涼 子  【4】
 涼子の震える手が、フレアースカートのチャックにかかったまま、いつまでも動かない。
「ああ……やっぱり……やっぱり、できない……」
 うっすらと涙を浮かべて、澤田を見る。
「ははは、そんなに緊張しないでくださいよ……わかりました、脱がなくてけっこうです」
 涼子は許してもらえるのかと、ほっとして両手を降ろしたが、もちろん澤田にはそんな
つもりは毛頭ない。
「スカートをはいたままでけっこう。そのままの格好で、床に座ってください」
「……あ……はい……」
 てきぱきと指示を出す澤田に操られたように、涼子は言われるがまま、絨毯の上に膝を
抱えるようにして腰を降ろす。
 澤田はソファから立ちあがり、涼子の真正面にデンとあぐらをかいて座る。
「脚を開いて」
「……っ」
涼子の身体がビクっと震え、顔がさっと赤く染まる。
「どうしました、なんならわたしが手をかしましょうか?」
「い……いえ……じ、自分で……」
 か細い声で言い、少しづつ、足の裏をすべらせるようにして、肩幅程度まで両脚を開い
ていく。
 羞恥に身を震わせながらも、涼子はスカートの丈が長かったことにひそかに安堵する。
事実、脚を開いたものの、澤田にはまだ何も見えていなかった。
 しかしそんなささやかなよりどころも、澤田の一言であっけなく壊されてしまう。
「よろしい。では、スカートを膝までまくりあげてください」
「ああっ、そんな……」
 思わず絶望的な声が出る。それでも、澤田にまくられるよりはと、震える手でスカート
の端を掴む。
「くぅ……いやあ、は、恥ずかしい……」
 固くまぶたを閉じ、膝に顔をうずめるようにして、じわじわとスカートをたくしあげる。
「ほうら、がんばって。膝までですよ」
 澤田の脳天気な励ましのなか、涼子にとっては気が遠くなるほどの時間がたち、ついに
純白の下着があらわになった。
「……」
 祈るような思いで、もういいと言われるのを待つが、いっこうに澤田の声が聞こえてこ
ない。
 ――どうしたのかしら……お願い、はやく、はやく……
 一方澤田は、目の前のふっくらとした逆三角形の膨らみに釘付けになって、言葉を失っ
ていた。
 ――こりゃ、たまんねえや。
 ごくりと生唾を飲みこみ、魅惑的なその部分に、鼻息がかかりそうなほど近くまで顔を
寄せる。うっすらと漂う女の匂いが鼻孔をくすぐり、一瞬にして下腹に力がみなぎる。
「あ、あのっ……」
 どのくらいの時間が経ったのかわからない。ついに黙っているのに耐えかねて、涼子は
恐る恐る澤田に声をかけた。
 涼子はあまりの惨めさに、泣きだしそうになっていた。
 昼の明るい室内で男の目に自ら下着をさらしている自分が、信じられない。
 しかも、股間には絶えず荒い息がかかり、膝に顔を埋めて固く目を閉じていても、澤田
がその部分を凝視しているとわかってしまう。
 脚を閉じてしまいたい衝動に駆られるが、今閉じては、澤田の頭を挟みこむ格好になっ
てしまい、今以上に屈辱的だろう。
「ま……まだですか」
 搾り出すように、再び口を開く。
涼子の言葉で、我を忘れて股間に見入っていた澤田ははっと我に返り、体勢を元に戻す。
ひとつ深呼吸して荒くなった呼吸を整え、次なる残酷な指令を言い渡す。

「では次。パンティを横にずらして、オマンコをじかに見せてください」


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