第2話 親友
親友。 文字にするとこれほどクサイ単語も見当たらない。 思わず爆笑してしまいそうな単語であるが、結構気に入っている。 僕が勝手に親友だと思っている奴は3人いる。 心当たりのある人は、迷惑だろうけどあきらめる様に。
昔から、「女運が悪い」と周りからよく言われるのだが、友達運はかなりいい方である。 付き合った女の子にふられまくりの25年間(現時点)だが、そんな時に必ず支えてくれるのは友達である。 僕はそんなに恋愛経験が多い方ではない。 いままで「交際」をした人数は片手できく。 第1話登場のS田がハードを破壊した数よりも1人少ない。 その数だけふられているのだから、打率的にはイチローなど目ではない。 ふられるとかなりの勢いでブルーになり、落ち込む事この上なしなのだが、その度ごとに僕の愚痴を聞いて慰めてくれているのは、親友のY永だ。 非常にいい奴で、中学・高校時代の同級生なのだが、同じクラスになったことは一度だけだ。 しかも、その時に仲良くなったわけではなかったような気がする。 以前、Y永と「いつから仲良くなったか論争」があったのだが、結論としてよくわからないということに落ちついた。 運命・・・とでもいおうか、もし僕が異性であれば愛が芽生えているだろう。 意図的にクサイ台詞を書いてみた。寒気がする。気持ち悪い。クサイ台詞は体に合わない。今後はやめよう。
前回の失恋が僕の過去最高の痛手であった。 ヤバかった。 ふられてから1週間、睡眠もロクにとれず、メシをくっても吐いてしまっていた。 充分に摂取したものといえば、水分とニコチンとアルコールぐらいのものだった。 「これ、このままだと死ねるかな」など、弱っている人間特有の情けない思考回路になっているとき、Y永からメールをもらった。 「なにがあっても親友だから」的なことが書いてあった。 泣いた。 不覚にも会社で泣いた。 いずれ仕返しをしてやろうと思うのだが、なかなか奴は弱みを見せない。 悔しい。
しかしY永は、別の意味で女運が無かった、とでも言おうか、異性と交わることが20年間ほどなかった。 俗に言うところのヤラハタである。 その頃僕らの間ではやっていたマンガの「Bバージン」(小学館)にあこがれたわけでもなく、・・・多少は意識していたのだろうか?・・・その辺りはよくわからないが、とにかくそんな奴だった。 まぁまぁカッコイイと思うし、優しいし、シャイな部分もあるし、面白いし、女の子にモテない要素がなかなかに見当たらなかったので、 「あぁ・・・あたしが女の子だったら、ほっとかないのにぃゥ」 と、意を決して衝撃の告白をしたらコンマ3秒ほどでふられてしまった。 ひどい話である。僕の中の女心はズタボロだ。
そんな寒いネタはほっておくとして、最近Y永は結婚した。 Y永の嫁さんとは僕も何度か会ったことがあるが、なかなかにかわいいし、とてもいい子であると思う。 でも、Y永をとられた気がしたりして、ちょっとジェラってみたりもする。 彼らが今現在幸せバリバリ全開かどうかはしばらく会ってないのでわからない。 とりあえず入籍って感じらしいし。 家に遊びに行こうと考えたが、新婚家庭的熱烈愛情毒気にあてられそうなので、僕も誰か相手が見つかったら引きつれて行こうと考えている。 独り身(微妙)はつらい。
住んでるところも離れてしまって、全然一緒に遊んでいない。 たまには会って酒でも一緒に飲みたいものだ。 自転車で遊びに行っていた、あの頃が懐かしい。
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