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川口先生は生徒達を見渡すと、教卓に手を置き、話を始めた。

「今日で試験も終わりです・・・・・みんな、頑張ったわね・・・・・」
川口先生の顔に、微笑みが浮かんだ・・・・・一平は周りを見回した。
男子生徒たちは、まるで何かに酔ったような表情で・・・・・そして、女子生徒たちは、憧れを含んだ視線で、教壇に立つ川口先生を見つめている。
「今回、皆さんにアンケートを受けてもらいました」
川口先生が言い、一平は記憶をたどった。
そう言われてみると、昨日の英語の試験の後、川口先生はアンケート用紙を配り、クラス全員に記入させていた。
その質問内容は、授業とは全く関係のないものだと一平は思ったのだが・・・・・。
「望月君?」
「はい」
川口先生は、一平に視線を向けた。
「ちょっと残ってくれるかな?」
なぜだろう・・・・・一人残されることに、一平は戸惑いを感じていたが、川口先生は、
「それでは、終わります」
「起立!」
日直が号令をかけ、生徒たちは立ち上がり、礼をする。
着席の号令で椅子に座ると、皆が帰り支度を始めた。
そんなみんなの様子を見ながら、一平はため息をついた。
それじゃあな・・・・・またな・・・・・一平、何をやったんだ?・・・・・クラスメイトたちが、一平に声をかけながら帰っていく。
川口先生は、微笑みを浮かべながら、その様子を見つめていた。
そして・・・・・生徒たちは教室を出て、教室の中は一平と川口先生の二人だけになった。

「さて、望月君・・・・・?」
川口先生が、一平に呼び掛けた。
その声は、いつもの声と変わらない。
一人残されて、怒られるわけではないらしい・・・・・一平は、少し気が楽になった。
「あのアンケートは、適正を調べるためのアンケートでした」
適正・・・・・一平は意味がわからず首をかしげた。
あのアンケートで、何の適正を調べていたのだろう・・・・・?
「このクラスは男子と女子では、男子が二人多いわね・・・・・では、どうするか?」
川口先生は、悪戯っぽく微笑んだ。
「二人のうち一人を、女の子にすれば、ぴったりになる・・・・・♪」
そのための適正を見るアンケートだったのよ・・・・・望月君がぴったりだったから・・・・・川口先生の言葉は、一平の理解の範囲を越えていた。
これって、僕に『女の子になれ』ということなのか・・・・・?!



冗談だろう?・・・・・先生は僕の事をからかっているんだ・・・・・。
「先生・・・・・? 冗談を言うなら・・・・・」
もっと上手に・・・・・そう言おうとして、一平は言葉を飲み込んだ。
頭がムズムズする・・・・・右手を頭にあててみると普段と、は髪の毛を触った感覚が違う・・・・・そして何よりも、触った髪の毛が伸びている。
いつの間にか髪の毛は、一平の耳を覆っていた。
驚いてポカンと口を開けた一平の唇は厚みを増して、艶やかな唇になった・・・・・一平自身は、気がついていないのだが・・・・・。
それと同時に、目がパッチリとして、睫毛が伸びていく。
「アッ?!」
一平が思わず声をあげた。
胸からの強い刺激が、一平の脳細胞に伝わった。
驚いて視線を胸元に向けると、制服の胸がふんわりと膨らんでいる。
そしてズボンのお尻の部分が、はち切れそうなほどに膨らんでいる。
足は自然に内股になっていた。
自分に起きた状況が理解出来ずに、呆然としながら身体を見下ろしている一平に、更に変化が起きる。
胸に出来たばかりの柔らかい膨らみを、『何か』が包みこんだ。
それに合わせるかのように、穿いていたトランクスが肌触りの良い生地に変わり、膨らんだおしりや股間部分をぴったりと包みこんだ。
あるはすのものがなくなった感覚・・・・・それによって一平は今、自分に起きている変化を、ようやく理解しつつあった・・・・・認めたくはないのだが・・・・・。
カッターシャツは、丸襟のスクールブラウスに変わり、青色のボウタイが結ばれた。
次の瞬間、
「?!」
一平の足が直接、教室の空気にさらされた。
左右の足を包みこんでいたはずのズボンのトンネルは一つに繋がり、どんどん短くなっていく。
信じられないといった表情で、その光景を見守る一平の目の前で、ズボンはプリーツスカートに変わり、そこから白い足が伸びていた。
「そんな・・・・・」
一平は自分の声とは思えない『可愛らしい声』で呟きながら、細い指で自分の頬に触れた。
柔らかく滑らかな肌触りの『自分』の頬・・・・・これではまるで・・・・・?
そう思い、改めて自分の身体を見下ろした。
そこに見えるのは、女子の制服に身を包んだ女の子の身体だ。
冗談だと思っていたのに・・・・・自分でも気がつかないうちに一平は、その場に座り込んでしまった。
その座り方が、『女の子座り』になっているなどとは、一平は知るよしもなかった。





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