「アスカ国際電話だよ、お母さんからだって。」
シンジから電話を受け取ると、即座にかわるアスカ。ドイツ語でペラペラしゃべっており、日本人にはわけがわからない。
「お母さんか・・・いいね。」
「本当の母親じゃないわ。シンスケから聞いたでしょ。」
「・・・そうだったね。ごめん。」
「いいのよ、別に。」
(?やけに、アスカ優しいな。いつもならガルルルって、狼が襲ってきそうなぐらい恐いのに・・・。)
(もしかしたらシンスケ君が何かやったのかしら。)
シンスケの話しによると、この時にはすでに加持はなくなってたそうだ。
「どーせ加持さんからミサトの電話でしょ。」
「それはないわ。」
(未来でアスカと自分が話したと言う、この短い会話が頭から焼き付いて離れないと言ってたわね。なんとも残酷な記憶だわ。)
「弐号機シンクロ率40%」
マヤの声にほっとするNERV職員。アスカは本調子にはほど遠いがなんとか調子を取り戻してきたようだ。
「一時はどうなるかと思いましたが、なんとかなりますかね。(マヤ)」
「ええ、もう少しでパイロット交代も考えなければ行けない事だったわ。(リツコ)」
二人の会話はNERV職員の意見の代表だった。
(さて、問題はこれからだな。だが歴史では死んだはずの俺が生きている・・・。もはや歴史は変わっている。うまく行くかもしれないな。)
その次の日、葛城家ではシンスケの秘密を知る6人が集まっていた。このメンバーがそろうのはもう何回目になるのだろうか?司会はいつも通りシンスケだ。
「さて、第15使徒の件だがいい案が思い浮かんだ人はいるか?」
「私に出撃させて。私が使徒の精神攻撃を受けるわ。(アスカ)」
「アスカ!わかってるはずよ。その結果あなたがどうなったのか。(ミサト)」
「ええ。でもこれしかないと思うの。私がこのもやもやをふっとばすのも、シンスケが本当の自分を取り戻すのにわね。」
「シンスケ君。いつもあなたはうなされてるわ。私達の名前を言って・・・。(レイ)」
「そう言う事よ。歴史が変わったらあんたもちゃんと寝れるんじゃない。第16使徒戦前に私のシンクロ率をも出すためにも、これしかないわよ。」
「誰か反対意見はありますか。(シンスケ)」
沈黙する一同。どうやら結論は達したようだ。
「よし、決定だ。ロンギヌスの槍の準備が整うまではアスカに任せる。勝つも負けるもアスカ次第だ。」
し〜ん、緊張に浸る一同。しかしシンジだけは場違いだった。
「ねえ、レイ。今夜は家に泊まってよ。嫌だよ、いつも兄さんとだけの夜を過ごししてるなんて。」
「おい、誤解を招く言い方をするなシンジ。」
「ふ〜んだ。今夜は綾波とあんなことやこんなこともするんだからね。たまには僕と同じ寂しい思いをしなよ兄さん。」
「だめだシンジ。綾波早く帰って一緒に風呂はいるぞ。」
「いいのシンスケ君?」
レイはシンスケの言葉を本気にして、目をきらきら輝かせている。しまったと思うが後の祭りである。ミサトのからかいグセが火を噴き出した。
「せっかくなら3人で入ったら。せまくてぎゅうぎゅう詰なのが、またなんとも言えず魅力的だと思うわよ。」
「シンジ君とシンスケ君も一緒に。ポッ、いいわ。」
「綾波〜(シンジ&シンスケ)」
(・・・あれから説得するのに一時間もかかっちまった。もう俺もここで寝るか・・・。おやすみなさ〜い。)
「さて、いよいよね。エヴァ全機出撃。」
第15使徒戦が開始された。ミサトはアスカが前で攻撃、シンジ・レイが後ろでバックアップという形を取った。シンスケもいざという時のため、プラグスーツを着て準備は万全である。トウジは、はっきり言って戦力不足で待機だ。
(大雨か。思い出すなあの時のアスカを。)
「目標、今だ射程距離外です。(マヤ)」
「あそこからじゃ、陽電子砲でも、どうしようもないわね。(リツコ)」
その時、弐号機に直線の光があびせられた。その光は消えることなく続いている。
「心理グラフが大きく乱れています。精神汚染・・・シンクロ値もどんどん下降しております。」
「使徒が心理攻撃・・・人間の心を理解していると言うの。」
「私の心を見ないでよ・・・。」
アスカのシンクロ値はますます下がって行く。
「アスカ・・・。しっかりしなさいアスカ。(リツコ)」
アスカは顔を完全にしかめている。母が人形を自分だと思って抱いていた子供の時の嫌な思い出が蘇る。
そして、何よりつらいのは、あの母の首をしめて自殺したシーンを思い出したこと。アスカの心はどんどん崩れて行くように見えた。しかし彼女はそこから立ち直った。
「もう無駄よ、今の世界と未来の世界のアスカはもう違うの。もうアンタと私は別人なの。」
理解不能なアスカのセリフに動揺するNERV職員。この言葉の意味はシンスケ達以外にはさっぱり理解できない。
「シンクロ、精神汚染回復してきます・・・。(青葉)」
「えっ。」
「シンクロ率20.30.40.50.60.70.80.90・・・92.4%で安定しました。(マヤ)」
「アスカあなた・・・。」
シンスケもさすがにこれには驚いた。まさか精神汚染を完全に乗り切った上、これほどのシンクロ率を示すとは。正直、ロンギヌスの槍が到着するまで耐えれるかどうかすら怪しいと思っていたのである。
「レイ、陽電子砲貸して。」
そう言うと、レイが答えるより前に勝手に陽電子砲を零号機から獲って、トリガーを引く。もろくも使徒の体は砕け散った。
「パターン青消滅。使徒殲滅、むろんパイロットも全員無事です。」
その時、一番うれしかったのはシンスケだったのかもしれない。
「アスカ、よくやったわね。」
ミサトの言葉はNERVの皆の意見である。ただ気がかりなのはゲンドウとゼーレだ。歴史を変えてしまったのだ。
彼らも当然それに対応して歴史とは違う事をしてくるはずだ。次の日帰ってから加持にその事を相談するミサト。
「で、NERV対策はどうするつもり?(ミサト)」
「シンスケ君と相談して一つ策は考えてある。(加持)」
「シンスケ君と・・・。それでうまく行きそうなの。」
「その答えは誰にもわからないよ。アスカの言ってた通り、もうシンスケ君の世界とこの世界は違うんだからね。」
「失礼します。綾波、お邪魔させてもらうよ。」
「シンジか・・・。」
「なんだよそれ。僕が来て不満があるの。あっそうそう、今日から僕もここで暮らす事になったから。」
「なっ、ちょっとシン・・・」
「うれしいわ、シンジ君。」
(うっ、レイのポイント下げちゃうから、断るわけにも行かないし・・・シンジの奴、何とかしないとな。)
後書き
というわけで、アスカ復調&シンジもレイと同居の巻きでした。うーん始めの頃に比べると使徒戦の長さましになりましたね。「新たなる道」書いてから少し文書が変わった気がする。しかしレイの性格変わりすぎてるぞ。もう、ここまで来たら修正気かねぇ〜。
次回予告
「成長したアスカ・レイ・シンジの同時攻撃をもってしても第16使徒は敗れない。シンスケはこれを見てエヴァパイロットとして最後の策を実行に移した。果たして使徒戦の結末は、次回エヴァ二回目<最後の使徒戦>また日曜日に見てね。…って、作者がサボる事もあるわね。