中央自動車道。
武士たちRiotは無事に名古屋からの部隊との合流に成功する。
和彦たち生徒を隠しシートに押し込み、いくつかの検問の突破を成功させていた。
じきに千葉へ到達する。
先頭で運転しているイサムが助手席の武士に話かけた。
「作戦・・・ある意味では成功か―――」
頬杖をついて窓の外を眺めていた武士は呟くように答えた。
「ある意味では・・・すね。千成さんや和たちにはかわいそうな結果になってますけど」
「それは仕方が無いことだ――この作戦が決まった時点で、比呂たちのクラスだとわかった時点で覚悟してた事だ」
「失ったものも多いですよ」
「あぁ。それも覚悟の上だ」
「和たちにはなんて説明するんですか? 」
「説明・・・なんて必要ないかもな―――薄々気づいているさ。和は」
「アメリカ――ですね」
「そうだ。あさってにはもう船に乗せる」
「俺たちはどうします? 俺は残りますよ」
「俺もだ。まだやるべきことはある」
沈黙が流れた。
警察無線はまだ慌しく検問の様子を伝達している。
不審車輌が見つかったとの情報も流れていた。
武士たちが乗り捨てた車輌だ。
「比呂―――あいつには期待してたんだけどな」
「・・・」
「武士や、康明とRiotを引っ張っていく存在になるだろうな――ってな」
「千成さん。言ってましたよ」
「? 」
「いつか、"あいつはアメリカへやる"って」
「・・・」
「向うで勉強させるって。Riotのためじゃなくて、あいつのためにって」
「・・・そうか」
「俺、千成さんにぶっ飛ばされますね。きっと―――」
「どうしてだ? 」
「だって、俺が見捨てたんですよ? 比呂を。康を」
「本気でそう思ってるのか? 」
「え? 」
「本気でそう思ってるのなら、まだ千成さんのことわかってないな」
「・・・」
「あの人は一時の感情を引っ張るような器の小ささじゃない。そりゃ悲しむだろうけど」
「・・・」
「おまえの判断は正しかったよ。武士」
「俺にはまだわからないっす」
「わからなくていい。答えはいつか出る―――」