夢を紡ぐ罪人達ゆめをつむぐつみびとたち

 

- 6 -

 

剣士の反応は顕著だった。

 

がたん、と音を立てて立ち上がりかけ、はっとしてまた座り直し、何事か口にしかけ、押し黙る。

平静を装っているつもりなのだろうが、目を見開いたままこちらを見ている。

「怖くない…? ナミさん。」

そんなゾロの様子には目もやらず、サンジはナミにありったけの優しさを込めた目を向けている。

「わかんない…。わかんないけど、人に…、愛されながら、抱かれる記憶が、欲しいの…。」

俯くナミの顎に、サンジがそっと指をかけて上に向かせる。

 

触れるだけのキスをする。

 

「じゃあ…、こうしよう、ナミさん…。」

蒼い瞳が優しく微笑う。

「ナミさんが、怖くないって思うまで、俺はナミさんに何もしない。その代わり、ナミさんは俺に何をしてもいい。ナミさんが俺に命じてくれれば、俺は何でもする。ナミさんが望む事だけを。ナミさんが怖いと思うことは絶対にしない。…ね?」

「サンジくん…。」

 

「おい、クソコック。」

いきなりゾロが口を挟んだ。

 

「うるせぇ、クソ剣士。」

それをサンジが一蹴する。

 

「おい。」

「うるせぇ。」

「おい!」

「うるせぇ。」

 

「サンジ!」

 

びっくりしたのはナミだった。

ゾロがサンジの名を呼んだのを、初めて聞いた。

サンジがゆっくりとゾロを振り返る。

 

「黙ってろ、ゾロ。」

 

二人の視線がぶつかり合う。

 

「…本気か?」

「俺ァ いつでも本気だ。」

「………っ」

ゾロが一瞬詰まったのを見て、サンジはナミに向き直った。

それを追いかけるように、

 

「ナミの惚れてんのはてめェじゃねェぞ。」

 

そう、ゾロが言った。

再びサンジがゾロを振り返る。

「てめェでもねェぞ。」

それがどうした。と言わんばかりにサンジが答えた。

そしてナミの方を向いて、ささナミさん♪僕はあなたの恋の奴隷♪ と、おどけた。

秘めていたつもりだった恋心を、思いっきり二人に知られていた事に、ナミが顔を赤くした時、ゾロが音もたてずに立ち上がった。

そのままラウンジから出て行こうとする。

ナミは慌てた。

 

「待って、ゾロ!」

 

このままゾロを行かせてしまったら、この二人の仲は終わってしまうような気がした。

それはダメだ。

ゾロを、行かせてはならない。

それならば…。

 

「ゾロも、ここにいて。」

 

ゾロが立ち止まり、振り返った。

その顔に、苛立ちと戸惑いが見て取れる。

「何言ってんだ、てめェ…」

 

「ゾロも、きて。…お願い。」

 

ゾロの顔に、驚愕が浮かぶ。

「………正気か?」

 

「これ以上は、ないくらいに。」

 

サンジも欲しい。

ゾロも欲しい。

 

どちらか一人では足りない。

 

二人とも、同じくらい大切で同じくらい愛しているから。

 

…一番欲しいものは、手に入らないから。

 

ナミが、ゾロに手を差し伸べる。

一瞬躊躇して、ゾロが近づいてきて、その手をとった。

「上等だ。」と、小さく呟く。

そしてナミの手を強く引いて、抱き寄せようとした。

 

ナミの体がゾロの腕の中に治まる寸前で、サンジがナミを奪い返す。

「野蛮な事してんじゃねェ。てめェも恋の奴隷になるんだよ。」

「あァ?」

「ったりめぇだろうが。ナミさん怯えさす気か。」

言われて、ゾロはしぶしぶナミから手を離した。

それを見て、ナミがくすくす笑う。

「…やっと笑った。」

サンジがほっとしたように言った。

 

「サンジ君…。」

「ナミさん…。」

 

「………てめェら、見つめ合ってんじゃねェ。」

 

苦虫を噛み潰したようにゾロが割って入る。

「ふふ。ゾロ、妬いた?」

「………妬いてなんざいねェ。誰が妬くか。」

そう言いながら、ゾロの顔は不機嫌極まりない。

さっきから、ずいぶんと我慢してくれているらしい。

「あら、ほんと? じゃあ、あたしがサンジ君にこんな事しても平気?」

ナミがサンジの首に腕を回し、抱き寄せる。

「こんな事しても?」

サンジの首筋にキスをする。

「これでも?」

サンジのシャツのボタンをはずし、肌に手を滑らせる。

ナミの指がサンジの乳首に触れ、サンジの体が一瞬びくりとした。

 

その瞬間、ゾロの眉がつりあがる。

 

ナミは、乳首に指先が触れただけで体を震わせたサンジの反応に驚いて、もう一度、確かめるように、サンジの乳首に触れる。

サンジが息を呑んだ。

爪で、乳首を軽く引っかいてみる。

「……っ」

 

「ナミ。」

 

ゾロの声が止めた。

「その辺にしとけ。俺ァそんなに、心の広い方じゃねェ。」

妬いてると言ったようなものだ。

ナミはもう一度、小さく笑った。

 

「…じゃあ、ゾロがする?」

 

「ナミ?」

 

「いつもどんな風にサンジ君を抱いてるのか、あたしに見せて。」

 

「ナミさんっ」

サンジが慌てた。

ゾロは一瞬驚いたような目をして、すぐににやりと笑った。

すぐにサンジのシャツに手をかける。

「あっ、ゾロ、てめ、そんなっ… ナミさん!」

ボタンが外され、白い肌が覗く。

「あたしの好きにしていいって言ったじゃない。サンジ君。」

「言った、…っけどっ! ナミさんに好きにされるのはいいけど、こいつに好きにされるのはやだっっ!」

ゾロはサンジのズボンを脱がしにかかっている。

「あらそう。んじゃ、あたしも手伝ってあげる。」

ゾロと交代してサンジのズボンのファスナーを下げる。

「ああっナミさんに脱がしてもらえるなんてっ♪ …って、なんか違うなんか違うなんか違うッッッ!!」

大騒ぎするサンジに構わず、ゾロが勢いよくサンジの足からズボンを抜き取った。

「こーゆーうるさい時はどうするの?」

ゾロに聞く。

「こうする。」

 

ゾロはいきなり、サンジの唇に喰らいついた。

 

「んーーーーーーーっっっっ!」

じたばたするサンジ。

窒息させようとしてるのかと思えるほどの、激しいキス。

そのままゾロは、サンジの体を床に組み伏せる。

性行為というよりは、何となくプロレスに近い。

サンジの上半身は、ゾロにがっちりホールドされて、床に縫い付けられている。

サンジの膝が、何度も何度もゾロの背中に当たるが、それは全く精細がなく、ゾロは毛ほどもダメージを受けていない。

 

そもそもサンジの蹴り技は、接近技ではあるが、サンジの足が長いために、懐に入られると打撃は半減するのだ。

だからこそサンジは戦闘時に、常に相手との間合いを計る。

だが、こんな風に床に組み伏せられては、ひとたまりもなかった。

ゾロはその辺を熟知しているらしかった。

 

ゾロが、サンジの口腔を、余すところなく貪る。

「ん… んっ…」

サンジが、鼻から抜けるような声で喘いだ。

サンジの抵抗が弱くなる。

しきりにゾロの背中を蹴っていた足が、力なく床に落ちる。

ゾロが唇を離す。

はぁっ…と、大きく息をついて、サンジの潤んだ目がゾロを睨んだ。

「てめェ…ナミさんのっ…ナミさんの前でこんなっ…!」

「ふん…。これぐれぇでその気になっちまう奴が何言ってる。」

「その気になんかなってねェ!」

「でもサンジ君…、ここ、感じちゃってるよ。」

ナミがくすくす笑いながら、サンジの、下着に隠された股間を、すっと撫ぜた。

「……っ!」

サンジの体がびくりと硬直する。

「…っナミ…っさぁん…っ!」

サンジが情けない声を上げた。

 

「サンジくん、下着もおしゃれねぇ。」等と呟きながら、ナミは、下着越しにサンジの股間のふくらみを、撫ぜたり握ったりする。

「ナ、ナミさ… やめ…っ」

相手がナミなだけに抵抗も弱い。

それをゾロは、サンジの上半身をがっちりホールドしたまま、面白そうな目で見ている。

「脱がせてもいい?」

ナミがサンジのパンツに手をかけながらゾロに聞く。

どうぞ、というように笑ってみせる、ゾロ。

「何なら咥えたっていいぞ。」

「てめェっ! ナミさんになんてことっ!」

ナミは器用にするするとサンジの下着をずり下げた。

 

半ば勃ちあがりかけている濃いピンク色のそれが現れる。

ナミの華奢な指がそれをおずおずと掴む。

「っぁ…!」

それまでの強気で大胆な態度と裏腹に、稚拙なほどたどたどしい手つきで触れてきたナミの仕草のアンバランスさに、サンジは煽られた。

ナミの指の中で、サンジのペニスが質量を増す。

当然の事ながら、それは魚人のものとは見た目も手触りも違う。

熱く脈打つ、人間の男のペニス。

ナミはそれに舌を這わせた。

「ごめんね、サンジくん。初めてだから、あんまりうまくないけど。」

サンジが目を見張った。

「ナ、ナミさん、は、はじ、めてっ…?」

 

当然だ。

レイプする女の口にペニスを突っ込もうとする豪の者などいない。

噛み切られる恐れがあるからだ。

アーロンもその辺は心得ていて、己の性器をナミの口腔に突き立てようとはしなかった。

中にはナミに咥えさせようとした愚か者もいたにはいたが、ナミは当然、口に入ってきた感触に、思い切り歯を立てた。

 

だから、能動的に男のモノを舐めるのは、これが本当に初めてだった。

ちゅぷ… と、濡れた音がする。

「ナミさん、そんな事しなくていい…っ!」

サンジが慌てたような声で言う。

「あたしがしたくてしてるんだから、いいの。」

黙って。と、ナミの唇がサンジを咥える。

サンジが小さく喘いで顎をのけぞらせた。

「おいおい。敏感すぎんじゃねぇか?」

ゾロが呆れたように言う。

「女になんざ、数限りなくしゃぶられてんだろうが。」

ゾロは自分以外の相手にサンジが感じている事が、やや不満らしい。

女に、と限定したところを見ると、サンジが男を相手にしたことは、ゾロが初めてという事なのだろうか?とナミは頭の隅でちらりと思った。

もしくはゾロはそう思ってるとか。

「だっ…て、ナミさん…ナミさんがっ…、俺の…俺の…っ」

サンジは感極まったような声で、しきりに、ナミさんがナミさんが、を繰り返している。

そのたびにナミの口の中でサンジのモノがびくびくと震える。

 

可愛いなぁ。とナミは思った。

更に熱心に、サンジのモノを吸う。

サンジの息が荒くなる。

 

声が聞きたいな、とナミは思った。

 

ゾロとする時はきっと喘ぐんだろうな。

せつなげな声で喘ぐんだろうな。

あたしも聞いてみたいな、サンジ君の喘ぐ声。

2004/12/29


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