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「ナミ、そいつを喉の奥まで咥えてやれ。そんで喉の奥を締めるんだ。」
ゾロが楽しそうにナミに言った。
ナミが言われたとおりに、サンジを深く咥える。
「ぅっ…」
サンジの背が浮く。
深く咥えすぎて、ナミの喉がえうっと鳴った。
それでもナミは咥えるのをやめない。
サンジ君を、気持ちよく、させたいから。
「ナミ、さん、も、いいよ…。」
サンジが訴える。
「気持ち良くない?」
ナミが消沈したように聞く。
「そ、じゃなくて… 出ちゃ…、から…。」
サンジが顔を赤らめる。
「いいよ? サンジ君…。」
ちゅ、とナミが先端に口付けた。
「だ、だめだって、ナミさんっ…!」
サンジの手がナミの頭を掴んで、慌てて自分の股間から引き離した。
「サンジ君がイクとこ見たかったのに…。」
それを聞いて、ゾロが、横から手をのばし、いきなりサンジのモノを掴んだ。
「うっ… あっ! てめ、何しやがる!」
「てめェの女神様が、てめェのイク面が見てェとさ。じきじきにご所望だ。気合入れてきっちりエロ面晒しやがれ。」
言うなり、ゾロがサンジの股間に顔を落とした。
「あっ! あ、あ…っ よ…せ、ゾロ…っ!」
サンジが思わず足をばたつかせるのを、
「ナミ、おさえてろ。」
と、ゾロがナミに命ずる。
ナミがサンジの上体に回り込んで、体を押さえると、あっけないほどすぐにサンジの抵抗はやんだ。
「ナミさん…離して…。」
泣きそうなほど弱々しい声でサンジが言う。
全く、男に対しては辛辣なほどのこの男が、女の前となると情けない事このうえない。
「いやよ。」
ふふっとナミが笑った。
ゾロが、じゅるじゅると音を立ててサンジのモノを舐め回し始めた。
「うあっ! バ…! ゾロっ… あっ… 」
ナミのそれとは打って変わった激しい舌の動きに、サンジの性感が追い立てられる。
サンジが、慌てて、両腕を交差させて顔を隠す。
「サンジくん、顔、隠さないで。見せて…。」
ナミが耳元で囁いて、その腕に手をかけた。
腕の下から、羞恥と快楽に染まったサンジの顔が現れる。
綺麗なアイスブルーの瞳が所在なげに揺れている。
吸い込まれるようにナミが見つめていると、サンジが顔を反らせた。
相当恥ずかしいらしい。
「サンジ君可愛い…。」
「ナミ…さん…見ないでクダサイ…。」
サンジのモノを咥えていたゾロが、思わず声をあげて笑い出すほど、消え入りそうな情けない声だった。
とことん、女には弱い。
ゾロが再びサンジのモノを咥える。
「…っぅ… てめ… クソ野郎…っ…! っあ …ふ… ナミさん… ぅア…、ナミさ… んっ… み、見ないで…」
「────ったく、ナミ、ナミと…。」
ふとゾロが顔をあげる。
「てめェよくさせてんのは、俺だろうが!」
いきなり、ゾロがサンジの足を広げて、指をサンジの窄まりに突っ込んだ。
「ひァッ!」
サンジの白い体がのけぞった。
ぐりぐりと、容赦なく指を捻じ込む。
「このっ…クソマリ… ッひ! ァッ…! うあ あっ…!」
狭い小さな孔に、無骨なほどごつごつした指が、一本、二本と捻じ込まれるのを、ナミは息を詰めて見ていた。
その部分から、目が、離せない。
サンジの引き締まった腹筋が、ゾロの指の動きに合わせて震えている。
痛そうなのに、よく見るとひくひくと蠢いて、ゾロの指をうまそうにしゃぶっているようにも見える。
男なのに… 男のクセに… こんな、淫らな、孔。
ナミの中で、もやもやと渦巻いていたサンジへのそれが、はっきりと、形を作る。
サンジ君を、犯したい。
犯して、喘がせて、イかせてみたい。
ナミの指が、ゾロの指を咥え込んでいるそこに触れる。
ゾロが、喉の奥で低く笑った。
捻じ込んでいた二本の指を、ぐいっと中で開く。
サンジが小さく呻く。
穴の入口が強引に広げられ、鮮やかに紅い肉が覗いた。
誘われるように、ナミはそこに自分の指を差し入れた。
「……っ…」
サンジが息を呑んだ。
そこがきゅっと締まる。
ゾロの指ごと、ナミの指を締め付けてくる。
ぞくり、とナミの中で、明らかな劣情が、蠢く。
ゾロの空いた方の手が、ナミの手首を掴み、自分の指とともに、更に奥へと分け入らせる。
「んっ… く… ァ…」
反らせたサンジの首。
喉仏がしゃくりあげるように上下するのが見えた。
「どんな気分だ? エロコック。ナミがてめェのケツ犯してるぜ?」
ひくっ、と、サンジの喉が鳴った。
ナミさん、やめて、と、口が動く。声にはならない。
その様が、もう、壮絶に扇情的だった。
ゾロの指が更に奥に入る。
ナミの指も。
「ひっ… ア、やめ…っ」
サンジの中が、吸いつくようにひくひくと蠕動している。
思わず、ナミの指に力が入った。触れたところを強く押してしまう。
「あァッ!」
途端、サンジの背が美しい弧を描いてのけぞった。
驚いて指を引き抜きそうになるナミを、ゾロが止める。
「うまいな。
ゾロが、ナミの指ごと、その部分を、ぐり、と刺激した。
「んアッ! あっ ああっ だ──…だめだっ…、やめろ…!」
細い金の髪を振り乱して、サンジが身をくねらせる。
白い肌に、さあっと赤味がさす。
あのぐるぐる眉毛が情けないほど下がって。
せつなげに潤む、透明な蒼い瞳。
上擦って掠れる、声。
────サンジ君…すごい…やらしい…
サンジ君がすごくエッチだ、どうしよう。
なんだかすごく色っぽい。
すごくキレイだ。
男を形容するのに、キレイ、なんて単語、18年間一度も使った事なかったけど。
すごく、キレイ。
キレイで、いやらしい。
サンジ君は、こんなことされて感じるの…。
こんな声で、喘ぐのね。
ぞくぞくしたものが、ナミの下腹部から這い上がる。
ゾロがしたり顔をしてサンジのそこから指を引き抜いたので、ナミは自分の指を三本まとめて、代わりに突っ込んだ。
「ナ、ナミ… さん… も、はな…放して…っ」
サンジのその声はもう殆ど哀願に近かったが、ナミは放すかわりに、さっきゾロが教えてくれた、サンジのポイントを指の腹で強く擦った。
「ふアっ!」
サンジの腹筋にぐっと力が入り、同時に、ナミの指も折れんばかりに締め付けられた。
────サンジ君が、感じてる。あたしの指で。
あたしが感じさせてる。
あたしがこんな風に乱れさせてる。
あたしが。
サンジ君を。
夢中で、指を捻じ込んだ。
サンジの中に。何度も。
そのたびにサンジの身体が跳ねた。
ナミさん、やめて、と何度も切れ切れに訴える声は、甘く掠れている。
「こう、しおらしいてめェも結構クルな。」
いつものふてぶてしいてめェもいいがな、とゾロが、にじみ出る欲情を隠しもせずに言った。
それってすっごいノロケ、と思いながら、ナミがちらりと横目でゾロを見ると、ゾロは壁にもたれて瓶から直に酒を呑みながらこちらを見ていた。
ゾロのセリフを聞いたとたん、てめ、殺す。あとで、ぜって、殺す。と全く力の入ってない声で言い出したサンジを、ナミが指を回すようにして抉り入れて黙らせる。
サンジがのけぞりながら喘いだ。
「あたしがサンジ君を犯してるのよ。よそ見はダメ。」
まるでゾロに嫉妬してるみたいな言いようだ、とちょっと思った。
ゾロが静かに笑う気配がした。
「猫がじゃれあってるみてェだな。」
飲み干した酒ビンを適当に床に転がして、ゾロが手早く服を脱ぐ。
余裕ありげな態度を見せておきながら、ゾロの股間は固く勃ち上がり、臍まで反り返っていた。
ゆっくりとナミの背後に近づくと、ナミの髪に手を差し込みながら、その肩口にキスをした。
ゾロらしからぬほど、キザと言っていいほど手馴れた、そのくせ優しい仕草。
不意にサンジと二人きりの時のゾロが透けて見えた気がして、ナミはどきりとした。
もしかしたら、ゾロは、サンジ君と二人きりの時は、信じられないほど甘い言葉を囁くのかもしれない。
もしかしたら、愛してる、とか。
カワイイ、とか。
お前だけだ、とか言っちゃってたらどうしよう。
もう、ベッタベタに甘い雰囲気を作り上げてるのかもしれない。
そして、最大限にサンジ君を甘やかしてるのかも。
うわ。
想像したら、にわかに顔が熱くなってきた。
さっきラウンジで二人きりでいた時の、サンジ君にキスしてた時のにやけた顔だとか、妬いてた顔だとか、サンジ君の名を呼んだ時の顔だとか、ナミの知らないゾロばかりだ。
ここにいるのは一体誰なんだろう。
ほんとにゾロなのかしら。
ねぇ。
そんなに…
サンジ君のことが好き?
あ。
突然。
突然それはナミの中に落ちてきた。
あたしの手で喘いでるこの人は、これは、ゾロの、
宝物だ。
2004/02/08