夢を紡ぐ罪人達ゆめをつむぐつみびとたち

 

- 8 -

 

サンジのペニスはもう限界まで張り詰めて、勃ち上がっている。

濃いピンク色をした先端からは、まるで涙のように透明の雫がポロポロと滴り落ちている。

空いた方の手でそれを握り締めると、一瞬、サンジの腰が浮いた。

「ナミっ…さんっ…!」

いやいやをするように、サンジが首を振る。

そのたびに金色の髪がばさばさと乱れた。

「…ねぇ…、気持ちイイ? サンジ君…」

ナミが囁いた。

かあっとサンジの頬が赤くなった。

握り締めていたサンジのそれを、優しく丹念にしごきながら、先端を口に含む。

滴る雫は何の味もしない。

それを何となく物足りなく思いながら、ナミは、サンジの鈴口に舌を捻じ込み、溢れる液を啜った。

「…っふ…!」

サンジの漏らした喘ぎで、ナミの全身が一気に熱くなる。

サンジの中に埋め込んだ指を、大きくグラインドさせる。

いっそあたしにも、サンジ君を犯すペニスがついていたらいいのに。

「っあ、…ナ…ミさ…! ぁっ…!」

せつなげに掠れる声に、どうしようもなく煽られる。

体の芯が、熱い。

熱くて、どうにかなりそうだった。

まるで自分が犯されているかのような気さえする。

あたしがサンジ君を犯してる。そう思うだけで、ぞくぞくと背筋を這い登る快感。

サンジのモノを、深く、喉の奥まで咥え込み、しゃぶる。

同時に指で、サンジの後孔を犯す。

湿った、淫らな音がする。

サンジが、押し殺したように何度もナミの名を呼ぶ。

サンジの体が反り返る。

立てた膝が細かく震え出す。

急に、サンジは切羽詰ったような声を上げ始めた。

「ナミ、さ…! ほ、ほんとに…! ダメ、だっ…! 離し…!」

うろたえたような声は、すぐに、くっ、という呻きで止まった。

びくっと、ナミの手の中のモノが震えたのが分かった。

あ、と思う間もなく、サンジのソレが弾けた。

ナミの口内に熱い奔流が迸り、驚いて反射的に離してしまった顔にも、それは注がれた。

とろりとした白濁がナミの顔を伝い、口の中に入る。

むせ返るような、雄の匂い。

立ち膝でそれを受け止めていたナミの上体が、ふらりとして、ぺたん、と腰が抜けたように座り込んでしまう。

酔ったように頭の中に霞がかかって、何も考えられなかった。

呆けたように座り込んだナミを見て、イッたばかりのサンジが慌て出す。

「ご、ごめん! ナミさんっっ俺っっっ!」

口の中どころか、顔にまで、かけてしまった。

サンジは本気で焦っている。

それを見て、ナミの背後でナミの体を支えるようにしていたゾロが、にやりと笑った。

「てめェもエロいツラになってるぜ、ナミ。」

とろんとしたナミの目が、ゾロを見る。

そのナミの頬を、ゾロがいきなり舐め上げた。

「……ぁっ……!」

ナミの顔といわず髪といわず飛び散った、サンジの白濁の飛沫を、ゾロの舌が丹念に舐め上げる。

舐めてる。

ゾロが。

サンジ君の…。

「…っ…、てめ、信じらんね…」

聞き取れないほど小さな声で、サンジが呟くのが聞こえた。

微かに舌打ちも。

ナミがサンジを見ると、サンジは、真っ赤な顔で横を向いていた。

耳まで赤い。

ナミがサンジに一瞬気を取られた隙に、ゾロの舌がナミの唇を割った。

びくりと、ナミの体が震える。

すぐにサンジが気がついた。

先刻サンジと口付けた時のナミの様子を思い出したのだろう。

「てめェっ…!」

気色ばむ。

けれどゾロを止めようとした手は、途中で止まった。

「ナミ…さん…」

ナミは先刻のように恐慌に陥ったりはしていなかった。

うっとりと瞳を彷徨わせたまま、ゾロの口付けを受けている。

だってナミには分かっていた。

ゾロにはナミとキスしようという意識なんかこれっぽっちもない。

ゾロはただ、舐めとってるだけなのだ。

ナミの口の中に残る、サンジの残滓を。

丹念に丹念に、ゾロの舌はナミの口腔を舐める。

一滴たりとも、ナミの中にその存在の残るのを許さないかのように。

ゾロとは思えないほど繊細な舌の動きは、否が応でもナミの官能を呼び覚ます。

「…ん… ふ…っ…」

喘ぎが、鼻から抜けた。

ゾロの動きが止まった。

その口元がにやりと笑っている。

ごくり、とゾロの喉が鳴り、舐め取ったサンジの残滓を嚥下する。

いきなり、ゾロの手がナミのスカートの中に滑り込んだ。

「あっ…!」

「てめェ、なにしやがる!」

ゾロの指はナミの下着のずらして滑り込み、ナミの秘裂に触れた。

その感触に、ナミの体がびくりと震える。

くちゅ、とあきらかな水音がした。

「濡れてるぜ、ナミ。」

ゾロの指が更に奥へと分け入る。

「あ… っ 」

「てめェ!」

ゾロを蹴り飛ばそうとしたサンジの体を、ナミの手が止めた。

「ナミさん…」

「だい…じょぶ… やめ…ないで…。」

体には、もう既に火がついている。

サンジの、思いもかけぬ痴態を目にした時から。

体の芯がじくじくと疼いていて、そこを思い切り、抉って欲しかった。

ナミの抵抗がない事を見てとり、ゾロの指の動きが大胆になる。

熱くぬめる秘裂の中へ、ずぶりと指が沈む。

ゾロがナミの耳元へそっと口を寄せた。

「てめェ、サンジがイッた時、一緒にイッたろ。」

耳打ちする。

羞恥にナミが目を伏せる。

ゾロの言うとおりだった。

サンジがその屹立から快楽を迸らせた瞬間、ナミの体を電流が貫いたのだ。

その体には指一本触れられていなかったのに、ナミは、サンジを犯しながら、自分も絶頂に達していた。

ゾロがナミの中から指を引き抜いた。

ナミの愛液は、ゾロの手首辺りにまで滴っている。

ゾロが無造作に、濡れた手首をぺろりと舐めた。

その口元にはまだ笑みが浮かんでいる。

「どうする? ナミ。」

問われて、ナミは顔を赤らめた。

視線を落とすと、ゾロの臍まで反り返ったモノが目に入る。

それはサンジのモノよりも一回り大きく、太く浮き出た血管を纏わせながら、びくびくと震えていた。

サンジのだって、決して小さくはなかったのに、ナミはその巨大さに目を見張る。

入るんだろうか、こんなの。

「す、ごいわね、…それ。」

ゾロが片眉をあげて見せた。

「いつも、それ、…サンジ君、に?」

おずおずと聞くと、赤面したのはサンジだった。

「挿れてみせるか?」

などと、涼しい顔で嘯いたゾロに、「ふざけんな、てめェ!ナミさんの前でそんなことできるか!つうか、無駄にでけェんだよ、削るか切落すかしろ! それができねぇんなら、なんかの役に立ってみせろ! ちんこで電気起こすとか敵殴り倒すとか」と、首の付け根まで真っ赤にしながらわめきたてた。

「きゃんきゃんうるせぇな、てめェは。」

ゾロが言いながら、片手でサンジの頭を掴んだ。

ぎょっとしたサンジの顔が、そのままナミの乳の谷間に埋まる。

「きゃっ」

「わめいてる暇があったらナミの乳の一つも揉んでろ。」

「あ〜ナミさん、桃源郷が見える〜〜〜〜」

「やだっ サンジくんっ や、やぁんっ …んっ… あ…」

着ていたタンクトップが、二人がかりで剥ぎ取られる。

か細い腕に、不釣合いなほど大きな乳房。

この非力な体を、呪った事も、あった。

「ナミさん、キレイだ〜…。」

力では、どうしたって男に叶わない。

だからナミが取ったのは、“女”を武器にして戦う道だった。

「ナミさん…」

「…あ…」

女であることを逃げ道に使ったことはない。

それはナミの最後の矜持だった。

たとえ、女であるがゆえにねじ伏せられ、傷つけられる事があっても、それを自分の言い訳にした事は一度もなかった。

むしろ女である事を盾にして、利用して、戦ってきた。

 

────なのに、女である自分を、一度も愛してあげなかったわね。あたし。

 

愛していたのは育った村と強い母と優しい姉。

それを守ろうと必死になるあまり、自分を愛してあげる事をしなかった。

子供達の為に笑顔で凶弾に倒れた母。

妹の為に全身に刺青を彫った姉。

影からそっと、歯を食い縛りながら見守ってくれてた村の人々。

みんな、ナミを愛してやまなかったのに、ナミだけが、ナミ自身を愛していなかった。

 

だから怖い。

 

今また、人を愛する事が。

 

人に、愛してもらいたいと思う自分の心が。

 

ゾロが、ナミにキスをする。

サンジは、ナミの乳房を優しく愛撫していた。

 

こんなにも、あたしは愛されているのに。

 

勇気が欲しい。

 

自分を、愛する勇気を。

人を、愛する勇気を。

 

人に愛される、勇気を。

 

 

 

「ゾロ… 抱いて… 」

2004/02/25


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