夢を紡ぐ罪人達ゆめをつむぐつみびとたち

 

- 7 -

 

「ナミ、そいつを喉の奥まで咥えてやれ。そんで喉の奥を締めるんだ。」

ゾロが楽しそうにナミに言った。

ナミが言われたとおりに、サンジを深く咥える。

「ぅっ…」

サンジの背が浮く。

深く咥えすぎて、ナミの喉がえうっと鳴った。

それでもナミは咥えるのをやめない。

 

サンジ君を、気持ちよく、させたいから。

 

「ナミ、さん、も、いいよ…。」

サンジが訴える。

「気持ち良くない?」

ナミが消沈したように聞く。

「そ、じゃなくて… 出ちゃ…、から…。」

サンジが顔を赤らめる。

「いいよ? サンジ君…。」

 

ちゅ、とナミが先端に口付けた。

 

「だ、だめだって、ナミさんっ…!」

サンジの手がナミの頭を掴んで、慌てて自分の股間から引き離した。

「サンジ君がイクとこ見たかったのに…。」

それを聞いて、ゾロが、横から手をのばし、いきなりサンジのモノを掴んだ。

「うっ… あっ! てめ、何しやがる!」

「てめェの女神様が、てめェのイク面が見てェとさ。じきじきにご所望だ。気合入れてきっちりエロ面晒しやがれ。」

言うなり、ゾロがサンジの股間に顔を落とした。

「あっ! あ、あ…っ よ…せ、ゾロ…っ!」

サンジが思わず足をばたつかせるのを、

「ナミ、おさえてろ。」

と、ゾロがナミに命ずる。

ナミがサンジの上体に回り込んで、体を押さえると、あっけないほどすぐにサンジの抵抗はやんだ。

「ナミさん…離して…。」

泣きそうなほど弱々しい声でサンジが言う。

全く、男に対しては辛辣なほどのこの男が、女の前となると情けない事このうえない。

「いやよ。」

ふふっとナミが笑った。

 

ゾロが、じゅるじゅると音を立ててサンジのモノを舐め回し始めた。

「うあっ! バ…! ゾロっ… あっ… 」

ナミのそれとは打って変わった激しい舌の動きに、サンジの性感が追い立てられる。

サンジが、慌てて、両腕を交差させて顔を隠す。

「サンジくん、顔、隠さないで。見せて…。」

ナミが耳元で囁いて、その腕に手をかけた。

腕の下から、羞恥と快楽に染まったサンジの顔が現れる。

 

綺麗なアイスブルーの瞳が所在なげに揺れている。

 

吸い込まれるようにナミが見つめていると、サンジが顔を反らせた。

相当恥ずかしいらしい。

「サンジ君可愛い…。」

「ナミ…さん…見ないでクダサイ…。」

サンジのモノを咥えていたゾロが、思わず声をあげて笑い出すほど、消え入りそうな情けない声だった。

とことん、女には弱い。

ゾロが再びサンジのモノを咥える。

「…っぅ… てめ… クソ野郎…っ…! っあ …ふ… ナミさん… ぅア…、ナミさ… んっ… み、見ないで…」

「────ったく、ナミ、ナミと…。」

ふとゾロが顔をあげる。

 

「てめェよくさせてんのは、俺だろうが!」

 

いきなり、ゾロがサンジの足を広げて、指をサンジの窄まりに突っ込んだ。

「ひァッ!」

サンジの白い体がのけぞった。

ぐりぐりと、容赦なく指を捻じ込む。

「このっ…クソマリ… ッひ! ァッ…! うあ あっ…!」

 

狭い小さな孔に、無骨なほどごつごつした指が、一本、二本と捻じ込まれるのを、ナミは息を詰めて見ていた。

 

その部分から、目が、離せない。

 

サンジの引き締まった腹筋が、ゾロの指の動きに合わせて震えている。

痛そうなのに、よく見るとひくひくと蠢いて、ゾロの指をうまそうにしゃぶっているようにも見える。

男なのに… 男のクセに… こんな、淫らな、孔。

ナミの中で、もやもやと渦巻いていたサンジへのそれが、はっきりと、形を作る。

 

サンジ君を、犯したい。

犯して、喘がせて、イかせてみたい。

 

ナミの指が、ゾロの指を咥え込んでいるそこに触れる。

ゾロが、喉の奥で低く笑った。

捻じ込んでいた二本の指を、ぐいっと中で開く。

サンジが小さく呻く。

穴の入口が強引に広げられ、鮮やかに紅い肉が覗いた。

誘われるように、ナミはそこに自分の指を差し入れた。

「……っ…」

サンジが息を呑んだ。

そこがきゅっと締まる。

ゾロの指ごと、ナミの指を締め付けてくる。

 

ぞくり、とナミの中で、明らかな劣情が、蠢く。

 

ゾロの空いた方の手が、ナミの手首を掴み、自分の指とともに、更に奥へと分け入らせる。

「んっ… く… ァ…」

反らせたサンジの首。

喉仏がしゃくりあげるように上下するのが見えた。

「どんな気分だ? エロコック。ナミがてめェのケツ犯してるぜ?」

ひくっ、と、サンジの喉が鳴った。

ナミさん、やめて、と、口が動く。声にはならない。

その様が、もう、壮絶に扇情的だった。

 

ゾロの指が更に奥に入る。

ナミの指も。

「ひっ… ア、やめ…っ」

サンジの中が、吸いつくようにひくひくと蠕動している。

思わず、ナミの指に力が入った。触れたところを強く押してしまう。

「あァッ!」

途端、サンジの背が美しい弧を描いてのけぞった。

驚いて指を引き抜きそうになるナミを、ゾロが止める。

「うまいな。そこ・・だ。」

ゾロが、ナミの指ごと、その部分を、ぐり、と刺激した。

「んアッ! あっ ああっ だ──…だめだっ…、やめろ…!」

 

細い金の髪を振り乱して、サンジが身をくねらせる。

白い肌に、さあっと赤味がさす。

あのぐるぐる眉毛が情けないほど下がって。

せつなげに潤む、透明な蒼い瞳。

上擦って掠れる、声。

 

────サンジ君…すごい…やらしい…

 

サンジ君がすごくエッチだ、どうしよう。

なんだかすごく色っぽい。

すごくキレイだ。

男を形容するのに、キレイ、なんて単語、18年間一度も使った事なかったけど。

すごく、キレイ。

キレイで、いやらしい。

サンジ君は、こんなことされて感じるの…。

こんな声で、喘ぐのね。

 

ぞくぞくしたものが、ナミの下腹部から這い上がる。

ゾロがしたり顔をしてサンジのそこから指を引き抜いたので、ナミは自分の指を三本まとめて、代わりに突っ込んだ。

「ナ、ナミ… さん… も、はな…放して…っ」

サンジのその声はもう殆ど哀願に近かったが、ナミは放すかわりに、さっきゾロが教えてくれた、サンジのポイントを指の腹で強く擦った。

「ふアっ!」

サンジの腹筋にぐっと力が入り、同時に、ナミの指も折れんばかりに締め付けられた。

────サンジ君が、感じてる。あたしの指で。

 

あたしが感じさせてる。

あたしがこんな風に乱れさせてる。

あたしが。

サンジ君を。

 

夢中で、指を捻じ込んだ。

サンジの中に。何度も。

そのたびにサンジの身体が跳ねた。

ナミさん、やめて、と何度も切れ切れに訴える声は、甘く掠れている。

「こう、しおらしいてめェも結構クルな。」

いつものふてぶてしいてめェもいいがな、とゾロが、にじみ出る欲情を隠しもせずに言った。

それってすっごいノロケ、と思いながら、ナミがちらりと横目でゾロを見ると、ゾロは壁にもたれて瓶から直に酒を呑みながらこちらを見ていた。

ゾロのセリフを聞いたとたん、てめ、殺す。あとで、ぜって、殺す。と全く力の入ってない声で言い出したサンジを、ナミが指を回すようにして抉り入れて黙らせる。

サンジがのけぞりながら喘いだ。

 

「あたしがサンジ君を犯してるのよ。よそ見はダメ。」

まるでゾロに嫉妬してるみたいな言いようだ、とちょっと思った。

ゾロが静かに笑う気配がした。

「猫がじゃれあってるみてェだな。」

飲み干した酒ビンを適当に床に転がして、ゾロが手早く服を脱ぐ。

余裕ありげな態度を見せておきながら、ゾロの股間は固く勃ち上がり、臍まで反り返っていた。

ゆっくりとナミの背後に近づくと、ナミの髪に手を差し込みながら、その肩口にキスをした。

ゾロらしからぬほど、キザと言っていいほど手馴れた、そのくせ優しい仕草。

 

不意にサンジと二人きりの時のゾロが透けて見えた気がして、ナミはどきりとした。

もしかしたら、ゾロは、サンジ君と二人きりの時は、信じられないほど甘い言葉を囁くのかもしれない。

もしかしたら、愛してる、とか。

カワイイ、とか。

お前だけだ、とか言っちゃってたらどうしよう。

もう、ベッタベタに甘い雰囲気を作り上げてるのかもしれない。

そして、最大限にサンジ君を甘やかしてるのかも。

 

うわ。

 

想像したら、にわかに顔が熱くなってきた。

さっきラウンジで二人きりでいた時の、サンジ君にキスしてた時のにやけた顔だとか、妬いてた顔だとか、サンジ君の名を呼んだ時の顔だとか、ナミの知らないゾロばかりだ。

ここにいるのは一体誰なんだろう。

ほんとにゾロなのかしら。

ねぇ。

そんなに…

サンジ君のことが好き?

 

 

 

あ。

 

 

 

突然。

 

突然それはナミの中に落ちてきた。

 

あたしの手で喘いでるこの人は、これは、ゾロの、

 

 

宝物だ。

2004/02/08

 


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