『はた迷惑な女達』番外編

あなたの歌になりたい



「んで、今日はどこ行く?」

夏休みが終わって新学期が始まった私とは違い、大学生の彼はまだ夏休み中。

私を学校まで迎えに来て、放課後のデートが週に何回か定期的に復活した。

車のエンジンを掛けながら、彼のいつものセリフ。

どこ、と言われても・・・最後に向かう場所はいつも同じなのに。

「カラオケに行きませんか?」

初めて行った時から一度も行っていない。

でも、私も少しは最近の歌を覚えたし、マナーも守るつもりだ。

彼がどんな歌い方をしても拍手して称賛しようと思う。

「へ?珍しいね、イイけど」

いつも私は『どこでも構いません』と言うから、具体的に場所を指定するのは確かに珍しいかもしれない。

けれど、彼はいつも私に『どこ行く?』と尋ねて来る。

変な人。

そして向かった以前と同じ駅前のカラオケボックス。

今度は飲み物だけを頼んで、パラパラと歌本を見て曲を探す。

「へ―!他のも歌えるようになったんだ?」

積極的に歌を探す私を、彼はニヤニヤと笑って見守る。

「あなたも歌って下さい」

私は少し恥ずかしくなりながら、彼にタッチパネルの機械を押し付ける。

「イイけど、またあの曲も歌ってくれよ。オレ、アレ好きだな」

ピッピッと機械を操作しながら彼がそう言った。

そう言われると・・・恥ずかしいけれど嬉しい。

「ホレ」

彼が入力したのはあの曲。

差し出されたマイクを受け取って、困りながらも歌い出す。

以前は目を閉じて歌ったけれど、今度は彼を見て歌う。

間奏で一息ついた私に彼が手を伸ばして引き寄せる。

立っていた私は、彼の膝の上に座らされてしまう。

「葵・・・オレを誘ってんの?」

そんなつもりは・・・でも、キスで口を塞がれては反論も抵抗も出来ない。

結局、私達は一曲も歌いきる事が無いまま、カラオケボックスを後にした。






学校帰りの彼女を拾って、行きたい場所を聞く。

新学期が始まっちまったから、一日中一緒に居られるのが減っちまったが、ま、仕方ない。

いっつも『どこでも構いません』って言うんだけど、今日は珍しく『カラオケに行きたい』っつった。

カラオケ・・・ちっと苦い思い出がある場所だが。

でも、彼女のあの歌はメチャ良かった。

だから、リクエストして早速一番に入れてやったら、彼女は躊躇いながらも歌ってくれた。

それもオレを見て。

夏休みからこっち、彼女はオレによく笑顔を見せてくれる。

モチロン、笑顔だけじゃねぇけど。

彼女のバーサンが歌っていたというこの歌は、ラブソングっつーにはちと歌詞が甘くはねぇが、それでも彼女のキレイな声と笑顔が、このオレに向けられている。

それだけでもう・・・歌を全て歌わせずに、ホテルに連れ込んだオレの気持ちは男なら判る筈だ。

キスした彼女の瞳は潤んでいて頬は薄っすらと赤く染まって・・・彼女だってその気になってる筈だろ?

ホテルで彼女の制服の下を探れば、下着の上からでも乳首が勃ってんのが判るくらいだったし。

「葵、オレが欲しい?」

聞いてるオレの方が早く欲しいんだけどさ。

やっぱ、言って欲しいじゃん?

『あなたが欲しい』ってさ。

服を肌蹴て、胸に吸い付いて、濡れている襞に指を這わせるオレの息は苦しいくらいに上がってる。

「あ・・・和晴さん・・・」

言って・・・オレが欲しいって。

そしたら、ソッコーでオレのギンギンでヤバイくらいに先走って濡れ始めてるヤツを挿れたげるからさ。

つーか、挿れさして。

オレがガマン出来なくなる前に。

「言って・・・」

情けないくらいにオレの声は掠れて息が荒い。

「・・・欲しい」

よし!言ったな!

ジーンズのボタンを外して、チャックを下げて、下着を下ろして、ゴムを装着するまでの時間は、世界記録を狙ったっていいくらいの早業だったと思う。

「ああ・・・葵」

すっげー、好き。

死んじまいそうなくらい気持ちよくってサイコーだよ、オマエん中。

「・・・愛してる」

世界中の誰よりも。

このまま、ずっと繋がっていたい・・・

ケド、んなコトは無理なワケで。

「・・・くっ」

キキュッと締め上げられたオレの息子は、崩れ落ちた彼女の身体から抜け出ながら果てた。

暫く、荒い息を整える為にそのままじっとしていたが、激しい鼓動が治まってくると、オレは漸く彼女の服をちゃんと脱がせて、ベッドに運んだ。

オレも全ての服を取り払って彼女に覆い被さる。

キスをしても愛撫をしても反応が薄かった彼女が徐々に舌を絡めて愛撫に敏感になってくる。

オレの髪に指を差し入れ、背中に手を滑らせる。

慣れて、大胆な手付きになってきた彼女。

もっとオレを感じさせてくれよ。

もっともっと感じさせてやるからさ。

んでも、タイムリミットがあんだよな。

彼女を夕食までに帰さねーと。

オレはチラリと腕時計を見た。

四時か・・・アト一回が精々かな?

そんなコトを考えていると、彼女がオレの背中に爪を立てた。

「ってーよ!」

「時間が余り無いのですから、集中して下さい」

怒んなよ。

んなコトすっと苛めるぞ!

や、ムリだけど。

だってさ

「あ、葵・・・」

ヤメテ・・・触んの・・・イッちゃうから。

とは口が裂けても言えねーケド。

彼女はオレのをイヤラシイ手つきで撫で回してくる。

そのビミョーなタッチに復活していたオレのが女みてーにダラダラ濡れる。

擦られてるワケじゃねーからイケねーし。

もどかしさに焦れる。

っクソっ!

彼女の全身を嘗め回して、ヒィヒィ言わせて遣ろうと思ってたのに!

オレは彼女の両足を肩に担ぎ上げて、新しいゴムを着けたモノをぶち込んだ。

腰が抜けるほど激しくしてやる!

オレの腰もどうなるかわかんねーケド。

ぐったりとベッドにノビたオレ達は、ヨロヨロとシャワーを浴びるのが精一杯で、バスルームでイチャつくコトも出来ず、ヘロヘロになって彼女を送り届けた。

葵サン、お願いですから、平日にオレを挑発すんのはヤメてクダサイ。

休みの日なら一日中でも構いませんから。







  

































 

Postscript


あ、アホ過ぎ・・・お前ら、ラブホ以外のデートしてねェの?
と突っ込みたくなるバカップル。
これではノブと沙枝の見本にはならない(苦笑)

夏休みに海での水着デートも良いなぁと思いましたが、
和晴は葵の水着姿を他の男の前で曝すのは嫌がりそうだ。

「あなたの歌になりたい」と言うのは大昔の漫画のタイトルから。
拍手から下げる際に付けるタイトルとしてポッと思い浮かんだもの
(相変わらず考えるの苦手だ)


現在、拍手掲載作の和晴サイド、アダルトバージョンです。
リードしているようで、リードされてます?
いや、まだ男の面目は立っているのかな?
一回目は、ナンと立ったままだったんですよ〜酷いですねぇ。
サカってる2人でした(苦笑)


以上が拍手掲載時のコメントと別館での後書き。
アホな管理人はタイトル間違えてました。正しくは「愛の歌になりたい」でした(恥)
よく確認せずに勢いで書き上げるとそうなる(反省)
気付いたのがアップしてかなり経ってからだったのでそのままに(オリジナルっぽくて良いか?アホ)


拍手掲載期間 2009.9.9-10.1

 


 

 

 

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