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秋の日差しが降り注ぐ公園。
今年の夏は暑さが厳しかったとは言っても、さすがに11月になると朝夕は冷え込みが厳しくなってきた。
緑色の芝生も、ところどころ枯れて黄色くなっている。
公園内の所々に植えられているイチョウや紅葉は黄色く色づき、木によっては赤く紅葉している。
花壇では色とりどりのコスモスが風に揺れている。




しかし・・・どこかおかしい。
すでに太陽は真上に来ているというのに、この広い公園には人の気配が全く感じられない。
それどころか、公園の前を走る広い4車線の道には、車が全く走っておらず、公園の前のバス停に並んでいる人もいない。
ときどき、鳥のさえずりや風が木立を揺らす音が聞こえるだけだ。
誰もいない公園・・・そこで『人生を変えるゲーム』が始まろうとしている。







変身中


秋の公園編

作:逃げ馬








あなたは戸惑っていた。 懸命に自分の記憶をたどる。

夜、あなたは自分の部屋にいた。
いつものように夕食を終えると自分の部屋でパソコンを立ち上げた。
いつものようにネットサーフィンをしていると、あるホームページを見ているときに突然、画面にスーツを着た美しい女性が現れた。
そう・・・そして彼女は微笑みを浮かべながらこう言ったんだ。

「そんなに女の子になりたいの?」

次の瞬間、ディスプレイが壊れたのではないかと思うほどの強烈な光があなたを包んだ・・・そこまでは覚えているのだが・・・?

「どこだよ・・・ここは?」
どうやら公園のようだ。 芝生の上に置かれた木製のベンチで、あなたは眠っていた・・・眠っていた? 夜、自分の部屋にいたはずなのに? 今は昼間だぞ?
体を見下ろすと、服装は部屋にいた時のままだ・・・しかし右腕の手首には、自分のものではない四角いデジタル時計・・・いや、タイマーだろうか? それがカウントアップをしている。
ポケットには公園の地図まで入っている。
さて・・・とにかく家に帰ろう・・・そう思った時、ポケットに入れていた携帯電話からメロディーが流れてきた。
メールだ。
見たこともない差出人で気味が悪かったが、開けてみた。
「?!」
あなたは内容を見て、頭が真っ白になった。





通達

これよりゲームを始める。
公園内には4人の“鬼”が、諸君たちを確保するために捜索をしている。
諸君たちは公園内で“鬼”から60分間逃げ切らなくてはならない。
公園内の出入り口は封鎖されており、公園外への脱出は不可能だ。
諸君たちが“鬼”に確保された場合は、罰ゲームとして今後は女性として人生を送らなければならない。
成功を祈る。







「女性として人生を送らなければならないって・・・?」
どうやってやるんだよ・・・そう毒づきたいあなたの前に、
「うわ〜〜〜?!」
叫び声が聞こえると同時に、頭の禿げた中年太りの男が必死の形相で走ってくる。 あなたはとっさに生垣の陰に隠れ、木の葉の間から様子を見つめている。 それがこの場合は幸運だったのだが・・・。
男はゼイゼイと息をしながら必死に走っている。その後ろからは・・・。
「?!」
あなたは目を見張った。
黒いスカートスーツを着た美しい女性が髪をなびかせながら、猛スピードで男を追って走ってくる。
彼女は右手をポケットに入れると、何かを取り出した・・・カード?
あなたの目には、ミニスカートを穿いたアイドルのプロマイドのように見えた。
彼女が見る見るうちに差を詰めて男に追いつく。
「ヒエ〜〜?!」
男の絶叫と、彼女が手にしたカードを男の背中に張るのが同時だった。次の瞬間、



『ボンッ!!』



という鈍い音と同時に赤い閃光と白煙が湧き上がった。
生垣の後ろに小さくなって様子をうかがうあなた・・・煙が消えたときには、中年の男の姿は消え、あの女性だけが微笑みを浮かべて立っていた。
女性は、あたりに視線を走らせていたが、周りに人がいないのを確認すると歩いて行った。 どうやらあなたは見つからずに済んだようだ・・・。
着信音が鳴った。メールだ。





確保情報

金崎権太郎は女性アイドルになった。
残りは8人





「女性アイドルって・・・(^^;」
あの中年メタボ、禿げ頭のおっさんが? そう思いながらメールを見ていたあなたは、そこに添付されている画像を見て目を見張った。
中年メタボ・禿げ頭の面影など全くない、15・6歳にしか見えない美少女がそこに写っていたのだ。 舞台の上でスポットライトを浴びて歌を歌っている?
しかも、女子学生の制服風の衣装と、チェックのミニスカート。細い脚を引き締めているニーソックス。これには見覚えが・・・そう、ここに写っている美少女は、あの女性の持っていたカードの少女だったのだ。
「あれを張られると、その女になってしまうのか?」
あなたは身震いした。右手につけられたタイマーをみると、まだ10分しかたっていない。 もう1時間くらい経った感覚なのに?
「ここにいると、またあいつが来るかな・・・?」
生垣に隠れながら考えるあなた。













                  <場所を移ろう!>          <もう少し隠れて待とう!>






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