第8章:イベント

用語

イベント
事件・行事・催事などの出来事。
EM
「Event Master」の略。イベントを企画・実行する責任者。TRPGではGMとEMは同一だが、イベント系のなりチャではGMの管理・統括の下にEMが置かれる。
シナリオ
筋書き。作為的に作られたストーリー。
予定調和
ライプニッツが唱えた哲学上の概念。転じて、物語がお約束の結末へ向かうことを指すようになった。なりチャでは、展開や結末を予め仕組んでロールすることをこう呼ぶ場合がある。
打ち合わせ
なりチャでは、PL同士が話し合って設定やロールの段取りを決めること。
自作自演
なりチャでは、同一PLが複数のPCを動かし、ストーリーを仕立てること。
設定繋がり
互いのPCに、背景設定の中で何らかの因縁を持たせること。例えば、互いを「従兄弟」に設定するなど。
既知ロール
キャラ同士が知り合いであることにして、或いは一方が他方を知っていることにして、ロールプレイをすること。またそのようなロール。
募集系
条件を提示して遊び相手を募集する形態。またそのようなサイト。

様々なイベント

多くのなりチャでは、PCの日常的な会話を楽しむことが活動の中心です。しかし日常だけでは刺激に乏しいため、イベントを行っているサイトもあります。TRPGのように普段がイベントである場合は、逆に日常のロールの方が新鮮かも知れませんが。

イベントの期間は、短いもので一日、長いものだと半年を越えることもあります。イベントによっては途中で抜けると迷惑になるので、参加の際は注意して下さい。期間限定のサイトでは、サイトそのものが一つのイベントであることがあります。例えばタイタニック号の出航から沈没までを描くような、期間限定であることを生かしたサイトも多く見られます。

イベントには、大まかに次のようなものがあります。

  1. 単にシチュエーションを用意するもの。例えば期間限定で「夏祭り会場」というチャットルームを置き、PCはそこで金魚すくいをしたり、綿菓子を食べたりします。誰が誰か分からない仮面舞踏会など、多少ひねりを加えたものもあります。
  2. シナリオを用意し、徐々に進行させるもの。例えば戦況や事件の状況が変動して行ったり、修学旅行のように予定が消化されて行ったりします。PCの行動はイベントの進行にあまり影響しないか、或いは予めPCの行動やその結果を大まかに決めて置きます。ロールの材料が次々と提供される点が長所です。
  3. PCの行動によって物語を動的に変化させるもの。ゲーム性が高いことが長所です。その反面、イベント処理に手間がかかる、スケールの大きなイベントは難しいといった欠点もあります。

3番目のタイプをより詳しく見ると、更に次のように区分できます。

  1. 日時を決めて、チャットで行われるもの。セッション。EMが主催し、判定システムを用いる場合、TRPGのオンラインセッションに極めて近くなります。
  2. 日時を決めず、チャットで突発的に行われるもの。例えば、EMが好きな時にNPCをチャットに出し、PCはNPCから情報を聞き出したり、NPCを倒したり説得したりして事件を解決します。クライマックスのみセッションにすることも多いようです。
  3. チャットの外で処理されるもの。例えばPBeM形式で処理します。チャットに比べ大人数に対応しやすい点が長所です。PCチャットのあるPBeMと、PBeMイベントのあるなりチャの境界は曖昧です。

イベントの内容を見ると、PC同士が対立したり競争するものと、共通の目的のために協力するものがあります。前者にはクイズ大会や闘技大会などがあり、後者にはパーティを組んでのダンジョン攻略などがあります。

PCの行動結果は、ロールだけで決める場合もあれば、数値判定で決める場合もあります。前者には、基準が曖昧で戦術性が低いという大きな欠点があります。しかし数値に現れない点も柔軟に評価されること、数値に縛られずシーンをドラマチックに表現できることが利点です。TRPGにも、対人関係をロールだけで処理するシステムは存在します。

イベントでの注意事項

イベントは、GMやEMが主催する公共的なものとは限りません。私的なイベントも存在します。例えば、お茶会や誕生会を開催したり、PCを操作してシナリオのあるドラマを展開したり、PCを病気にすることで普段と違うシチュエーションを作り出したりします。

どこからが私的なイベントにあたるか、線引きは難しいのですが、以下のいずれかに該当するようなロールをする時は注意すべきでしょう。

  1. 催し物。
  2. アドリブでない、計画的なロール。打ち合わせをしてのロールや、別PLなら打ち合わせなしにはできないような自作自演など。
  3. 事件と言えるロール。PCの肉体的・精神的なコンディションを著しく変化させたり、広範囲に影響を与えるものなど。

「2.」は、筋書きのないロールの産物としての予知できないストーリーを重んじるサイトなどでは禁止されています。「3.」は好き嫌いが分かれ、規制を設けているサイトもあります。何れにせよ、イベントに関わるかどうかは相手が選択できるようにし、興味のない人を巻き込まないことが大切です。

イベントは楽しいものですが、人を不快にしてしまうこともあります。例えば自分のPC設定を展開するイベントは、しばしば自分が中心になります。自分のPCに病気や怪我をさせるイベントは、自分に注目を集めます。自分の作ったストーリーを披露するだけのイベントも同様です。誰もが主役になりたがるもので、イベントはよく注意しないと内輪や独り善がりになりがちです。

TRPGでは複雑で大規模なイベントも行うことができます。それは権限を持ち、えこ贔屓をせず、楽しませることに頭を使う責任者の存在によって成り立ちます。なりチャでも、イベントを起こす時は他の参加者が楽しめるように努めることが大切です。

前提設定

なりチャには、PL間の合意によりPCの関係やシチュエーションを設定し、そこからロールプレイを始める遊び方もあります。徐々に関係を構築して行く手間を省き、手っ取り早くドラマ性の高いロールプレイを楽しむことができます。しかし過程がないと感情移入できない人には不向きです。

このような遊び方には募集系サイトが便利です。「同窓会での10年振りの再会シーンから、なるべく継続して遊んでくれる人」「行き倒れの吸血鬼を拾った人間役をしてくれる人」などと、好みの条件に応じてくれる相手を探すことができます。

しかし「打ち合わせ」や「設定繋がり」は、募集系以外では禁止されていることも少なくありません。内輪に籠もりがちになる、PL交流がPCの世界に支配的影響を及ぼすといった問題点があります。PL交流が目当てのPCに接近する手段になり、ロールプレイが疎かになったり、PL交流を嫌う参加者の足が遠のく恐れがあります。

主にアドリブで関係を設定する手段に「既知ロール」があります。例えば、教師のPCに対して初対面で「お久しぶりです。覚えていますか、3年前に卒業した小沢です」のように声を掛けます。相手が「元教え子の既知ロール可」とプロフィールに記載しているなど、何らかの形でPL間の合意が成立している必要があります。

既知ロールに対しては寛容なサイトが比較的多く見られます。事前の打ち合わせは全く行わないか、PL発言等での簡単な確認に留めることが多く、PL交流の弊害を抑えることができます。また大抵は赤の他人から一歩進んだ程度の関係に過ぎません。

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