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サンジのペニスはもう限界まで張り詰めて、勃ち上がっている。
濃いピンク色をした先端からは、まるで涙のように透明の雫がポロポロと滴り落ちている。
空いた方の手でそれを握り締めると、一瞬、サンジの腰が浮いた。
「ナミっ…さんっ…!」
いやいやをするように、サンジが首を振る。
そのたびに金色の髪がばさばさと乱れた。
「…ねぇ…、気持ちイイ? サンジ君…」
ナミが囁いた。
かあっとサンジの頬が赤くなった。
握り締めていたサンジのそれを、優しく丹念にしごきながら、先端を口に含む。
滴る雫は何の味もしない。
それを何となく物足りなく思いながら、ナミは、サンジの鈴口に舌を捻じ込み、溢れる液を啜った。
「…っふ…!」
サンジの漏らした喘ぎで、ナミの全身が一気に熱くなる。
サンジの中に埋め込んだ指を、大きくグラインドさせる。
いっそあたしにも、サンジ君を犯すペニスがついていたらいいのに。
「っあ、…ナ…ミさ…! ぁっ…!」
せつなげに掠れる声に、どうしようもなく煽られる。
体の芯が、熱い。
熱くて、どうにかなりそうだった。
まるで自分が犯されているかのような気さえする。
あたしがサンジ君を犯してる。そう思うだけで、ぞくぞくと背筋を這い登る快感。
サンジのモノを、深く、喉の奥まで咥え込み、しゃぶる。
同時に指で、サンジの後孔を犯す。
湿った、淫らな音がする。
サンジが、押し殺したように何度もナミの名を呼ぶ。
サンジの体が反り返る。
立てた膝が細かく震え出す。
急に、サンジは切羽詰ったような声を上げ始めた。
「ナミ、さ…! ほ、ほんとに…! ダメ、だっ…! 離し…!」
うろたえたような声は、すぐに、くっ、という呻きで止まった。
びくっと、ナミの手の中のモノが震えたのが分かった。
あ、と思う間もなく、サンジのソレが弾けた。
ナミの口内に熱い奔流が迸り、驚いて反射的に離してしまった顔にも、それは注がれた。
とろりとした白濁がナミの顔を伝い、口の中に入る。
むせ返るような、雄の匂い。
立ち膝でそれを受け止めていたナミの上体が、ふらりとして、ぺたん、と腰が抜けたように座り込んでしまう。
酔ったように頭の中に霞がかかって、何も考えられなかった。
呆けたように座り込んだナミを見て、イッたばかりのサンジが慌て出す。
「ご、ごめん! ナミさんっっ俺っっっ!」
口の中どころか、顔にまで、かけてしまった。
サンジは本気で焦っている。
それを見て、ナミの背後でナミの体を支えるようにしていたゾロが、にやりと笑った。
「てめェもエロいツラになってるぜ、ナミ。」
とろんとしたナミの目が、ゾロを見る。
そのナミの頬を、ゾロがいきなり舐め上げた。
「……ぁっ……!」
ナミの顔といわず髪といわず飛び散った、サンジの白濁の飛沫を、ゾロの舌が丹念に舐め上げる。
舐めてる。
ゾロが。
サンジ君の…。
「…っ…、てめ、信じらんね…」
聞き取れないほど小さな声で、サンジが呟くのが聞こえた。
微かに舌打ちも。
ナミがサンジを見ると、サンジは、真っ赤な顔で横を向いていた。
耳まで赤い。
ナミがサンジに一瞬気を取られた隙に、ゾロの舌がナミの唇を割った。
びくりと、ナミの体が震える。
すぐにサンジが気がついた。
先刻サンジと口付けた時のナミの様子を思い出したのだろう。
「てめェっ…!」
気色ばむ。
けれどゾロを止めようとした手は、途中で止まった。
「ナミ…さん…」
ナミは先刻のように恐慌に陥ったりはしていなかった。
うっとりと瞳を彷徨わせたまま、ゾロの口付けを受けている。
だってナミには分かっていた。
ゾロにはナミとキスしようという意識なんかこれっぽっちもない。
ゾロはただ、舐めとってるだけなのだ。
ナミの口の中に残る、サンジの残滓を。
丹念に丹念に、ゾロの舌はナミの口腔を舐める。
一滴たりとも、ナミの中にその存在の残るのを許さないかのように。
ゾロとは思えないほど繊細な舌の動きは、否が応でもナミの官能を呼び覚ます。
「…ん… ふ…っ…」
喘ぎが、鼻から抜けた。
ゾロの動きが止まった。
その口元がにやりと笑っている。
ごくり、とゾロの喉が鳴り、舐め取ったサンジの残滓を嚥下する。
いきなり、ゾロの手がナミのスカートの中に滑り込んだ。
「あっ…!」
「てめェ、なにしやがる!」
ゾロの指はナミの下着のずらして滑り込み、ナミの秘裂に触れた。
その感触に、ナミの体がびくりと震える。
くちゅ、とあきらかな水音がした。
「濡れてるぜ、ナミ。」
ゾロの指が更に奥へと分け入る。
「あ… っ 」
「てめェ!」
ゾロを蹴り飛ばそうとしたサンジの体を、ナミの手が止めた。
「ナミさん…」
「だい…じょぶ… やめ…ないで…。」
体には、もう既に火がついている。
サンジの、思いもかけぬ痴態を目にした時から。
体の芯がじくじくと疼いていて、そこを思い切り、抉って欲しかった。
ナミの抵抗がない事を見てとり、ゾロの指の動きが大胆になる。
熱くぬめる秘裂の中へ、ずぶりと指が沈む。
ゾロがナミの耳元へそっと口を寄せた。
「てめェ、サンジがイッた時、一緒にイッたろ。」
耳打ちする。
羞恥にナミが目を伏せる。
ゾロの言うとおりだった。
サンジがその屹立から快楽を迸らせた瞬間、ナミの体を電流が貫いたのだ。
その体には指一本触れられていなかったのに、ナミは、サンジを犯しながら、自分も絶頂に達していた。
ゾロがナミの中から指を引き抜いた。
ナミの愛液は、ゾロの手首辺りにまで滴っている。
ゾロが無造作に、濡れた手首をぺろりと舐めた。
その口元にはまだ笑みが浮かんでいる。
「どうする? ナミ。」
問われて、ナミは顔を赤らめた。
視線を落とすと、ゾロの臍まで反り返ったモノが目に入る。
それはサンジのモノよりも一回り大きく、太く浮き出た血管を纏わせながら、びくびくと震えていた。
サンジのだって、決して小さくはなかったのに、ナミはその巨大さに目を見張る。
入るんだろうか、こんなの。
「す、ごいわね、…それ。」
ゾロが片眉をあげて見せた。
「いつも、それ、…サンジ君、に?」
おずおずと聞くと、赤面したのはサンジだった。
「挿れてみせるか?」
などと、涼しい顔で嘯いたゾロに、「ふざけんな、てめェ!ナミさんの前でそんなことできるか!つうか、無駄にでけェんだよ、削るか切落すかしろ! それができねぇんなら、なんかの役に立ってみせろ! ちんこで電気起こすとか敵殴り倒すとか」と、首の付け根まで真っ赤にしながらわめきたてた。
「きゃんきゃんうるせぇな、てめェは。」
ゾロが言いながら、片手でサンジの頭を掴んだ。
ぎょっとしたサンジの顔が、そのままナミの乳の谷間に埋まる。
「きゃっ」
「わめいてる暇があったらナミの乳の一つも揉んでろ。」
「あ〜ナミさん、桃源郷が見える〜〜〜〜」
「やだっ サンジくんっ や、やぁんっ …んっ… あ…」
着ていたタンクトップが、二人がかりで剥ぎ取られる。
か細い腕に、不釣合いなほど大きな乳房。
この非力な体を、呪った事も、あった。
「ナミさん、キレイだ〜…。」
力では、どうしたって男に叶わない。
だからナミが取ったのは、“女”を武器にして戦う道だった。
「ナミさん…」
「…あ…」
女であることを逃げ道に使ったことはない。
それはナミの最後の矜持だった。
たとえ、女であるがゆえにねじ伏せられ、傷つけられる事があっても、それを自分の言い訳にした事は一度もなかった。
むしろ女である事を盾にして、利用して、戦ってきた。
────なのに、女である自分を、一度も愛してあげなかったわね。あたし。
愛していたのは育った村と強い母と優しい姉。
それを守ろうと必死になるあまり、自分を愛してあげる事をしなかった。
子供達の為に笑顔で凶弾に倒れた母。
妹の為に全身に刺青を彫った姉。
影からそっと、歯を食い縛りながら見守ってくれてた村の人々。
みんな、ナミを愛してやまなかったのに、ナミだけが、ナミ自身を愛していなかった。
だから怖い。
今また、人を愛する事が。
人に、愛してもらいたいと思う自分の心が。
ゾロが、ナミにキスをする。
サンジは、ナミの乳房を優しく愛撫していた。
こんなにも、あたしは愛されているのに。
勇気が欲しい。
自分を、愛する勇気を。
人を、愛する勇気を。
人に愛される、勇気を。
「ゾロ… 抱いて… 」
2004/02/25