『はた迷惑な女達』番外編

西塔皐・主夫への道




その1洗濯編


ロンドンに留学して一番困った事は、やはり家事だった。

それも洗濯が。

食事は外で何とかなるし、掃除もまあ・・・毎日必要と言う訳でもない。

洋服はクリーニングに出せばいいが、下着やパジャマやTシャツなどまでクリーニングに出すのも躊躇われる。

何より、LBSでは皆学生だから、カジュアルな装いが多くなる。

ますますクリーニングには出し辛い物が増える。

コインランドリーは一度利用したら、白い物がグレーになったので二度と使えなかった。

洗濯機を買おうかどうしようか悩んでいると、同じフラットのインド人が引っ越す時に安く譲ってくれた。

こちらでも全自動は当り前で助かった。

夜、汚れ物を放り込んでおけば、朝には出来上がっているから。

家電は偉大だなぁと今更ながらに感心する。

ただ、やはり最初の頃はジーンズの色落ちに悩まされたり失敗も多かったが。

次第にシャツをクリーニングに出すのを惜しんで、アイロンまで購入した。

自分でビジッと仕上げられると、達成感がある。

留学中の1年3か月でかなり学習し、身に付いた。






その2掃除編


一人で暮らしていると、当然ながら掃除をしてくれる人は誰も居ない。

1ヶ月も経つと、流石にホコリが目立ってきた。

一人暮らしのフラットに掃除を頼むのも気が引けたし、不経済だ。

思い切って掃除機を購入する。

やはり家電は偉大だと思う。

週に一度、狭い部屋に掃除機を掛ければ、それなりに部屋の状態が保てた。

ただ、キッチンやトイレやバスなどの水回りは洗剤を使わなければダメだとカビが生えて来た時に思い知った。

ロンドンは東京ほど湿度が高くはないが、それでも放っておけばカビは生えるものだと知った。

それにしても最近の洗剤は種類の多さと効果の強さが際立っている様な・・・

何度か購入して、使用方法を間違って失敗したり、洗剤の強さに手を荒らしたりしながら学んだ。

説明文を熟読する習慣が身に付いた。







その3炊事・初級編


留学して2カ月近くが経った頃、流石に外食ばかりでは飽きて来た。

ロンドンはかつての植民地からの移民が多いので、多国籍の料理店があり、当然日本食の店もあるのだがインドもイタリアンも日本とは味が全然違うし、日本料理店は高くて敷居が高い。

安くて味が慣れているのが中華だが、これも米が違う所為か不満が残る。

ロンドンでは祭日になると一斉に店が閉まる、という悪習慣が残っていて、偶に困る事もあった。

外食ばかりでは経費も嵩むし、健康にも気を配ると言う意味でも良くないと思った私は自炊を決意した。

会社から留学中でも給料を貰っているが、ロンドンの物価は東京ほどではないにしろ、高い。

朝食にパンやシリアルを買ってコーヒーやミルクで済ませた事はあったが、昼食はパブのランチが中々美味くて、夕食も外で済ませていた。

私は少しずつだが夕食を自宅で摂るようにする事にした。

フライパンと鍋と炊飯器を購入してネットでレシピを検索する。

やはり米の食事がしたい。

今では初心者にも分かり易い様に簡単なレシピが詳しく掲載されている。

ロンドンにも日本のデパートがあって食材が手に入る。

米と味噌と醤油と豆腐と佃煮と出汁の素と乾燥ワカメを購入し、近所のスーパーで卵や肉や野菜や缶詰などを購入した。

料理など初めてなので、ネットで調べた手順を熟読して実践した。

まずは、米を炊いて、ワカメと豆腐の味噌汁に出汁巻き卵と豚肉の生姜焼きに佃煮を添えた。

レタスとトマトの簡単なサラダも一緒に。

慎重にした所為か、失敗は無かった。

久し振りの日本食に感動する。




その3炊事・上級編


日々の食事に困らない程度に腕が上達して来ると、折角イギリスにいるのだから、こちらの料理も覚えて行きたいと欲が出る。

よくイギリスに美味いものなし、と言われるが、パプのランチで食べた『シェパーズ・パイ』は美味しかった。

食べた時に味を味覚で覚えさせて、レシピを探す。

パイ生地の代わりにマッシュポテトを使ってパイと呼んでいるらしいのだが、ひき肉と玉ねぎ人参をトマトソースで煮込んだ物の上にポテトを乗せてオーブンで焼くらしい。

ゼミの友人達をフラットに呼んで振舞うと褒められた。

いつか、彼女に食べさせてあげたいと思う。

最初は市販の調味料やドレッシングを使用していたが、そのうち自分好みに色々とアレンジする術を覚えた。

トマトソースも缶詰よりも生のトマトを煮込んで自分なりの味付けをする方が美味しい。

もちろん、手間が掛かるので、いつも、と言う訳にも行かないが、いつか、彼女に自慢のチキンのトマトソース煮込みをご馳走したいと思う。

帰国する日が待ち遠しい。





 


 



































Postscript



その1

西塔さんの留学体験記、ならぬ家事体験記(大笑)
パラサイトシングルの彼が初めて一人暮らしを経験して家事を覚えて行く過程なぞを描いてみました。

コインランドリーは私の体験談です(苦笑)
どうしてグレーになるのか理由は判らずじまいでしたが。

ま、結婚したら家事は必須ですし(苦笑)
これからは男も家事をする時代だ!ガンバレ!皐!

その2

家事体験記その2は掃除。西塔さんは意外とキレイ好きのようで。

部屋の中は掃除機で済んでも(そー言えばダイソンはイギリスの会社)水回りは大変です。
本来、無精者の彼でも流石に失敗して色々と学ぶのでしょう(笑)
掃除はハマるとトコトン極められる物ですから(大笑)

私は掃除が嫌いですからマメな事はしませんが、少しでも楽にしようとウチには多種多様な洗剤が置いてあります。
ごしごし擦ったりって面倒じゃありませんか?
カビキラーは偉大だと思います。

その3

こちらも私のイギリス滞在時に感じた事を元にしています。
パプでランチがでるのはイギリスだけでアイルランドではお目にかかれませんでした。

そして、あちらでパスタというと、どーも・・・(安い所ばかりだからダメだったのかもしれませんが、日本でも安い場所でもちゃんとした物が出て来るのに)
インド料理はイギリスで食べた事がありませんが、日本にあるレストランのグレードは世界的に見ても高いレベルだとつくづく思い知りました。

西塔さん、初めてのお料理は簡単でも意外と難しいものにチャレンジ。
出汁巻き卵は意外と難しい・・・私は未だに綺麗に巻けません(主婦としてそれはどうだろう?)


『シェパーズ・パイ』も実は私がイギリスで覚えた料理。
忙しい羊飼いが手間が掛からなくて保存のきくと言った目的で作られた物ですから、大した料理ではありませんが、フィシュ&チップスとロースト・ビーフ以外でイギリスが世界に顔向けできるのはこれくらい?(失礼な言い方)

ロンドンの物価の高さは東京並みですが、流石に肉食文化の国だけあってお肉だけは日本に比べて安かったです。

そして、本編でついに一度も語る機会がありませんでしたが、西塔さんはこの留学中に禁煙を果たせました。
理由は「タバコが高いから」(大笑)
彼女と付き合い始めて煙草の数は減っていた彼ですが、日本の4倍近い値段に驚いて、きっぱりと止められたらしいです。




拍手掲載期間 2009.8.20-26

 

 

 

 

 

 

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