第十三話「JA騒動」

初号機とJAの戦いが始まった。・・・JAは遠隔操作の細かい動きができない。・・・シンジの敵ではなかった。あえなく、初号機にマウンテンスタイルで上を取られてしまう。じたばた下でもがくJA。だが、こんなものでEVAにかなうはずがない。

「これが使徒を倒す兵器ですか・・・。素人の僕でも、どう見ても勝ち目ないと思うんですが。コレ以上やると放射能漏れ恐いんでもう僕の勝ちにして欲しいんですが。」

シンジ余裕しゃきしゃき。JA責任者時田は目の前の様子を見れば反論しようがない。が、最後の意地で降参だけは認めないと意地を張っていたとき・・・それは起こった。

「変です。JAのリアクターの内圧が上昇しています。機体内部の温度も急上昇しています。」

「いかん!内部の電源を全部切れ。」

「電源全面切断・・・停止信号受信されません。JA制御不能です。」

JAは上にいた初号機をぶっ飛ばし、その後前進を続ける。JAの司令室に派手な警告音が流れ、モニターに制御不能の文字がスクロールされる。時田はパニックの絶頂にいた。

「そんなバカな。JAには1000通りものミスを想定して、特殊プログラムが組まれているのに。おまけに万が一のための全面停止ボタンも受けつけないなど・・・ありえない!」

実際にこういう事態は、どんなに気をつけても起こり得るものだ。軍隊なるもの、いつでも最悪の事態に備えなければならない。・・・だから、原子力を使う兵器など作ってはいけないのだ。

「・・・まだ内部には、全部のプログラムを消すと言う最終手段が残っているはずだ。そのパスワードを教えろ。俺とシンジが止めに行く。」

「それは最高機密。私の管轄外だ。口外する権限はない。今、上に命令書を要請している。」

バーン、一発の銃声音が鳴り響く。・・・その場にいるほぼ全員がその音に気を取られていた。時田がふと振り向こうとすると・・・なんと頭の上に拳銃が見えた。

この一連の動作を行なったのは信長だった。戦場で戦った事がない時田はあっさりと信長に引っかかってしまったのである。信長の顔には明らかに殺気がこもっていた。もはや時田は降参するしかなかった。

「けっ、上の責任者が責任のなすりあいで、そんなものが届かないのは目に見えている。さぁ、パスワードを言わなければ、その首、頂くぞ。」

「・・・希望だ。」

「けっ、死ぬのが恐いなら初めから話しな。どうせ、教えなくてもお前は死んでんだぞ。」

時田は運がよかった。周りの人達へのNERVへの不信感を強くさせないため、殺さなかったのだ。普通なら、もはやその頭は吹っ飛んでいただろう。

「・・・シンジ俺の前にEVAに乗ったままで来い。・・・リツコ、防御服を用意してくれ。JAは俺の手で直接止めに行く。

「無茶よ、佐藤部長、無駄な事は止めなさい・・・。あなたが死ねわ。」

「けっ、リツコ、このまま何もしなくても同じ事よ。なら、少しでも可能性のある方に俺は賭けるぜ。・・・シンジ、エヴァの手で、俺をJAの入り口まで運べ。」

信長はその場で服を脱ぎ、急いで準備をする。色々隠している暇はない。潔癖症のマヤが<不潔>とか騒いでいるが、そんな悠長な事を言っている場合ではない。

EVAの左手に乗った信長は、落下しないように注意しながら、JAに乗るタイミングをうかがっている。EVAの前方にあったJAに追いつきかけたシンジは右手を伸ばし、JAの動きをなんとか止める。

まだ、JAはEVAに右半身で、抑えつけられながら、前に進もうとしているため、体の振動するような運動が激しく進んで、信長がJAに乗りこむのは困難に見えた。

しかし、信長は抜群の身体能力でJAにジャンプして移る。落下したら良くて大怪我・・・死ね可能性も高い。だが、信長は危なげなく飛び移ることに成功した。

初号機にJAの扉を無理やりこじ開けてもらうと、信長は急いで中に突入。防御服を着ているにも関わらず、とんでもない暑さだ。一瞬で汗がだくだくである。

信長は内部のコンピューターを発見。すぐさま<希望>とパスワードを打つ。しかし、画面には<エラー>と表示される。もう1回確かめてみるが、結果は同じだ。

JAのプログラムが書きかえられているのか。残り時間は30秒。信長にプログラミングの知識はまったくない。・・・もはや、己の最後を悟った。

「ふっ、ここまでだな。しかし切腹する道具もないの〜。・・・爆発を待つしかないか。」

・・・30秒が経過した。しかしJAには爆発は起こらなかった。外ではJAの活動が完全に停止したとの放送が流れている。信長はEVAで救出された。

皆、大騒ぎして喜びの声に震えていた。しかし・・・それはある意味間違いでもあった。・・・そんな中、今ごろJAを止めるのを許可するとの紙が時田の元に届くのだった。

翌日、信長は戦略自衛隊の長井元帥に公式に呼ばれた。信長は冬月にも事前に報告しておいて、戦略自衛隊本部に入っていった。公式会談が終わった後、個人的に元帥から話しがあった。

「今回の件は何とお詫びすればいいのか・・・。JAを止めていただいた事は真に感謝しております。信長さんがいなかったらどうなっていた事か。」

「・・・先の公式会談では、JA制作を任せた重化学工業のせいだと主張したのに正反対だな、長井。だが、あれは俺がいなくてもJAは確実に止まっていたぜ。・・・今回の事は10中8,9戦略自衛隊と敵対する何らかの組織が引き起こした謀略だ。」

「なんですって。・・・しかしなぜ、そんなに自信があるのですか。本当に事故かもしれないじゃないですか。」

「JAのプログラムが書きかえられてたんだよ。俺がパスワード打っても何もコンピュータは反応しなかったぜ。」

「・・・そんな事が。JAは私がエヴァに対抗するために重化学工業から半ば強引に、戦略自衛隊に企画を奪ったものだった・・・。それが、実戦にも出れず、こんな形で終わりを迎えるとは。・・・犯人に心当たりは?」

「戦略自衛隊を恨んでいる奴なんてごろごろいるよ。犯人の特定なんて無理だな。」

その時は確かにそう思っていたのだが、信長は数日後、ふとあの時を振り返ってみると、やけにひっかかることがあった。リツコの言葉である。

「無茶よ、佐藤部長、無駄な事は止めなさい・・・。あなたが死ねわ。」

<無駄な事>・・・このセリフはおかしい。あの時点なら信長の策が成功する確率はそこそこあったはずで、決して<無駄な事>などではなかったはずだ。

リツコがそんなことに気付かないわけがない。ならばなぜ、こんな事を言ったのか。・・・考えられる理由はただ一つ。リツコはJAが止まる事を知っていたと言う事だ。

・・・しかし、さらによく考えてみれば、<言葉のあや>と言う可能性も捨てきれない。だが、信長はなぜか、<言葉のあや>とは思えなかった。

これほどの策略が行なえる組織は非常に限られていて、その中の一つがNERVだったからかもしれない。

信長は調査を頼むため加持に電話をかける。ドイツにいる彼が今回の事はあまり重要視していないかも知れないが。

「もしもし、信長だ。加持、日本で起きたJA事件の犯人を探して欲しい。・・・もしかするとNERVが関係しているかもしれんのでな。」

「ああ、そちらの件はもう確認済みです。あれは碇司令が仕組んだ事ですよ。・・・目的は予算ですよ。JAが無様に失敗すれば、その分の費用が国連からNERVに回りますからね。無論、これは他言しないで下さいよ。」

「・・・もうそこまで知っているとは。並のスパイじゃとてもできない。お前、さては、単純にNERVをスパイしているだけではないな?」

「御想像にお任せしますよ。じゃ、3日後に船の上でお会いしましょう。」

・・・まったく想像以上の男だ。間違いなくNERVに対しても、太い情報のパイプを持っている。俺以上のNERVでのパイプ問いば、考えられるのは司令ぐらいだな・・・。

加持リョウジ・・・わからん男だ。そんな太いパイプがあるのに、なぜ俺に近づいた?なぜこれだけの情報を流してくれるんだ?目的があるはず・・・何かあるはずだ。

その頃、NERV司令室。赤木リツコが今回の事件について、司令に報告をしていた。そのほとんど物がおいていない部屋に2人だけがいるという光景には何か違和感を覚える。

「今回の一連の行動・・・佐藤信長の行動以外はすべてシナリオ通りです。」

「御苦労。佐藤信長・・・シナリオにない、あの男少し気がかりだな。まあ利用価値のある人材をすぐには殺さんがな。」


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