涼 子  【5】
「そ……そんな」
 涼子は澤田の言葉に声を失う。死ぬ思いで下着を見せたのに、夫にしか見せたことのな
い、その下の秘めやかな箇所まで見せろとは。
「奥さんが脱ぐのはいやだとおっしゃるから、ずらすだけでけっこうだと言ってるんです」
 澤田はそんな涼子の狼狽ぶりを無視し、つらっとして恩着せがましい言葉を吐く。
 たとえ脱がなくとも、それでは変わらないではないかと、涼子の目の前が真っ暗になる。
「さっき奥さんが自分で言ったんでしょう、オマンコを見てくださいって。あの言葉はう
そだったんですか? ならわたしはこのまま帰らせていただきますが」
 実際には涼子がそんなことを言ったわけではないのだが、涼子にもう反論する気力はな
い。
 ここまでしたのに澤田に帰られてしまっては元も子もないと思ってしまい、立ちあが
りかけた澤田にすがるように言う。
「ああ、ごめんなさい、しますから、言われた通りにしますから……」
 ぞくぞくするような色っぽい表情で懇願された澤田は、内心さっさと押し倒し、ぶち込
んでやりたくてしょうがないのだが、ここはあくまで冷静を装うことに専念する。
「言われた通りにする、じゃないでしょう。奥さんが、見せたくて見せるんでしょう?」
 この様子なら、多少無茶を言っても通りそうだと踏んで、涼子が自分から淫らな言葉を
口にするよう仕向ける。
「ああ、そうです……あの、あの……どうか、見て、くださいぃ……」
 不条理だと思いながらも、どうにか澤田の機嫌をとろうと、死ぬ思いでおねだりの言葉
を紡ぎだす。
 しかし、澤田は容赦なく涼子をさらなる恥辱へと突き落とす。
「何を見て欲しいんですか? ちゃんと言わないとわかりませんよ。お願いします、どう
か、わたしのオマンコを見てください、でしょう」
 露骨な淫語に、涼子は耳朶まで真っ赤になって唇をきゅっと噛み締める。
 澤田はあぐらをかいたまま顎に手を当てて、そんな涼子をぎらぎらした目で見詰めてい
る。
 やがて震える唇が、わずかに開く。
「どうか、わたしの……」
「わたしの? さあ、わたしの、なんです?」
 淫語の手前でくちごもってしまった涼子に、励ますような口調で先を促す。
「……オ、オマンコを見てください……いやああっ」
 自分の言った言葉が信じられず、顔に両手を当てていやいやする涼子。
「奥さんがそこまでおっしゃるのでしたら、いやらしいオマンコをじっくり見せていただ
くことにいたしましょう」
 もっともらしい顔でうなずき、真っ白い布切れで覆われた魅惑的な膨らみを凝視する。
「さ、どうぞ」
「あ……あ、ああ……」
 左手で真っ赤な顔を隠したまま、涼子の右手が羞恥に震える太股の付け根に降りていく。
 白魚のような指が、どうにか下着のふちにたどりつく。
「さあ」
 再び促された涼子の右手が、意を決したように横に動く。

 そして、ついに羞恥の源泉が澤田の前にあらわになった。


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