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気まぐれTSF 

(第2話)

作:逃げ馬



『待ってました!!!今後も楽しみです!!』

投稿ボタンを押すと、書いた書き込みが投稿された。

「よし!」

掲示板に投稿されたのを確認すると、青年はプラウザを閉じてパソコンの前を立った。
部屋の窓にかかるカーテンを開けて外を見る。
青年はTSF小説のファン。
いろいろなサイトで、小説を読むのを楽しみにしている。
そして、書き込みを残すことで作家を応援している。
作家さんを応援しないと、楽しみにしている小説がなくなってしまうかもしれない・・・・・GIVE&TAKE、作家さんにとっては燃料かな・・・・・窓の外の景色を見ながら、彼はクスリと笑った。
燃料・・・・・そう、ちょっとお腹が減ったな。

「燃料補給をするか?」

青年は机の上に置いていた財布を手にすると、ダウンジャケットを羽織って部屋を出た。



コンビニで菓子パンとコーヒーを買って、青年は店を出た。
ちょっと冷えるな・・・・・ダウンジャケットを着て良かった・・・・・空を見上げると、夜空にきれいな月が浮かんでいる。
数日前には『スーパームーン』が見れたようだが、天気の良い今夜の月も美しい。
その分、今夜の冷え込みはきつくなりそうだが。
青年は、コンビニで買ったコーヒーを両手で持っていた。
最近のコンビニでは引き立ての香りの良いコーヒーが飲める。
こんな寒い夜には、本当にありがたい。

さあ、帰ったらもう少しネットをチェックしてみるか?・・・・・そう思い、通りを曲がった。
「・・・・・?」
ずいぶん薄暗いな、出かけた時には街灯が・・・・・?
「ありゃ?」
電柱に取り付けられた街灯が、まるでウインクでもしているかのように点滅している。
最近はLEDの街灯が増えているが、ここは昔ながらの蛍光灯だったんだな・・・・・明日、役所に電話するか? そう思いながら再び歩き出そうとした時、青年はその明滅する光の中に、信じられないものを見た。

「服が・・・・・浮いている?」

青年の視線の先には、女性の衣服が、まるで青年を誘うかのように浮いていたのだった。



だめだ、TSF作品を読みすぎて、女子の制服の幻を見るなんて・・・・・青年は目をこすり、再び視線を道路に向けた。
しかし・・・・・彼の視線の先には、やはり女子学生の制服があった。
濃紺のブレザーと、純白のブラウス。
ピンク色のリボンタイ。
ブルーのチェック柄のプリーツスカート。
濃紺のハイソックスと、ローファーの革靴。
スクールバックと、髪をまとめるらしいシュシュ。

しかし、それを着ているはずの『女子学生』の姿は見えない。
まるで透明人間が制服を着ているかのように、点滅する街灯の下にそれはあった。
あまりに現実離れした光景に、青年はその制服をじっと見つめていた。

そして・・・・・。
それは突然・・・・・。



「?!」

女子学生の制服が、こちらをめがけて飛んでくる?
確かにTSF小説ファンだが、この状況は不気味すぎる。
逃げなければ・・・・・そう思うのだが、不思議なことに体が動かない。
視線を戻せば、制服はすでに目と鼻の先に迫っていた。
叫ぼうとするのだが、声を出すこともできない。
次の瞬間、あたりは閃光に包まれていた。

「ここは・・・・・?」
意識が戻った青年は、あたりを見回した。
そこは色とりどりの光が輝く空間だ。
「いったい何が・・・・・?」
コンビニからの帰り道に、街灯の下で女子学生の制服が空中に浮かんでいた。
それが迫ってきて・・・・・?
そして今は、自分が立っているのか寝ているのかすらわからない空間にいるわけか?
いったい何が起きているんだ・・・・・小さくため息をついた青年は、信じられない光景を見た。
着ていたダウンジャケットやジーンズ・・・・・着ていた衣服が光の粒になって消滅したのだ。


「なんだよ?!」
思わず叫び、『大事なところ』を手で隠してしまった。
もちろん、ここには青年の様子を見ている人はいない。
だが、そこに存在しているものはあった。
「あっ?!」
あの街灯の下で浮かんでいた女子学生の制服。
それが、この空間で青年に向かって飛んでくる。
青年は逃げようとした。
しかし実際には、まるで突っ立ったままのような姿勢で、睨むような視線だけを制服に向けていた。
こちらに女子学生の制服を着た透明人間が走ってくる…そう感じていた青年だが、制服の中から何かが分離をして、青年に向かって飛んでくると、足と胸のあたりにまとわりついた。


「クソッ?!」
男である自分の身体に、ブラジャーとショーツを『着せられている』という状況に、青年は怒りを感じた。
男性であれば『女性の下着』に興味がないといえば、ある意味では嘘になるかもしれない。
しかしそれは、あの女性独特の身体のラインに身につけられているからだろう。
男性の『ごつい』身体に華やかな女性の下着を着せられれば・・・・・たとえTSF小説のファンであっても怒りを感じるだろう。
しかし、彼の身体には、彼の気持ちなど無視するように変化が起き始めていた。
青年は胸に、くすぐったいような感覚を感じた。
男の平らな胸を包み込んだブラジャーの中で、青年の乳首の色は鮮やかなピンク色に変わり、ピンと突き出ると、倍ほどに大きくなった。
それに合わせるように、乳首の下では乳腺が発達し始めて『しこり』のようなものが出来て、胸が思春期を迎えた女の子のように膨らみ始めていた。
ショーツが足から股間に向かって上がってくる。
ショーツが通りすぎた後の青年の足からは無駄毛が消え失せて、自分のものとは思えない白い肌になっていた。
ショーツが青年の股間とお尻を包み込んだ。
途端に青年は、例えがたい『疼き』を感じた。
しかし今の青年は、自らの意思では腕を動かすことも出来ない。
青年の股間には当然ながら男性特有の膨らみがある。
しかし今、疼きとともに膨らみが少しずつ小さくなっていた。
逆に、ショーツに包まれたお尻は、少しずつ大きくなり美しいラインを作っていく。
疼きを懸命に我慢する青年の足は、いつの間にか両膝を合わせるように内股になっていた。
太ももからは筋肉が消えて柔らかい脂肪がついて、ふくらはぎは引き締まっていく。
青年が疼きを堪えようと身をくねらせた・・・・・それは自らの意思で動かしているのか、それとも『何者かの力』によって動かされているのかは確かめることは出来ない。
しかし確かなことは、青年が身体を悩ましそうにくねらせる度に、青年のウエストが細くなり、女性のような『括れ』が出来つつあることだ。



自らの身体の内側から沸き起こる『疼き』に懸命に耐えている青年の肉体に、更なる変化が起き始めた。

目のまわりの筋肉がピクピクと痙攣し始めると、可愛らしい大きな瞳に変わってしまった。
睫毛が伸び、大きくなった瞳に更なる魅力を加えていた。

鼻がずっと高くなり、肌の色が白くなった首筋が細くなり、男性特有の喉仏が少しずつ小さくなるとついには、まるで溶けるように消えてしまった。
「・・・・・?」
疼きに懸命に抗う青年の口から、思わず呻き声が漏れた。
高く澄んだ声・・・・・それを聞いた人は誰も『男性の声』とは思わないだろう。
声が漏れる唇に、光がキラリと輝いた。
光が消えると、そこにはふっくらとした艶やかな唇があった。
顎のラインも、すっきりとして細くなった首と共に美しさを増している。

青年の・・・・・まだ男性と言えるのかは微妙だが・・・・・髪の毛が伸びていく。
青年は気がついていないが、彼本来の髪の毛よりも細く艶やかな黒髪になり、肩にかかるほどに伸びていった。

股間からは既に『男性特有の膨らみ』は、すっかり消え去っていた。
膨らみかけであった胸の膨らみは、今では大きな隙間があったEカップのブラジャーの中をすっかり満たしていた。

そして・・・・・?



まず、宙に浮いているブラウスの中から何かが現れ、青年の上半身を包んだ・・・・・それは、女性が着るキャミソールだった。
青年がキャミソールを着ると、それを待っていたかのように、フワフワと浮かんでいた真っ白なブラウスが、青年の上半身を包み込んだ。
筋肉が落ちた細い腕を柔らかなブラウスの袖が隠していく。
足元からは、スカートが上がってきた。
足首から膝へ。
そして、白く柔らかな太ももを優しく撫でながらショーツに包みこまれたヒップを隠すとウエストでひとりでにホックが留まり、ファスナーが上がっていく。

「・・・・・?!」

すっかり変わった青年の可愛らしい唇から、悩ましげな声が漏れる。
スカートのファスナーが上がるのと同時に、股間にあった青年が慣れ親しんだものはすっかり消え失せ、代わりに女性特有の『溝』が産み出された。
白い足には紺色のハイソックスとローファーの革靴が履かされた。
そして、仕上げとばかりに青年の胸元に、リボンタイが結ばれた。
青年が無意識のうちに右手を伸ばす・・・・・宙に浮かんでいたスクールバックを掴んだ次の瞬間・・・・・。

「・・・・・?!」

体がどこかに落ちていく。
青年は叫ぶ間もなく、尻餅をついた。



「イタタッ・・・・・」

青年は顔をしかめながら右手をお尻にあてようとしたが・・・・・。

「エッ・・・・・?!」

何か『柔らかい物』を触っているような感覚が掌に伝わってくる。
そして、お尻からは『触られている感覚』が・・・・・?
青年は驚いて立ち上がった。
立ち上がった瞬間、太ももから『何かが肌を撫でる感覚』を感じて、思わず甘い吐息を漏らしそうになるのを堪えた。
視線を足に向けると・・・・・?

「スカート・・・・・?」

ブルーのチェック柄のプリーツスカートから、白い健康的な脚が伸びている・・・・・なかなかの『美脚』だ。
否、今は美脚に見とれている場合ではない。
そもそも男性である青年がスカートを穿いた『美脚』であることがあり得ないではずではないか?
知らない間に『女装』をさせられたのか?・・・・・御丁寧に『足の脱毛』までサービスされて?・・・・・青年は腹をたてていた。青年はTSF小説のファンだ。『女装』は、ちょっと・・・・・?
そう思っていた青年の思考を吹き飛ばすような光景が、青年の視界に飛び込んできた。

「胸がある・・・・・?!」



青年の着ている制服の胸の辺りが、なだらかに膨らんでいる。
そして、胸には『何かが胸を締め付けている感覚』を感じていた。
これは、もしかすると・・・・・?
それだけではない、膨らんだ胸元には、清潔な白いブラウスの上に、ピンク色のリボンタイがあり、校章の入った濃紺のブレザーと、青いチェック柄のプリーツスカート・・・・・?

まさか?!

青年は首を左右に振って、部屋を見回した。
首を動かす度に、彼の首筋を何かが撫でる・・・・・髪の毛が伸びたのか?
彼の視界に入ってくる見慣れたはずの『自分の部屋』は、すっかり雰囲気が変わっていた。

そして・・・・・。

「アッ?!」

青年が、ネットサーフィンをしながら読んだTSF小説では定番のアイテム・・・・・姿見が、何故か自分の部屋にあった。
そこに映っているのは、ダウンジャケットとジーンズ姿の青年ではない。
ブレザーと太ももの半分ほどの丈のブルーのチェック柄のプリーツスカート・・・・・そして、濃紺のハイソックスを身につけた『女子高校生』だった。
姿見に映る自分の姿を見た青年の、心臓の鼓動が速くなり、呼吸も浅く・・・・・速くなる。
青年は、ブレザーのボタンを自分のものとは思えない白く細い指で外していく。
男女で異なるボタンの留め方に戸惑いながらも、ボタンを外してブレザーを脱いだ。
ブレザーを脱ぐと、クリーム色のベストの胸の辺りが大きく膨らんでいた・・・・・ブレザー越しに見るよりも、その形は良く分かる。
青年はゆっくり両手を動かし、そして・・・・・胸にあてた。
掌に、弾力と重みを感じ、青年の胸・・・・・青年と呼ぶのが相応しいかは、わからないが・・・・・からは、『胸を触られている感覚』が伝わってくる。

そして・・・・・。

「アッ?!」

青年は可愛らしい唇から、甘い声をあげ、その声と胸から伝わってきた感覚に驚いた。
そう・・・・・青年は両手で自分の胸を揉んだのだ・・・・・。

「胸が・・・・・ある・・・・・」

TSF小説では『お約束』の言葉を呟き、思わず甘い吐息を漏らし、頬を赤らめた・・・・・知らない人が見れば、『女子高校生が恥じらっている』と思うだろう・・・・・それは、この後の行動を見なければの話だが・・・・・。

「よし!」

青年は両手でスカートの裾を掴み、ゆっくりと持ち上げた。
白い太ももが・・・・・そして、ショーツに包まれた股間が露になっていく。
そこには、ついさっきまで『慣れ親しんだもの』の痕跡は全くない。
青年は思わず、右手をスカートの中に突っ込んで、掌を股間にあてた。

「ない・・・・・無くなっている?!」

思わず叫んだ青年の意識は、ショックのあまり、そのまま遠退いていった。



窓にかかるカーテンの隙間から、朝の陽射しが部屋に差し込んでいる。

やがて、ベッドの脇に置かれたテーブルの上で、目覚まし時計が鳴り始めた。
囁くような電子音が、時間だ経つにつれて大きくなってくる。
部屋中に響く音で鳴り始めると、ようやく布団の中から白い腕を伸ばして目覚まし時計を探し始めた。
鳴り続ける目覚まし時計を、ようやく探し当てるとスイッチを切り、細い腕は布団の中に戻ってしまった。
しばらくすると・・・・・。

「ファ〜ッ・・・・・」

布団の中から、ピンク色のパジャマを着た女の子が起き上がった。
そう・・・・・起き上がったのだが・・・・・。

「・・・・・?」

体を起こした青年は、自分の体に不思議な感覚を感じた。
体のバランスが変だ。
否、それよりも胸に重みを感じる・・・・・それに毎朝、股間から感じた・・・・・?
その瞬間、青年の脳裏に昨夜の出来事が甦った。
視線を落とせば、ピンク色のパジャマの胸の辺りは、やはり膨らんでいる。
それにTSF小説は好きだが、女性用のパジャマを着て眠らない。
途方にくれた青年は、大きなため息をついた。
そのため息が、『かわいらしい女の子』を感じさせ、青年はさらに落ち込むことになったのだが。



『女の子のパジャマを着た青年』・・・・・と言っても、その姿は年頃の女の子の姿だが・・・・・が、スローモーションのような動きでベッドから足を下ろして立ち上がった。
身体を少しでも動かすと、強烈な『違和感』を感じてしまう。
青年は懸命に耐えながら、ゆっくりと部屋を見回した。
見慣れた部屋は、雰囲気が変わっていた。
部屋の構造が変わった訳ではない。
今、青年の視線の先にある姿見もその一つだが。部屋に置いてある物。つまり青年の持ち物が、『年頃の女の子のもの』に変化しているようなのだ。
まず、窓にかかっているカーテンが、パステルカラーの華やかなデザインに変わっていた。
家具も、明るい色合いの木目調の物に変わっている。
数日前に買ったコミック誌は、何故かティーンファッション誌に変わっていた。
クローゼットを開けると、ブラウスやスカート、華やかなデザインのワンピースなど、女の子の服が並び、引き出しを開けると、まるで『お花畑』のように『女の子の下着』が並んでいる・・・・・青年がインターネットのTSF小説で何度も読んできた『お約束の状態』になっている。
青年は、机に歩み寄った。
彼・・・・・今の姿では『彼女』と呼ぶべきだが・・・・・が昨夜コンビニへ出かける前まで使っていたパソコンは、白いノートパソコンに変わり、その脇には『女の子らしく』小さな花瓶に花が飾られている。
そして青年は、パソコンの横に置かれた『学生証』を手に取った。
そこには、女の子の澄まし顔の写真が貼り付けてある。
姿見に視線を向ける・・・・・困惑した顔で、パジャマ姿の女の子がこちらを見ている。
再び学生証を見る・・・・・姿見に映る女の子と『同じ顔』・・・・・本当に僕は女の子に ? 17歳・・・・・高校2年生の女の子になったのか?
『玲奈』と書かれた名前を見ると、青年は不思議な感覚を感じていた。



17歳の女の子の姿になった青年が、微かにその身体を震わせた。
この感覚は、何だろうか?・・・・・青年は考え・・・・・そして導き出した答えに・・・・・そんな馬鹿な、僕は『男』のはずだ・・・・・自分で出したその答えを頭の中で否定した。
青年は視線を学生証から、姿見に移した。
ピンク色のパジャマ姿の女の子・・・・・パジャマ姿でも、『美少女』と言ってもよい魅力的な姿・・・・・それが今の僕、『玲奈』なんだ・・・・・そう思った瞬間、再び背筋を『あの感覚』が駆け上がってきた。
青年は、歯を食いしばって声をあげそうになるのを堪えた。

このままでは駄目だ・・・・・しかし、この姿でどうすれば・・・・・? 途方にくれかけたその時、玄関のチャイムが鳴った。





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