初版2007年3月31日 著者:草加床ノ間
いわゆるチョンボ。その定義は多彩だが,一般にルール違反をして罰則点を支払わなければならない状態になることを言う・・・のかな。
さて,ここではその中で間違った和了の宣言(誤ロン,誤ツモ)がその時点で満貫分の罰則になる場合について考えてみようと思う。
誤ロン誤ツモがその時点で満貫分の罰則になり次局へ移るルールは,それに対する罰則の元祖であると思う。私もそのルールでやっていた。
が,しかし,これは同時に満貫分の罰則で任意に場を流すことを可能にしていたのだ。
間違った和了の宣言が故意か過失かの客観的判断はできない。よって故意と過失をルールによって罰則を分けることは不可能である。
故意の誤ロン誤ツモの利用方法であるが,自分の満貫分以上の支払いが確定もしくは濃厚なときに行い,自分の点数の支払いを軽減させる。
例えば,Aがうっかり大三元包牌を捨て(他家が白と發をポンしているのに中を捨てた)それが,ポンされた。
包牌なので大三元をツモあがりされると役満全額支払い,他家からの放銃(振り込み)でも役満の半額支払いとなり,自分の満貫分以上の支払いが濃厚となる。
そこで,次のツモでAは二向聴だけどツモあがりを宣言した。
また,満貫分の罰則なので当然支払い点数は荘家(親)と散家(子)によって違う。
特に,散家のチョンボの場合,その局の荘家が他の2人の散家より2千点多くもらえるのである。これによって,意図的な点数操作ができる場合もある。
例えば,どうしても嫌いな奴が200点の差でトップになっていて,2着の人が荘家であったとき,チョンボをして逆転させることも可能だ。もちろん,うまくいかない可能性も大きいが,嫌いな奴が不利になることは間違いない。
また,浮いている人数でウマが激変するルール,特に3コロと言われる1人浮きトップの状態と2人浮きの状態ではウマの差額が大きいルールにおいて,チョンボ代を払って2人浮きにしたほうが,ウマを考えれば安いとなればやる価値が出るかも知れない。どうしても嫌いな奴がトップなら,損得勘定なしになるかも知れない。
そんなに役満に放銃したくなければ,ずっこけた振りして牌山を崩したり,テーブルの足を蹴って牌山を崩したり,体勢を崩した振りをして麻雀マットを思いっきり引っ張ったり,打牌のとき全自動卓のスタートボタンを押して続行不能にすればいいのではないか・・・
故意に牌山を崩すのは,もうイカサマの領域である。イカサマを裁くルールは決めたくないのが本音だ。まあ,現実に起きれば少なくとも永久追放か・・・
でも事故を装って続行不能になるくらい牌山を崩すのは,結構難しいと思う。何か最初から仕掛けがあれば別だが。
故意のチョンボもイカサマではないのかと思う人もいるだろう。
まあ,私も自信を持っては言えないが,イカサマは麻雀という競技の動作からかけ離れていることをして,自分を有利にすることのように思う。牌をすり替えたり,他の競技者と共謀したり,それこそ前述の牌山を崩したりと。(※1)
故意のチョンボでも,和了の宣言と手牌の公開と動作はルール上のことをしている。競技者が人間である以上,チョンボ自体をなくすことは不可能であるため,そのルール上の動作で不備があるのなら,ルールの規定で解決しなければならない。
最近見かけたのが,誤ロン誤ツモは和了放棄にて,その後ツモ切りしかできないというもの。これは,場を任意に流すことを不可能にしたものだ。
もうひとつ,罰則の点数が荘家散家にかかわらず3千点ずつ3人に支払うもの。これは,点数操作をやりづらくしたものだ。
麻雀はコントラクトブリッジとは違い紳士の競技ではない。アンダーグラウンド生え抜きの競技である。
麻雀は競技者が紳士だけとは限らないので,現実社会と同じく法整備しなければ秩序は保てないのである。
余談であるが,過失のチョンボを錯和,故意のチョンボを冲和と書き分けていたということを何かの文献で見たことがある。
ぶっ飛びは「とび」や「ドボン」とも呼ばれ,競技者の誰かの点数が持ち点を割りマイナスになった時点で,その回(半荘など)が強制終了するものである。
私は,ぶっ飛びを採用したときは,ぶっ飛んだ人に罰則点数をつけたほうが良いと考えている。
ハコテンになったのに,死人に鞭打ちのようにさらに点数を支払わなければならないのか,と思うかも知れない。
だが,私のような不届き者は,罰則点数がなければ,調子が悪くハコテン近くになって早く次の回(半荘など)に行きたかったら,わざとぶっ飛ぼうとするだろう。
まあ,さすがにぶっ飛ぶのにチョンボは使いませんよ。点数を読んで故意の放銃をする,または不聴罰符とかリーチ棒を支払うようにするのである。
はっきり言って,2〜3着で頑張っている人に対して迷惑な行為である。
これを防ぐには,罰則点数をつけるか(安すぎたら意味無し)もしくはぶっ飛びをやめるかだ。まあ,故意にぶっ飛んでいいというのなら何も言うまい。
また,最終局(オーラス)でもないのにハコテン近くの人から和了してしまうと,自分が和了したのに自分の2着または3着が確定してしまうという,ぶっ飛び無しルールでは考えられないことも度々発生することだろう。
この場合も,罰則の供託点数を順位を勘定するときの点数に組み込ませることによって,多少は前述の事態を回避でき,また多少は戦略性が出ると思う。
しかし,ハコテン近くの人が2人になってしまうと,どっちかが「もがけ」ばどっちかが飛ぶという絶望的状況を作り出してしまう。
(※1)手積みのときの積み込みはどうなんだと・・・。牌を積むのはルール上の動作であるのでは?こちら(第3章第3節)を参照されたし。