act. 4

 

 

そのピンポン玉は、ウソップがなんとか星の外郭に使おうと思ったはいいが、案外と細工に手間取ったので放置されていたものだった。

袋にいくつも一まとめにしてあったものを、ゾロは、一つかみ掴んでサンジ達の足元に投げる。

ころころといくつも転がる白いピンポン玉を見て、サンジ達の顔が強張る。

「ゾロ…っ!?」

白い顔が、いっせいにかあっと紅潮した。

「や、だっ…!」

嫌だと言いながら、サンジのモノは屹立したまま、先端から溢れた透明の蜜が、ぱたぱたと甲板に滴り落ちる。

 

「王様の命令は絶対、だったろう…?」

まるで敵を目の前にした時のような、獣のような声が出た。

ゾロの目は、いまや完全に魔獣の輝きを放っていた。

「あ…。」

まるでその黄金の瞳に操られたかのように、ふらふらと、サンジ達が転がるピンポン玉を一人一つずつ持つ。

その手が震えている。

「どうする? 自分で挿れるか? それとも、挿れてやろうか…?」

一瞬、サンジ達はお互いの顔を見合わせた。

そして顔を伏せ、震える声でこう言った。

「じ…自分、で、…挿れる…。」

 

ごくり、と、ゾロの喉が鳴る。

 

10人のサンジ達は、困ったような顔でじっと手の中のピンポン玉を見つめ、それからまたお互いに顔を見合わせ、きゅ、と唇を噛んで、それぞれ膝立ちになったりしゃがんだりする。

そして自分の指を、そろそろと自分の後孔にのばし、ピンポン玉をあてがって、ふるりと体を震わせる。

「…どうした?」

ゾロが促すと、サンジ達はまたお互いに目をやり、やがて、思い切ったようにピンポン玉をそれぞれの後孔に埋め始めた。

 

へぇ…と、ゾロは思った。

 

面白い事に、サンジ達は、互いが互いにライバル心を持っているらしい。

元は一人なのだ。

その事はサンジ自身が一番よく分かっているし、10人のサンジ達は、お互いに心が通じ合っているようなのに、それでも尚、互いを牽制しあっている。

まるで、誰か一人が抜け駆けでもしやしないかとでもいうように。

それが、サンジを常になく積極的な動きへと駆り立てている。

自分が躊躇って、万が一、他のサンジがゾロに気に入られでもしたら。

そんな事、あるはずがないのに、サンジは自分自身に敵愾心を燃やす。

サンジの心の動きが手に取るようにわかって、ゾロの内心にぞくぞくと喜悦が走る。

ゾロの寵を競って淫らな行為に没頭するサンジ達、だなんて、満漢全席にも匹敵するほどの贅沢だ。

 

快楽を待ち切れずにか、ひくひくと妖しくうごめく可愛いピンクの穴の中に、ひんやりした硬質の玉が、くぷんと沈んでいく。

その瞬間サンジの背がびくりと震え、その喉から、んくっという唾を飲み込むような音が聞こえてくる。

同じような光景が、あちこちで繰り広げられ、ゾロは、それらを眺めながら、傍らの一升瓶をそのまま呷った。

 

────絶景。

 

酒の味を格別にしてくれる、このうえもなく淫らな宴。

 

全員が体内に玉を宿し、もじもじとした視線をゾロに向けた。

「…こっちにケツ向けて並べ。」

ゾロの声は厳かでいかにも王の威厳たっぷりだ。

命じている事はアホエロだったが。

 

サンジ達は、かたかたと小刻みに震えながら、膝立ちで姿勢を変え、ゾロの前に並んで、後ろを向いた。

「四つんばいになって、尻を突き出せ。」

言われるままに、サンジ達は両手を床に着いて、先ほど並んでお尻を見せた時と同じように、ゾロの目の前に10個の尻を並べた。

けれど今度の尻は、その中に、それぞれ1個ずつピンポン玉を内包している。

どれも皆、羞恥に染まり、ふるふると震えている。

普段、憎々しいほどの生意気な顔を見せるコックが、口もきけないほどの恥ずかしさに全身を震わせながら、それでも言いなりになる姿は、ゾロの嗜虐心を煽るだけ煽った。

もうゾロの股間は、ぱんぱんで破裂しそうなほどだ。

それはサンジ達も同様で、桃尻の奥に見えるペニスは、どれも固く屹立して、今にも達してしまいそうにすら、見える。

先走りの液が、あっちのペニスからもこっちのペニスからも、ぽとりぽとりと甲板に滴り落ちる。

「なんだ、お前ら。イキそうじゃねぇか。」

言葉で嬲ってやるだけで、サンジ達のペニスは、くんっと虚空をノックした。

「勝手にイクんじゃねぇぞ。イッた奴はおしおきだからな。」

言いながら、ゾロは軽く感動していた。

“イッたらおしおき”。

実は使ってみたかった言葉の上位ランキングに入っている。

ゾロ的に。

 

「よし。じゃあ、端から順番に産卵して見せろ。…イクんじゃねぇぞ。」

 

男というものは不思議なもので、イかせようとされると、頭の芯が妙に冷静になってなかなかイク事ができなかったりする。

逆に、「まだイかないでね」等と言われると思わずイッてしまったりする。

娼婦なんかの良く使う手だ。

 

その点、サンジはなんというか非常に優秀で、無意識なのだろうが、極まってくると、ゾロに全身で縋り付いて、それはそれはせつなげな声で、「まだ…だ。もっと…ゾロ…。もっと、奥、まで…っ…。もっと…欲しい…っ。」等と囁いてくる。

もうそれを聞いた瞬間ゾロはダメだ。

もう童貞切ったばっかりの小僧のように最速だ。

あのせつなげな声が耳元でした瞬間、「うわ」って感じで、もう出てる。

そりゃもう景気よくぶっ放してる。

ぶっ放した先から充填作業に入るから、そのまま抜かずの何発かに突入したりするが、常々男として、これはちょっと情けないかもなァなんて思ってもいた。

 

だから、これは、まあ意趣返しといえばそうなのだが、ゾロはあえて、「イッたらおしおき」等と言ってみた。

効果は絶大だった。

こちらに向いたサンジ達の尻がひくん、とはっきりと震えるのが見えた。

この調子では、サンジ達は、いずれ、触れられもせず、挿れられもせず、射精してしまうに違いない。

くくっ、とゾロが低く笑った。

というか、ゾロの内心では、もう既に、ぐへへへへに近い笑いになっている。

 

端から順番に産んで見せろ、と言われた、一番端のサンジは、もうこれ以上は赤くなれない、というほど赤くなってもじもじしている。

内股もきゅっと閉じてしまっている。

 

「…どうした? それじゃよく見えねぇぞ。」

びくっと端のサンジの背が揺れる。

ゾロは全員をぐるりと見回す。

「お前らもだ。全員足開け。」

10人のサンジが、それぞれゆっくりと足を開く。

 

「まだ見えねぇ。全員、自分でケツ広げて、奥までよく見せるんだ。」

 

ひゅ、と息を呑む音がした。

一瞬ためらうような空気が流れて、それでも、それぞれが、そろそろと自分の尻に手を伸ばす。

片手を床について、もう片手で、自分の尻に触れる。

 

「…両手で、だ。」

 

命じるゾロの声も、掠れていた。

 

両手を尻に回してしまうと、上半身は支えられなくなる。

全員が顔を床につけるようにして、両手を尻に伸ばす。

自然に、ゾロに尻を突き出す格好になる。

 

どのサンジの目も、熱に浮かされたようにとろんと蕩けている。

あぐらをかいて座るゾロの目の前で、10人のコックさんが、自分で自分の尻たぶを掴んで、その奥を曝け出した。

ピンクの可愛い窄まりが、10個現れる。

どの蕾も、何かを期待しているのか、ひくひくと細かくひくついている。

 

ごくり、とゾロの喉が鳴った。

涎だとか、鼻血だとかを、飲み込む。

 

「産め。」

 

低い声が、命じた。

 

一番左端にいるサンジが、ふ、と小さく息をついた。

ひくひくと細かくひくつく窄まりが、ぷくりと膨らむ。

ピンク色が淫猥に盛り上がり、ぱくりと口を開いて、一瞬、更に濃いピンク色の粘膜を覗かせたと思った瞬間、真っ白なエナメル質が姿を現した。

ピンクの窄まりは、口を開いたまま、ピンポン玉の形に盛り上がる。

ゾロの眼前で、窄まりがピンポン玉の直径にまで口を開き、次の瞬間、つるりとなめらかなプラスチックの球が転がりでた。

こん、と、それは床に落ち、軽い音を立てる。

 

────すげ…

 

ゾロは、流れる鼻血を拭う事も忘れて、それに見入った。

「次、だ。」

 

サンジが自分の尻を両手で広げたまま、腹に力を込める。

「ふ、…ぅっ…。」

微かに呻いて、ピンク色の窄まりがぷくりと膨らむ。

可愛らしく盛り上がったそこから産まれ出るのは、硬質なピンポン玉。

つるん、と生み出されたあとは、蕾はもう、何事もなかったかのように閉じている。

こん、ころころころ…と、ピンポン玉が転がる。

 

とんでもなく、エロい光景。

 

「次。」

 

そろそろ陽が落ちてきたとはいえ、まだまだ外は明るい。

こんな明るい中で、しかも甲板なんかで、サンジがとんでもなくエロい姿を晒している。

 

ビバ誕生日。

 

思わず目の前の尻に触れようとして、ゾロが頭を動かした時、新たな鼻血がぼたぼたと零れた。

もう軽く致死量に達しているような気がするのだが、死ぬ気は全然しない。

むしろ今ほど生を感じた事はいまだかつてない。

だが、この血は邪魔だった。

血で汚れた手でサンジの尻に触ったら、せっかくの白い肌に血が付いてしまう。

ゾロは腕の黒手ぬぐいをしゅるりと外した。

いつもなら頭に巻く手ぬぐいを、迷わず鼻を覆うように巻く。

かなり滑稽な格好だが、そんな事かまっちゃいられない。

何しろゾロの目はもう完全に魔獣モードだ。

 

ゾロの目の前で次々とサンジ達がピンポン玉を産み落としていく。

こん、ころころころ、こん、ころころころ…と、ピンポン玉が転がっていき、ついに最後のサンジの番になった。

最後まで残されていたせいで、一番長く体内にピンポン玉を入れておくはめになったそのサンジは、もう明らかに限界に近くなっていた。

尻たぶを掴む指の先までかたかたと震えている。

甲板に滴る先走りのシミも、サンジ達の中で一番多い。

ゾロは内心ほくそ笑んだ。

「さて。最後だ。」

促すと、サンジは小さく息を呑んだ。

く、と息を詰め、腹に力を入れようとする。

けれど、ピンクの窄まりは小刻みにひくひくと痙攣したまま、なかなか“卵”を生み出そうとしない。

「ゾ、ロ…っ…。」

蚊の鳴くような声で、言葉を搾り出す。

床についた頭が、何度も横に振られる。

「どうした?」

やたらと優しげな猫なで声が出た。エロ声ともいう。

 

ひくひくと収縮を繰り返す蕾を、ゾロは戯れに指で撫ぜた。

途端に。

くぷん、と勢いよく窄まりからピンポン玉が飛び出し、

「────ァッ────!」

小さな悲鳴が上がったかと思うと、勃ち上がったサンジのペニスの先から、白濁した液がピュピュッと飛び出した。

「ヒ、…あ、ァ…っ…。」

全身を痙攣させながら、サンジは甲板に激しく射精する。

それを見ながら、努めて冷たい声で、

「イッちまったな。」

と、ゾロが言った。

 

「勝手にイッたらおしおきだと…言ったはずだな。」

 

冷たく傲慢に言い放ちながら、ゾロは内心で万歳三唱していた。

 

2004/12/18


次回、おしおきプレイ。


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