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あなたは花壇を右に曲った。
「?!」
あなたの目に、黒光りしている蒸気機関車が飛び込んできた。
『保存されているのか・・・?』
そう思ったのは、一瞬のことだった。
あなたは柵を飛び越えると、機関車の大きな動輪の下に転がり込んだ。
荒れる息を懸命に殺しながら、動輪の間から外の様子を窺う。
“鬼”は、辺りを見回しながら、あなたの姿を探している。
『奴は・・・俺を見失ったのか?』
「?!」
“鬼”がこちらを見ている。
あなたは思わず首をすくめた。
「さっさと何処かへ行っちまえ・・・」
小さな声で呟いた。
やはり“鬼”はあなたを見失ってしまったようだ。
しばらくあたりを見回していたが、諦めて歩いて行った。
あなたは思わず、大きなため息をついた。
さあ・・・・これからどうしよう・・・外の様子を見た。
今は、“鬼”はいないようだ・・・。