777HIT記念小説

大花火



「4200枚かよ。すげぇな、にぃちゃん」

「いやあ、きっとリプレイはずしとかして貰ったおかげですよ〜。俺一人でやってたら、こんなイってないですよ」

そう、俺はいつのまにかメダルを大量獲得していた。
1枚20円だからx4200で・・・・・八万四千円!!
凄い。凄過ぎる。
パチンコでだってこんなに勝ったことない。
俺のパチンコでの最高獲得金額は、忘れもしない初パチンコで獲った五万五千円。
俺、初めてのものに運があるんだろーか?
オヤジと一緒に換金待ちの列に並びながら、俺は心の中でガッツポーズだ。
どーだ!やったぞ!俺は花火大会なんて行かなくてもデッカい花火を打ち上げてやったぜ!
あ、やばっ・・・・
忘れていればいいのに俺はイヤ〜ンなことを思い出してしまった。
くっ、美紗子のヤツめ・・・・・
うあああああ。イヤだあああああ。
ぐるぐるが、ぐるぐるがやって来そうな気配だ。
うう・・・ううう・・・
そうこうしているうちに俺の換金の番がやってきた。
1、2、3、4、・・・・・うしっ!ちゃんと八万四千円あるぜ。
あー どーしよっかな〜、一人の部屋に帰りたくね〜。
せっかく儲かったんだしオネーチャンの居る飲み屋でも行くかな〜。
でもな〜 一人でそんな店行ったこと無いんだよなー。
若い男が一人でなんて凄ぇモテない奴みたいだし。
って、どーせ俺はキープくんのフラレ男だよ・・・・・
俺っていっつもそうなんだ、みんな俺より好きな人がいて俺は一番になんかなれないんだ。
学生時代に付き合ってた娘だって、俺より格好良い奴に告白されたらさっさと乗り換えちまった。
大体生まれた時からそうなんだ、父さんも母さんも兄貴や妹のことばっか可愛がってた。
それから友達だって・・・・・

「にぃちゃん今日は儲かったなあ」

俺がぐるぐるのループに嵌り込んでいきそうになってた時、換金を終えたらしいオヤジが声をかけてきた。

「あっ、はい、今日はありがとうございました」

俺は軽く頭を下げた。

「でも儲かったからってあんまりスロットに嵌るんじゃねぇぜ。ギャンブルはほどほどが一番よ、ほどほどがな」

「はは、そうですね」

「じゃ、俺は帰るからよ。じゃあな」

オヤジはそう言うと、片手を上げて去ってゆく。
俺は何も考えず、その後姿に反射的に声をかけてしまっていた。

「あ、あの!待って下さい!」

オヤジがゆっくり振り返る。

「ん?どーした」

「あの!これからお暇だったら呑みに行きませんか!?あの、俺、今日のお礼におごりますから!」

うわーー!俺は一体何を言っているのだあぁ!
こんな今日パチンコ屋で会ったばっかの人にぃい!
ほら、見ろ。
オヤジだってビックリした顔してんじゃねーかぁ・・・・。
うーーー

「すいません・・・俺、自分が休みで暇だからって・・・都合も考えないで。今日会ったばっかで名前も知らないのに・・・」

そうだ、可愛い女の子からの誘いならいざ知らず、名前も知らない野郎に誘われたって困るだけだよ。
ああ、なんで俺ってこうなんだろう、ちょっと親切にして貰ったからって図々しくこんなこと言って。

「にぃちゃん。俺は健ってんだ」

また落ち込み始めた俺に、オヤジは優しく声をかけてきた。

「健、さん?」

「おう。にぃちゃんはなんてーんだ?名前」

「あの、俺は祐介って言います」

「祐介か。じゃ、お互い名前も分かったことだし呑み行くかあ!呑みに!奢ってくれんだろ?祐介」

惚れ惚れするような男っぷりのいい笑顔。
んっ?って俺のこと見るオヤジ・・・じゃなかった、健さんの目はとっても優しかった。
やっぱこの人良い人だ〜。



俺達は「でん」って焼き鳥やに来た。
健さんのオススメだ。
独りモノの健さんはいつも「でん」で一杯ひっかけて帰るのが習慣なんだそうだ。
「でん」の焼き鳥は美味かった。
シソと鳥皮を一緒に渦巻き状に巻いたのやエノキをベーコンで巻いたちょっと変わった串モノは俺の好みに合う。
メニューに好物の「あんきも」や「イカの腸のホイル焼き」なんかがあって俺はなにげに嬉しくなった。
各地の地酒が豊富に置いてあってポン酒好きな俺にはそれも又、嬉しいところだ。
この店の親父さんもおカミさんも気さくな人で、俺は勧められるままに各地の銘酒を味わった。
「でん」は入る時こそボロっちい外観に及び腰になったが、入ってみるとその家庭的な雰囲気は凄く居心地が良くて、俺は一発でこの店が気に入ってしまった。
今まで呑みに行くって言えば同僚と会社のそばの全国チェーンの居酒屋か、デートでお洒落なカクテルバーとかだった。
いつも利用してる駅のそばにこんな良い店があったとは、連れて来てくれた健さんに感謝感謝だ。
初めて打ったパチスロは大勝したし、初めての入ったこの店も超グッド。
今日の俺は初めての良い事尽くしだあ〜〜〜!。
ツイてるってこーゆー状態を言うのかもしれない。
でも一番のツキは健さんと知り合えたことかな?
健さんは話し上手で聞き上手だ。
スロット、パチンコの話から始まって食い物の話、仕事の話、そしてちょっとHな話まで。
美味い料理と酒に舌鼓を打ちながら、二人で面白おかしく色んな話をして、俺はすっかり健さんに懐いてしまった。







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