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「攻撃命令です！」
Ｅ−７６７の機内に、通信士の声が響いた。
「ジャンヌダルク・リーダーへ連絡！」
士官が毅然と命じると、
「了解！」
通信士が無線のスイッチを入れた。
３機のＦ−２のコクピットでは、パイロットたちが命令を待っていた。
「Ｅ−７６７よりジャンヌダルク・リーダーへ。 攻撃を開始せよ！」
「了解！」
正美は返答をすると同時に、無線を切り替えた。
「攻撃用意！」
「ジャンヌ２、了解！」
「ジャンヌ１０、了解！！」
３機のＦ−２は、翼をひるがえして目標へ向かっていった。
３機のＦ−２Ａが、猛スピードでターゲットとの距離を詰めていく。
「ジャンヌ２・１０はフランカーを、わたしはヘリを狙う！」
「「了解！！」」
石部と岩田は火器管制システムを操作し、対空ミサイルＡＡＭ４の発射準備をしていく。
「ジャンヌ２、ターゲット、ロック・オン！」
「ジャンヌ１０、ターゲット、ロック・オン！！」
「攻撃開始！」
正美が命じると同時に、
「「発射！！」」
２機のＦ−２からミサイルが発射され、あっという間に青空の向こうに消えていく。
「全機、突撃！」
正美は命じると同時にアフターバーナーを使って加速を始める。
２機のＦ−２が続く。
ＳＵ−２７のコクピットに、警報音が鳴り響く。
黒いヘルメットとパイロットスーツを身に付けたパイロットがレーダーを見て、慌てて操縦桿を倒した。
機体が旋回を始める。
パイロットは後ろを振り返ったが、あまりに気がつくのが遅かった。
ミサイルが命中し爆発を起こすと、爆炎と黒煙が沸き立ち、黒い破片を青空にまき散らした。
「命中！」
コクピットの中でジャンヌ１０・・岩田敦子の顔に微笑みが浮かぶ。
「よし！」
岩田が操縦桿を動かすと、Ｆ−２Ａは機敏に反応をする。
彼女の前には、もう１機のＳＵ−２７がいる・・・。
ＳＵ−２７のコクピットでは、パイロットが飛んでくるミサイルに対応をしていた。
おとりを放出すると同時に、機体を急旋回させた。
ＡＡＭ４はおとりに命中すると、離れた場所で爆発を起こした。
その時、パイロットはすでに、岩田の操るＦ−２が接近してくるのに気が付いていた。
巧みに機体を旋回させながら、岩田のＦ−２にバックを取らせない。
岩田の顔には微笑みが浮かんでいた。
スコープの中をＳＵ−２７が、右へ左へ動きまわっている。
彼女は赤外線誘導ミサイルの発射ボタンに指をかけたが、周りを見回して指を外した。
「頼みますよ・・・」
岩田の瞳が鋭く光った。
ＳＵ−２７のパイロットは、後ろから追う岩田のＦ−２に気を取られすぎていた。
前に視線を戻すと、
「？！」
石部雅子の操る洋上迷彩をしたＦ−２が、猛スピードで迫ってくる。
まるでサイレンの音のようなバルカン砲の発射音が響くと、曵光弾が光の尾を引きながらフランカーの機体に吸い込まれていく。
石部の操るＦ−２が煙を噴きだしたフランカーと、そしてそれを追う岩田のＦ−２とすれ違う。
やがてフランカーは黒煙と炎を吹き出しながら高度を下げると、海上に墜落して大きな水柱を上げていた。
真黒にペイントされたヘリコプターは“ドコカノランド”の上空から離脱すると、海上へ出て低空で回避運動をしている。
正美のＦ−２Ａは、その後を追っていた。
「ジャンヌリーダー・・・ターゲット、ロック・オン！」
正美は赤外線誘導ミサイルの照準を合わせると、
「発射！」
Ｆ−２の翼端から、赤外線誘導ミサイルが発射された。
ミサイルのセンサーは、ヘリのエンジンから放出される熱を逃がさない・・・はずだったのだが・・・？
「あらら・・・？」
ヘリコプターの機体からフレアーが放出されると、赤外線誘導ミサイルはその熱を追いかけて海上に水柱をあげてしまった。
正美は、バルカン砲の安全装置を外し、機体のスピードを上げた。
ヘリコプターとの距離が一気に縮まり、スコープに映る黒い機体が一気に膨れ上がる。
発射ボタンを押すと、バルカン砲弾が光を放ちながらヘリコプターに命中していく。
ヘリコプターは空中でぐらりと揺れると、海上に向かって突っ込んでいき、大きな水柱を上げていた。
正美はコクピットで微笑みを浮かべながら、無線のスイッチを入れた。
「ジャンヌダルク・リーダーよりＥ−７６７へ、全機撃墜した。 任務終了！ 現場空域を離脱する！！」
『Ｅ−７６７よりジャンヌダルク・リーダーへ、お見事！！』
正美は笑うと同時に、機体の左右を見た。
石部と岩田のＦ−２が飛んでいる。
「任務終了、基地へ帰還する！」
「「了解！」」
インカムの中で、二人の元気な声が弾けた。