「L.C.L.------------------------------Sinkio−Start」
ビービー、モニターがバクる。
「あんた、日本語で考えてるでしょ。ちゃんとドイツ語で考えてよ。」
「俺は日本語しかわからん。」
「バカ、もういいわ。思考言語、日本語に変更。」
「・・・俺がドイツ語できないことぐらい、わかるだろ。初めから日本語にしろ。」
「うるさいわねバカ。あんたが悪いんでしょ。」
2人がまた、口喧嘩をしている間に使徒はどんどんEVAに迫ってくる。急に真剣な顔になるアスカとシンスケ。いままでの喧嘩口調と違いまじめな声で
「アスカ、EVAで水中戦は不利だ。ここは船の上で待機して、使徒がEVAに飛びついてきたら、口の中にあるコアをナイフで刺して、イッキに決めるぞ。」
「わかったわ。」
(命令口調で癪なやつね。)
艦船が使徒の攻撃により大きく揺れ、すざまじい音を立てる。。ただ、ひたすら使徒を見つめ、EVAの中で身構えるアスカとシンスケ。そして使徒はEVAを発見して飛び掛ってきた。
「今だ(よし)」
同時に叫ぶアスカとシンスケ。第6使徒のコアをイッキに突き刺す。使徒は必死の抵抗で逃げようとする。しかし数秒後、もろくもコアは崩れ真っ二つに両断された。使徒の血が海の中に混じる。
「どう、サード予備、私の華麗な戦闘は。サードにも、かなわないあんたじゃ、百年たっても真似できないわね。」
「まあ、確かに現時点ではEVAの操縦は、お前が一番うまいようだな。」
「ふん、当然よ。」
(碇指令から帰還要請が出て、逃げようとしたら、すでに使徒をもう倒しているとは、アスカもたいしたもんだな。しかしシンスケ君も一緒に乗ったって言ってたな。いくらアスカが最高シンクロ率を持っているといっても、始めての実戦。・・・ちょっと手際がよすぎるぞ、もしかするとこれはシンスケ君が何か・・・。)
「あっ、加持さん、どうでしたか私の華麗なデビュー戦は。」
「ああ、見事だったよ。なんでも一瞬で倒したそうじゃないか。あまりにも手際がよすぎてしっかり見れなかったのが残念だよ。あと、そういえばシンスケ君も一緒に乗ったんだって?」
「そうなんだけど、あいつ生意気なやつで私に命令してくるんですよ。予備のくせに。まあ、たまたま良い作戦だったから、今回だけは、聞いてあげたんですけど。」
「ほう、どんな作戦を?」
「たいしたことないですよ。ただ、水中戦は不利だから、船の上で待機しろ!と、言っただけですよ。加持さん。(シンスケ)」
(水中戦は不利か。そのくらい気づいても、今まで使徒との戦いを見てきている彼なら不自然ではないな。今回は俺の勘ぐり過ぎか? まあ、ただの中学生にしちゃ良い作戦だけどな。)
実際には、シンジはアスカに”口の中”にあるコアを叩けとも進言を出していた。アスカは気づかなかったが、この進言は不自然だった。コアのことはともかく、”口の中”と言う場所まであの時点では特定できるはずがないのである。
シンジの進言はもう少しで自分の”ある種の強さ”を暴露してしまう危険なものであった。なぜ”ある種の強さ”を暴露したらいけないかと言えば、それを暴露してしまうと、シンスケは危険人物として殺される確立が高いからなのだ。
「ちょっと、ばかハチマキ(碇シンスケ)また立ち聞きしてたわね。」
「たまたまだよ。」
(まったく、本当むかつくやつね。日本に着いたら思いっきり後悔させてあげるわ。)アスカとシンスケの仲はますます悪くなる一方であった。
「いやいや、まさか使徒に出くわすとは、思いませんでしたよ。やはりコレのせいですか?」
トランクを差し出す加持。それのなかには、第一使徒アダムが入っていた。
「しかし、ご子息は弟だけでなく兄もなかなか優秀で。中学生とは思えぬみごとな作戦でしたよ。」
この時点で、加持リョウジはゲンドウの子はまちがいなくシンジ一人で、シンスケがシンジのクローンだと名乗ったとの情報も入手していたが、あえて”ご子息”と言う呼び方をした。
「ふん、くだらん。大事なのは、最初の人間アダムこそ人類補完計画の要だという事だけだ。」
なんだが、双方の話しがあっていない、ゲンドウと加持の密談であった。
第7使徒との戦闘後の夕方、新横須賀港に着き、シンスケとシンジは家に帰っていった。ちなみにミサトは、第7使徒との戦闘の報告書作成の仕事があるので、今日は残業のようだ。
「兄さん疲れてるね。」
「ああ、使徒以上にアスカには疲れさせられたよ。」
「はい、チャーハン。にしても兄さんと惣流さんって仲良いね。」
「はあ、容姿は文句なく俺のタイプなんだけどな・・・あの性格がな。ああ、もったいない。」
「ハハハ、でも、あっという間にあの娘、使徒倒したじゃない。実力はあるんじゃない。」
「だから、厄介なんだよ。自身過剰でな。シンジは一緒に、戦わなきゃいけないんだろ。これから大変だな。」
「それにしても、ミサトさんもまた残業かぁ、大変だよね。」
「どうせまた、日向さんか青葉さんあたりにでも仕事押し付けて、飲みに行ってるんじゃないのか?」
「可能性は否定できないね。」
「だろ。 うん、チャーハンいい味付けだな。この前よりずっといいよ。」
「(テレながら) ありがとう、兄さん。」
(シンジのやつ、俺の”この頃”よりずっと性格よくなってるな。ああうらやましい。しかし、自分で自分の事がうらやましいって、我ながら変な話しだな。)
その頃、ミサトが仕事を部下に押し付けていたのかどうかは定かではない。
「まったく、昨日はラッキーだったぜ。目の前でEVAの戦闘が見られるなんて。」
「ケンスケ、そんなことで喜んでるのは、お前だけや。」
「それと、昨日のビデオカメラの映像間違ってもネットで流したりするんじゃないぞ。(シンスケ)」
「わかってるよ、シンスケ」
<キーンコン、カンコーン、キンコーン、カンコーン> ガラガラ、教室の前のドアが開くと、赤色の髪の毛の少女と、定年近く の老教師が教室に入ってくる。
「ええ、皆さん今日から転校生が入ってくることになりました。皆さん仲良くして下さいね。」
「惣流・アスカ・ラングレーです。よろしくお願いします。」
「ええ、では惣流さんの席はと、席が開いているので、このシンスケ君の隣に座ってください。」
「あ、あんた昨日の。もう最悪。」
「それは、こっちのセリフだよ。」
「何ですって!」
シンスケとアスカの口喧嘩は以下永遠と続いていく。そんな2人のやりとりを少し切なく、青色の髪の毛の少女が見つめ続けていた。
後書き
今回の第8話では、戦闘シーンが大半を占めるはずだったんですが・・・、今振り返ると、全体の約4分の1もなく、非常に短くなってしまいました。ゼロ距離射撃と水中戦闘をなくしてしまったのが原因ですな。代わりに、シンジとシンスケの食事シーンとアスカの転校初日のシーンを追加することで、文の長さを補ったトマトスパイスでした。
次回予告
「分裂使徒がやってきた。一度目の対戦はなすすべもなく敗退してしまう、アスカ&シンジ。彼女らは、分裂使徒を倒すため、ユニゾン訓練をするが、まったくかみ合わない。そんな二人にシンスケは荒治療を行なうことにした。はたしてその荒治療とは?エヴァ2回目、第9話「ユニゾン訓練」 でも、次回はあたしサービスできないわ。だって、出番ないんだもん。」