第3話「シンクロ率」 

「サードマイナー{碇シンスケ}シンクロ率36.5%、起動可能数値です。(マヤ)」

「ハーモニクス、その他数値以上ありません。」

「でも、シンジ君よりは若干数字低いわね。(ミサト)」

「ええ、当分はシンジ君とレイを主力に考えていきましょう。(リツコ)」

 シンクロ率36.5%、これはシンスケの本来の数値の半分にも満たないものであった。シンスケは高いシンクロ率を出そうと思えば、85%は確実に出せるのである。

しかし、シンジを成長させたい彼にとって、自分がエヴァ初号機に乗って戦ったのでは意味がなかった。また、そんなことになれば、自分に対する碇ゲンドウら上層部のマークがさらにきつくなってしまうだろう。

でも、エヴァに乗れないほど、シンクロ率が低すぎてはサードマイナーとしての資格をはく奪されてしまうだろう。

そのため、シンスケはわざとシンジより少しだけ低い、シンクロ率を出したのである。ちなみに、この後のシンクロテストでのシンジの数値は43.3%であった。


「しかし、よく乗る気になってくれましたね。彼、シンジ君。(マヤ)」

「人の言うことにおとなしく従う。それが彼の処世術じゃないの?(リツコ)」

「リツコ、私はそれだけじゃない気がするわ。シンちゃんがエヴァに乗ってくれたのは、シンスケ君の影響もあるような気がするわ。(ミサト)」

「でも、シンスケ君もよく乗ってくれましたね。(マヤ)。」

「そうね・・・。(リツコ)」

リツコは、このとき、シンスケがシンジのクローンであると言う話しをすでに、冬月から聞いていた。(もちろん、本当は違うのだが)この時点では、リツコはその話しを信じていた。

科学的に見て、それ以外シンスケの存在の説明のしようが、ないからである。


学校を転校して、自己紹介をするなり、シンジとシンスケはすっかりクラスの人気者になっていた。なにせ2人とも本当にそっくり。シンスケの鉢巻がないと、まったく区別がつかない。生徒たちは興味津々であった。

「碇君達ってどこからきたの?」

「シンジは第2新東京市、俺は四国。」

四国にシンスケが住んでいた、もちろん、真っ赤な嘘である。

「え、兄さん四国に住んでたの?」

「ああ、そうだ。」

・・・(「ああ、そうだ」これって、まるで父さんのセリフじゃないか!イメージ最悪。)

「えっ、別々に住んでたの?どうして?」

「知らん。僕達の父親の勝手な都合だ。ここに僕達がきたのも、あの父さんの勝手な都合だ。」

「兄さん、父さんのこと嫌いなの?」

「お前は好きなのか?」

<ぶんぶん>、と首を横に振るシンジであった。この頃のシンスケよりはっきり、物事を言えるようになってるようだ。


それから、三週間後、シンジとシンスケのパソコンに同じメールが届いた。

<シンジ君かシンスケ君があのロボットのパイロットってのは本当?YES/NO>

<YES.シンジが正規のパイロットで、僕が予備のパイロット>

「ええ〜っ(クラス中)」

その後、シンジとシンスケはいろいろ質問されたが、シンスケは最後まで

「ロボットのことは全部企業秘密だから。教えられない、。ごめんね。」

としか言わず、シンジもあいまいな返事を繰り返すばかりであった。


「転校生、わしはお前を殴らないかん。殴らな気がすまへんのや。(トウジ)」

バキーッ、シンジはよけようともせず、パンチをまともに食らっていた。しかし・・・

(こんな事もあったな、今となってはいい思い出だな)と、のんきなシンスケ。

シンジがトウジに殴られた理由は、実は彼の妹が頭に大怪我をしてしまい、その原因がシンジのEVAの操縦のせいだと思いこんでいるためである。

「僕だって乗りたくて乗ってるわけじゃないのに。(シンジ)」

バキーッ、またもや殴られるシンジ。しかし、シンスケは、

(これも後々いい思い出になるぞシンジ)

と心の中つぶやいて、まったく気にしていなかった。あの赤い世界で、すべてを失ったシンジにとってケンカもなつかしい、良き思いでであった。

その後、シンスケとシンジの携帯には”非常召集”という文字と緊急用のアラーム音が鳴り響いた。


「シンクロ率43.5%(マヤ)」

「ハーモニクス、その他以上ありません。(マコト)」

「発進(ミサト)」

シンジは2回目の実戦であったが、まだまだバレットガンもプロレシッブナイフもうまく操れない。この戦いも途中までは、シンジであった頃のシンスケとまったく同じ展開であった。

そして、シンジが使徒の攻撃にやられ、初号機が倒れてしまうと・・・

「シンジ君のクラスメイト。(ミサト)」

「なぜこんなところに。(リツコ)」

どうやら今回もあの2人はシェルターを飛び出してきたらしい。

シンスケとしては、トウジ・ケンスケをシェルターから抜け出すのを止めさせることもできたのだが、後々シンジと大事な友達になるには、この事件が起きることが不可欠だと考えたため、わざと止めなかったのである。

「シンジ君、その2人を操縦室へ(ミサト)」

ミサトのこの命令から始まった、ミサトとリツコの口論を無視して、シンスケは強くシンジに言った。

「シンジ、突っ込め。チャンスは今しかない。使徒が油断している今しか。」

「ちょっとシンスケ君、越権行為よ。退却しなさいシンジ君。(ミサト)」

「シンジ君、ミサトの言う通り、お兄さんのいう事は無視して退却しなさい。(リツコ)」

「責任は俺が取る。突っ込めシンジ。(シンスケ)」

シンジには、なぜかシンスケのいう事の方が正しい気がした。初号機を使徒に突っ込ませる。・・・シンジの考えは正解だった。シンスケの言うとおり、シンジは見事使徒の殲滅に成功した。

その後、シンスケは越権行為を理由に1週間独房に入れられた。このことはシンジに納得できなかった。シンジのNERVに対する不信感が生まれつつあった。


後書き

今回は、ちょっとだけ戦闘シーン書きました。しかし、このSSレイが出てきませんね。今回も原作ではちょろっと出てくるシーンあるのですが、話しの展開上カットしてしまいました。シンジとシンスケの会話も、もう少し増やして期待と思っています。感想&希望カップリングメールくださいね。では、第4話でまたお会いしましょう。

次回予告

 「第4使徒を倒すため、シンスケは見事なアドバイスをシンジに送ったが、シンスケは越権行為のため、独房入りにされてしまう。その1週間後、シンジは綾波レイにコミュニケーションを取ろうと試みるのだが・・・。エヴァ2回目、第4話「綾波レイ」次回もサービス、サービス」


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