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あなたの携帯電話から着信音が聞こえてきた。
メールだ。
From:変身中 To:【あなた】 Sub:ミッションA結果 【あなた】の活躍により、監視ヘリと戦闘機は撃退された。 |
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「いくらなんでも、やりすぎだろう…?」
戦闘機で撃ち落とすなんてさ・・・・と、あなたは海上から上がる三本の黒煙を見ながら思った。
「いくら10周年でもなあ・・・」
あなたは携帯電話を、ポケットに戻してタイマーに視線を落とした。
『05:01』
「もう少しだ・・・」
そう呟いた瞬間、また携帯電話から着信が流れてきた。
メールだ。
「ミッション・・・じゃないよな・・・」
そう言いながらメールを読むと、
From:変身中 To:【あなた】 Sub:確保情報 畑野淳はウエディングドレス姿の花嫁になった。 残りは【あなた】1名 |
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「ダメだったのか・・・」
あなたは大きなため息をついた。
あたりを見回すと、あなたは遊園地の中を歩き始めた。
無人のメリーゴーランドや観覧車が回り、やはり人の乗っていないジェットコースターが轟音を立てながら走っている。
『とうとう、僕ひとりか・・・・』
あなたは腕に付けられたタイマーを見た。
『00:58』
もう大丈夫・・・という感慨は、この時あなたにはなかった。
むしろ、
『奴は、必ずここへ来る!!』
そういう思いが、あなたを熱くさせていた。
あなたは堂々と道の真ん中に立ち、あたりを見回していた。
タイマーの残り時間は、どんどん減っていく。
『00:57』
『00:56』
『00:55』
そして・・・。
「来た!!」
あなたは叫んだ。
ショートカットの艶やかな黒髪を揺らしながら、あなたの正面から、美女・・・“鬼”がまっしぐらに走ってくる!