳房だけは容赦なく力を込めてグリグリと揉み込んできて、そのたびに膣壁が震え、粘った蜜液が躯の奥から溢れ出して、ねっとりと糸を引きながらトウジの指に絡みついていく。
(ああっ、もう、だめになっちゃうっ…)
こんなに濡れてしまって恥ずかしいと思うのに、そう思うことでいっそう官能は激しくかきたてられて、たまらなくなる。乳房を掴んでいたトウジの掌はいつしかそこから離れてユカの頤を包み、荒い吐息を漏らす彼女の口唇をキスで塞いだ。揉みほぐされて紅い痕がついた白い乳房は二人の躰の動きにあわせて揺すぶられ、突出した乳首がその中心で激しく踊る。
脳髄まで痺れさせるような快感の奔流に晒されて、ユカは我を忘れかけていた。頭の芯まで快感に染まってぼうっとする。口唇は半開きになり、甘美な感覚に陶然となりながら、笑ったような泣いたような顔で、甘えるような鼻息を漏らし続けることしか出来なくなる。このままトウジの指がもたらしてくれる快感に身を任せてしまいたくなる。けれど、そうなったらきっと恥ずかしいくらい乱れてしまうと解るから、トウジに軽蔑されたりしないだろうかという怯えもちょっとあった。
(こわいよ、トウジ……)
一緒になって乱れるのなら、ふたりでつながっているのなら、こちらだけが翻弄されるわけではないから、まだユカの方にも反撃をしかけるくらいの余裕はある。けれど今は、ユカの躯はほとんどトウジの膝の上で身動き出来ない状態にあって、彼女の方からはほとんど手出し出来ないのに、トウジの方は彼女の躯のほとんどの部分を同時に責めることが可能なのだ。
徐々に官能でかすんでいく視界の中で、ユカは自分の淫らな喘ぎ顔をじっと見つめているトウジの顔を見て、ちょっと安心した。その黒い瞳に軽蔑の色はなくて、むしろとても優しい光があった。
(かんじても、いいの…?)
縋るように瞳で問いかけると、トウジは満足げに微笑って、そっとキスしてくれた。と同時に、膣内に挿し込んだ指を蠢かせながら、ぷくっと尖った淫核を親指で押しつぶすように擦り上げられて、ユカは一気に絶頂へと追いやられてしまった。
「…あ、あ――っ…」
躯の中心で何かが爆ぜて、ぐんっと一気に押し上げられるような感覚に、意識が遠のく。
「は……ぁっ、はぁ…っ…」
くたりとなってトウジに凭れかかるユカ。息を吐きながら細かく絶頂に達し続けている彼女を、トウジは嬉しくなって抱きしめた。何度もキスをして、彼女の快感を長引かせる。
「ふっ…ん…。…あ……」
ぼんやりとした意識の中、温かいものに包まれてうっとりとなっていたユカは、お尻の下のものがびくんびくんともどかしげに痙攣しているのに気づく。少し躯をひねってトウジの首に腕を絡め、口唇を重ねる。
「ちゅふ……ん…」
口唇の端に唾液の糸を引きながら離れたユカは、恥ずかしそうに微笑いながら、そっと彼のペニスに手を伸ばした。
「こんどはトウジの番、ね」
ジャージを力強く押し上げた隆起をそっと掌で撫でて、ユカはすっかり発情してとろんとなった笑みを口許に浮かべた。幼さを色濃く残した童顔なだけに、その表情はいっそう淫靡に映る。
「トウジも、脱いで……」
囁くような少女の声が、微かにかすれていた。欲情していると、すぐに解る。瞳が潤んで小鼻が開き、先ほどまでトウジに弄られていた股間から、蜜液をじゅんじゅんと溢れさせている。
トウジは何も言わず、ジャージとトランクスを一気に引き下ろした。とたんに、ぎんぎんにそそりたったペニスが押さえを失って勢いよく跳ね上がる。完全に勃起したペニスはキレイに皮が剥けて、露わになった亀頭は大きく傘を開いている。茎の部分には幾筋もの静脈が青筋立てて浮き上がっている。
トウジの心臓の鼓動に合わせるように、天を剥いてそそり勃ったペニスはびくん、びくんと脈動を重ね、そのたびに腹部にぶつかって、ピタピタと音を立てる。鈴口からは既に透明な粘液が溢れ出し、亀頭を覆っていた。
ユカの視線は、トウジの股間のその一点に吸い寄せられていた。
こくん、とユカが生唾を飲み込むのが解る。
「…なんか、すごいよぉ……」
どことなく上擦った声で、ユカは呟いた。
股間に感じる彼女の視線や、その欲情した面差しに、トウジのペニスはますますいきり勃つ。ぴたりと下腹部に密着して、今にもはち切れんばかりだ。
「こないだよりおっきくなってる気がするぅ……」
恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら、ユカは愛液でぬるぬるの太腿を隠すようにしていざり寄った。彼女の顔はトウジの肉棒とは文字通り目と鼻の先の距離にあって、彼女の息づかいがペニスや陰嚢にまで伝わってくる。この何日かオナニーすらしていない所為で、感覚がひどく敏感になっている。今にも精巣にたっぷり詰まった精子をぶちまけてしまいそうだ。
はぁっ、と小さく息を吐いて、ユカは火照った顔でトウジを見上げた。少年は期待のこもった眼差しで彼女をじっと見つめている。その視線が一層、少女の躯を燃え立たせる。ぐちゅ、と太腿の付け根で淫らな水音がする。耳まで真っ赤になりながら、どきんどきんと大きく高鳴る胸を押さえて、ユカはたおやかな白い指先を少年のペニスへと伸ばした。少しひんやりした人差し指と中指が、煮えたぎるように熱いペニスをそっと摘む。
「う……くっ」
そのまま動くことも出来ずに、トウジは下腹部に力を入れた。迂闊に動くと、その刺激で簡単にイッてしまいそうだったからだ。
柔らかな少女の指先、親指と人差し指と中指が、まるで楽器を奏でるような優しい動きでペニスの茎をそっと撫で上げる。少し冷たい指の腹が、熱く張り詰めた亀頭に触れる。
「くぁっ」
思わず声が漏れる。溜まりに溜まったものが躯の底から一気に駈けのぼってくる感触に、トウジは尻の穴に力を込めた。さっきから我慢していたので、正直イきたい気持ちは強いのだが、こんなところでイッてしまっては、もったいないというより情けない。
「トウジ、我慢しなくて、いいよ……ユカに一杯、出して」
可愛く笑いながらそんなことを言われると、たまらなくなってしまうと同時に、ますます簡単にイくわけにはいかない、と気を引き締める。そんなトウジを優しく見つめながら、ユカはさらに顔を近づけた。
ちゅ……っ。
少女の可憐な唇が、そっと亀頭に触れる。
その瞬間、肉棒がびくんっ、と大きく跳ねた。けれど射精はせずに、何度かびくびくと痙攣を続ける。先端からはヌルヌルした粘液が溢れ出していて、少女の唇を濡らした。
「んふっ……」
懸命に我慢する少年の姿に小さな笑みを浮かべて、ユカは再び亀頭に口づけした。今度は指も一緒に動かす。舌先は鈴口をくすぐるように蠢き、指先は大きく開いた傘に絡みつく。
そして、少女は大きく口を開くと、トウジの顔を見上げながら、少年のペニスを口に含んだ。口いっぱいに咥え込みながら、わずかに顔を上下させつつ、細い指先で陰嚢をやわやわと揉み立てる。それが愛おしくてたまらないと言うように、色白な頬は官能に紅く染まり、うっとりとした恍惚の表情すら浮かべている。
――ねぇ、気持ちいい?
そう尋ねるように、ユカがトウジを見上げる。
上目遣いの彼女と瞳があった瞬間、少年の我慢は限界に達した。
「うくぁっ!」
「んぷっ」
白くて熱い、どろどろに粘った液体が、少女の口内に噴出する。その勢いに思わず口を放したのと同時に、トウジが腰を引いてしまった所為で、溜まっていた大量の濃い精液が、放物線すら描かずに凄い勢いで少女の顔を直撃した。びしゃっ、びしゃっと音を立ててぶちまけられる白濁液を浴びて、少女は少し吃驚したような表情をする。
彼女の顔だけでなく、髪や胸元、ずり上げられたままのブラジャー、果ては太腿の上にまで、どろどろの粘液がたっぷりまき散らされた。
「あ、す、すまんっ」
「だいじょぶ。ちょっとビックリしただけ」
精液まみれの顔で、少女はいつもの可憐な笑みを浮かべた。
軽く頬を撫で、指先についた精液を、そっと唇に運ぶ。
「にが……」
ちょっと顔をしかめて、ユカはにこりと笑った。
「いっぱい出たねぇ。男の子って、しばらくしないだけでこんなにたまっちゃうんだ?」
「し、しゃあないやんか。ここんとこ、してへんねんから」
「そうなの? でも、男の子って、その……しないと、ダメなんでしょ?」
さすがに言うのは恥ずかしいのか、ユカは目を逸らし気味に言った。
「……どこで聞いてくんねん、そんなこと」
「だって、ミサトさんが言ってたもん。男の子はしないと病気になるって」
「ならへん、ならへん」
編に我慢して溜め込むより、適度に出しておいた方がいいのは確かだが、それが原因で病気になるということは滅多にない。というより、人間の躯はもともとそんなに我慢がきくようには出来ていない。
「じゃあ、なんで?」
ユカの問いに、トウジは目を逸らした。
「……ユカ、いやがるやろ」
どうやら旅館でアダルト番組を見ていた時のことを言っているらしい。自分以外の女の人でトウジが気持ちよくなるのは確かにイヤだが、それはオナニーをするなという意味ではなかった。我慢出来ないなら言ってくれれば良かったのに、と思う。でも、それは自分のことを大事に思ってくれてるからかな、とも思えて、少し嬉しい。
「え、だって……前に、あげたでしょ?」
「あー、あれか……あれ使うと、キリなくなりそうやからなぁ」
嘘ではない。実際、使ってみようと思ったことはあった。けれど、下着に染み込んだユカの体臭はいろんなものを一気に呼び覚まして、それこそたまらなくなるのだ。一晩中でも、続けてしまいそうなほどに。
「そっか……わたしのこと想って、我慢してくれてたんだ」
「ま、まあ、な……」
照れたように目を逸らすトウジ。
「…うれしい」
軽く握ったままのペニスは、少し柔らかくなってはいたが、まだ芯に固さを残している。ユカはそっと亀頭に口づけると、胸一杯に溢れている気持ちを込めて、再び舌を這わせはじめた。
「ゆ、ユカ……っ」
「いいの。わたし、トウジにもっと気持ちよくなって欲しいの」
言って、ユカは恥ずかしそうに瞳を伏せた。
「んふぅ……ふっ、んむぅっ」
かぷり、と亀頭を頬張り、舌を一杯に使って舐め回す。
生暖かく湿ったユカの口の中で、萎みかけていたペニスは再びぐんぐんと大きくなっていった。膨らんだ亀頭にユカの舌が絡みつく。ユカが可愛い鼻息を漏らしながら真っ赤になった顔を前後に動かすと、ピンク色の可憐な唇が赤黒い肉棒にまとわりつきながら上下に滑る。彼女が口の中でちろちろと舌先を蠢かせるたび、ざらっとした舌の感触が亀頭を這い回って、得も言われぬ快感を呼び覚ました。
ぴちゃっ、ちゅるっ、じゅっ、と淫らな水音が彼女の口許で響く。
「くっ……」
このままでは再び射精してしまいそうなので、トウジは反撃に移ることにした。
ずり上がったブラをまとわりつかせたまま、ユカの動きに合わせてふよんふよんと柔らかく淫らに踊る豊かな双丘に手を伸ばし、真っ白な肉の塊を掌で包み込むようにして揉みしだく。
「ふぅぅんっ」
嬉しそうなユカの嬌声。
淡いピンク色の乳輪と、その真ん中でツンと固く尖った乳首が掌を刺激する。ユカにペニスをしゃぶらせたままの姿勢なので、腰のあたりが少し辛いが、こうしていると少しは気が紛れる。
乳房を揉み回しながら、トウジは指先で乳首を探り当て、きゅっと挟んで扱きたてた。
「ふっ、く、ぁぁんっ!」
想わずペニスを口から出して、ユカが喘ぎ声を漏らす。恨めしそうに自分を見上げるユカに笑みを零しながら、トウジはさらに乳首を擦りたてた。そのたびにユカは躯を震わせ、太腿のあたりをもぞつかせる。
「ほら、口がお留守やで」
「…もうっ」
つい、と腰を動かしてそそり勃ったペニスを口許に押し当てると、ユカは軽く頬を膨らませ、だいぶ息を荒げながら再びペニスを咥え込んだ。そんな彼女の頭を空いた左手でそっと撫でながら、トウジはユカの乳首の固さと乳房の弾力を存分に愉しむ。それと同時に、股間からは頭がとろけそうな快感が駆けのぼってくる。
指先で摘んだ乳首をクリクリといじりたてると、たちまち固さを増していく。それと同時にユカの舌が口の中で踊って、一層の快感をペニスにもたらした。
「んふぅっ、んっ、ん――っ!」
トウジの左手がうなじをそっと撫でた瞬間、ユカが全身をビーンと強張らせた。トウジのペニスを口の中一杯に咥え込んだまま、彼の躯に凭れ込むようにして、ビクンビクンと何度も背中をひくつかせる。
「だ、だいじょうぶか?」
めくるめくような快感の奔流から少し立ち戻ったユカが顔を上げると、びっくりしてユカの口から肉棒を引き抜いたトウジが、心配そうに顔を覗き込んでいた。
「えへへ。イッちゃった」
「ユカ……」
照れたように、甘えるように微笑う彼女がとても可愛くて、トウジはもう一度口唇を重ねた。両の掌で少女の頬を包み込むようにしながら、舌先で彼女の舌を突ついてみる。彼女の舌がトウジの動きにあわせるように蠢き、誘うような動きを繰り返すトウジの舌に絡みついた。
「んっ……んふぅっ」
くちゅ、ちゅぷ……
淫らな水音が、二人の口の間で拡がっていく。
彼女の躯を抱き上げたトウジは、膝立ちにさせたユカの下半身から濡れたショーツを抜き去ると、再び唇を重ねながら、彼女のふっくらしたお尻を両手で掴んで揉み回した。
「……っ、…ふっ、んくぅっ」
剥き出しになって少しひんやりした下半身を、再び固さを取り戻し始めたトウジの肉棒がツンツンと突つく。その熱さと、お尻を這い回るトウジの手の動きに、一度イッたことで少しおさまりかけていた官能の炎が、再び燃え盛り始めた。じゅんじゅんと蜜液を溢れさせている秘部に、熱い肉棒が押し当てられている。けれどそれは挿入する角度ではなくて、ちょうど幹で秘裂を擦るような感じになっていた。
「…やっ、…なんか、恥ずかしいよぉ……」
大陰唇が吸い付くように肉幹に絡みつき、溢れ出した愛液で濡らしていく。お尻を掴むようにして荒々しく揉み回すトウジの動きは二人の腰を密着させ、己の胎内に埋め込まれたその熱さと固さをユカに思い出させて、たまらない気分にさせる。
片手はユカのお尻を撫でながら、もう片方の手はブラを押し上げるようにして豊かな乳房を掴み、掌で固く尖った乳首を押しつぶすように動く。そして口唇は彼女をあやすように額や頬や首筋へと動いて、あちこちにキスの雨を降らせる。
「ん…ふぅんっ…」
ユカがもどかしげに腰を動かすと、トウジは小さく微笑って少し腰を離した。
「もう、我慢できんか?」
「…いじわるぅ……」
そういって睨みつけてみても、笑みを浮かべながら頬に優しくキスされると、もうそれだけで許してしまう。
「おいで」
優しく言って、その場にあぐらを掻いたトウジは、ユカの手を引いて膝の上に跨らせた。
ぴた、とユカの秘裂に肉棒が押し当てられる。けれど、トウジはまだ入れない。ユカの腰に手を当てて秘裂の下に肉棒を押し当てるようにし、指先でヌルヌルと潤みきった秘唇を愛撫し始めた。二人が腰を動かすたびに、ぢゅっ、にちゅっ、と粘ったような水音がする。
「やぁっ、また、そんな…っ…」
「さっきイかせてもろたから、こんどはワシがユカをイカせたるわ」
「そっ、そんなぁ……」
半泣きになりながら、トウジの肩に手を置いたユカは、モジモジと腰をもぞつかせた。早く入れて欲しいのに、トウジはこのままもう一度彼女をイかせるつもりらしい。イジワルだと思うけれど、そういうイジワルをされて悪い気がしない。
「ユカ、だっこされるん好きやろ」
「好きだけど、こんなの恥ずかしいよぅ……」
「ユカのイく時の顔、めっちゃ可愛いからな。よう見たいんや」
「やぁぁ…っ…」
トウジの言葉にかあっと顔を紅くして、ユカは目を逸らした。それに構わず、トウジはユカの秘唇を指先で弄りながら、目の前でぷりゅんぷりゅんと誘うように揺れ動いている乳房に吸い付く。
「ひぁっ、ぁ、…ぅんっ」
固く尖った乳首を吸い立てると、ユカは顎を仰け反らせて可愛い声を漏らした。その声がトウジの脳髄を痺れさせる。先程イッたばかりだというのに、もうどうにもたまらない気分になる。彼女の秘唇に擦りつけているだけでは足りなくて、今すぐにでもその奥にぶち込みたくなる。けれど、それをぐっとこらえて、トウジは彼女の首筋に吸い付いた。
ふわりと鼻孔をくすぐる、彼女の汗の匂い。押えた泣き声のような、ユカの喘ぎ声が耳をくすぐる。掌に伝わる彼女の躯の柔らかさ、暖かさ。この腕で思い切り抱きしめて、存分に貪り尽くしたくなるのと同時に、そっと掌に包み込んでやりたくもなる。いまは、後者の方がより強くトウジの心を駆り立てていた。
雨は、まだやまない。
雨垂れの響く薄暗い部屋の中で、少女の白い躯が踊る。
申し訳程度の薄い陰毛で覆われた恥丘は、トウジの掌にすっぽりとおさまってしまうような小ささだ。この小さな躯で、頑張って自分を受け止めてくれるのが嬉しい。
濡れた細い陰毛をまとわせて、秘唇の手前に小さな突起がぷくりと顔を出している。愛液に塗れたトウジの指先がそれを探り当て、くりくりと擦り上げた。
「ふぁっ、んくぅぅっ」
びくんっ、と背中を戦慄かせて、ユカが甘い声を漏らした。指の腹で押しつぶすようにして擦ったり、指で挟むようにして刺激を加えるたびに、ユカは途切れ途切れの声を上げ、びくびくと躯を痙攣させる。そのたびに、トウジの掌には秘孔からどぷどぷと吐き出される粘液が降りかかり、その下の肉棒をも濡らしていった。
「どろどろやで、ユカ」
「やっ、なんでそんなこと言うのぉ…」
ぬめっとした粘液をかき分け、可愛く口を開いた秘孔に指先を伸ばした。ちゅぷちゅぷといやらしい音がして、潤んだ粘膜が指先に絡みつく。トウジの肩にすがりついたユカの口許から漏れる熱い吐息が、耳許をくすぐる。
指先を挿し込むと、待ちかねたように粘膜がまとわりつき、きゅうきゅうと締め付けてきた。親指でクリトリスを転がしながら、膣内に挿し込んだ指をゆっくりと前後に動かすと、ユカが甘い鼻息を漏らした。モゾモゾともどかしげに蠢く腰をそっと押えて、首筋に唇を滑らせる。ユカの手がトウジの背中に回され、甘えるように鼻先が擦りつけられた。
密着するその動きが秘唇に押し当てられた肉棒に伝わり、いっそう硬く張りつめながらビクビクと何度も震える。それはユカにも伝わって、二人の距離は縮まっていった。切れ切れの吐息が二人の間で溶け合い、それがどちらのものかも解らなくなる。
どちらからともなく唇を貪るように吸い、舌を絡め合い、互いの唾液を啜る。
喘ぎ声と吐息が絡み合って頭の中に響く。
ぢゅぷっ、にちゅっ、と淫らな音を立ててトウジの肉棒がユカの秘唇を擦り立てる。
まだ繋がっていないのに、もう繋がっているような感覚。
トウジの掌が、躯中を包んでくれるような錯覚を覚える。躯の奥から湧き起こってくる奔流に突き上げられるようにして、一気に意識が押し流されていった。頭の中が白く、白く塗りつぶされていく。
「あ、あぁ――っ」
彼にしがみつくようにして、呻くような長い声を漏らしながら、ユカは立て続けに絶頂を迎えた。
きつく抱きしめた彼女の躯がびーんと張りつめ、そのまま何度も小刻みに痙攣したその瞬間、トウジも絶頂を迎えていた。亀頭を彼女の秘唇に押し当てたまま、熱い粘液を噴出させる。
お腹の上にどろっとした精液がぶちまけられるのを感じながら、ユカは荒い息の下で嬉しそうに笑みを浮かべた。逞しい彼の腕が力強く抱きしめてくれて、お腹に押し当てられた硬いものが何度もヒクヒクと痙攣しながら、未だに熱い粘液を噴出している。まだ繋がっていないけれど、それを不満には感じないくらいの一体感を覚えていた。
つづく
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あとがき
ずいぶんと久し振りの全編18禁です(^^ゞ
しかもまだ半分なんだな、これが。欲求不満だったのは実は私だったりして。えっちシーンにはいると筆が走る走る。それほど出来も良くないけど、随所にしょーもないこだわりが(笑)。
とりあえず今回のコンセプトは入れずにねっとり風えっち。なんだそれって感じですが。まあ、久しぶりということで、あの中学生二人にはとことん燃えまくってもらうことになりました。でも、書いてみるとあんましやらしくないなぁ。うーむ。これ、使えるのかしら``r(^^;)。
いい加減、本編ものらしいとこも書かんとなぁ。アスカもまだ出てこないし。出したら出したでイロイロ大変そうだけどね、あの子。ふぅ…。
ともかく頑張ります、はい。