「・・・よし、もう大丈夫だろう」
あなたは呟くと、座っていた芝生から腰を上げた。
生垣から頭を出し、周りの様子を見る・・・幸い、誰もいない。
あなたは道に出ると、歩き始めた。
時々周りに視線を走らせ、誰も追ってこないか様子をみる。
「・・・まるで“逃げる泥棒”だな・・・」
思わず苦笑いする。
今のあなたには、鳥のさえずりも聞こえない。
きれいに咲くコスモスの花も、赤く色づいた紅葉も目には入らない。



『逃げ切る』



今はそれに集中しているので、視界には入っていても、脳では認識をされていないのかもしれない。
「・・・?!」
あなたは何かを感じた。
ふと、後ろを振り返ると・・・?
「くそ!」
思わず叫ぶと同時に、走り出すあなた。
後ろからはセミロングの髪を靡かせながら、“鬼”があなたを追ってくる。
男性であるあなたが必死に走っているのに、若いとは言っても女性であるはずの“鬼”は、微笑みさえ浮かべながら猛スピードで走り、あなたとの差を確実に詰めてくる。

「チッ!」

思わず舌打ちをするあなた。
道が二つにに分かれている。 T字路だ。





                               <左へ行く>         <右に行こう>
















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