博多駅のふるさとライナー九州の出るホームで待っていると、下関で別れた友人がやってきた。
やっぱり博多南線には乗らなかったと言っていた。けっこういい所だったと話しておく。
ふるさとライナー九州が入線してきた。
指定席なのでそれほどあせることもなく、ぼくは窓側、友人は通路側に座る。
たしか去年10月に自由席に乗ったときはこんなにいい座席じゃなかったような気がするなあ…と思いながらすわった。
座ってあいさつする間もなく発車となる。なんとも忙しい列車なのである。
指定席だけあって、誰も立っている人がいないのは当然であるが、はたして自由席はどのくらい混雑しているのだろう。あまり考えないことにした。
ここでアナウンスがあった。なんでも青春18きっぷのお客用に日付を入れに来るが、山口県の厚狭(あさ)駅を発車してから来るということだ。
車掌もドアの開け閉めとかあって忙しいし、ほとんど全員が青春18きっぷ利用者だし、ドアの扱いがなくなる厚狭を過ぎてからの方が落ち着いて全員にスタンプを押せるというわけなのだろう。
そして暗い中を客車は東に進み、門司と下関で機関車交換である。機関車交換が好きな人がけっこういるみたいで、門司や下関で停車するとあちこちの人たちが客車を降りて前の方に走っていく。おそらくカメラで撮るのだろう。
下関を過ぎて、去年ムーンライト九州を降りた厚狭に着き、また発車した。
厚狭を過ぎてから、これからスタンプを押しにうかがいます、というアナウンスがあり、10分以上して車掌がやってきた。
順番が来て、友人と一緒にスタンプを押してもらった。
それから多少まどろむが、あまり眠れなかった。きのうムーンライト八重垣(やえがき)で岡山から出雲市までぐっすり眠ってしまっていたので、そんなに眠くなかったからである。
けっこうおしゃべりする人もまわりにいて、あまり眠れない。でも、時々運転停車するので窓の景色をぼ〜っとながめると、なんだか落ち着いてくる。
そして岡山に着いた。
友人は岡山で降りていった。彼とは正月明けにもう1回18きっぷ旅行をする予定である。
さて、今日は東京まで帰る必要があるが、多少早く帰りたい。でもちょっとだけ寄り道できる。どこに寄り道しようか。
そのうち神戸電鉄にも乗る予定だが、三田(さんだ)から粟生(あお)までまっすぐ進むと新開地(しんかいち)〜鈴蘭台(すずらんだい)の間が残ってしまう(正確には新開地〜湊川(みなとがわ)の間は神戸高速鉄道である)。
神戸市営地下鉄も新長田〜谷上(たにがみ)に乗っていない(新神戸〜谷上は北神急行)ので、合わせて乗りたい。
そんなわけで朝三ノ宮に着いたら新開地経由で谷上に行き、乗り換えて新長田に行ってまた18きっぷの旅に戻って東京に行こうと考えた。
しばらくうとうとしたが、なんとか寝過ごさずに三ノ宮に到着した。18きっぷを見せ、友人に売ってもらった指定席券を渡して改札を出た。先月一般周遊券で神戸にはやってきていたので、たった1ヶ月ぶりである。多少見慣れた風景なので、少しは気楽である。
5時は過ぎているので多少朝のお客もいるが、まだまだ街は眠っていた。
さあ、阪急の方の駅に行こう。ことしの1月にも乗っているので場所はわかっている。
阪急三宮駅に着いた。まずはここから新開地(しんかいち)経由で谷上(たにがみ)に行く予定である。
自動券売機の上の路線図で、谷上駅を探した。あった。どうやら神戸高速鉄道→神戸電鉄のひとつづきのきっぷが買えるようだ。
阪急三宮駅のような駅の場合、高速神戸方面と梅田方面で自動券売機が分かれていることが多いので、ちゃんと高速神戸方面の券売機で、「神戸電鉄」のボタンを押して買わないといけないぞと考えた。そしてぼくは無事その券売機を探して、路線図の谷上駅の所にあった運賃を入れてきっぷを買った。
自動改札にきっぷを入れ、階段を進んで新開地の方向のホームに着いた。
おそらく新開地を通過する電車はないだろうと考えたのでけっこう気楽に電車に乗れる。
電車がやってきた。
発車時刻が来て電車は三宮駅を発車した。
東京だと早朝でもかなり電車が混雑するのが当たり前だが、さすがに神戸ではそれほど混雑はしていない。
電車は高速神戸駅を通り、そのまま電車は新開地に到着した。ここで電車を降りる。
ぼくは神戸電鉄方面のホームをさがすため、階段へと進んだ。
阪急三宮からやってきた電車を新開地(しんかいち)で降り、通路を通ると電車が停車している行き止まりホームに出た。
どうやらここが神戸電鉄方面のホームのようだ。
まずはこの電車が谷上まで行くか確かめる必要がある。どうやら谷上方面に行くようだ。
電車に乗る。朝なのでそれほど混雑もしていない。発車だ。
発車したホームは地下にあったが、じきに地上に出た。ここはもう神戸の山の奥に来たようで、住宅の続く斜面が線路の左右に広がっていて、海も見えないようだ。
そんな住宅の続く斜面を見て、その住宅が多少少なくなったころ、電車は谷上駅に到着した。ここで電車を降りる。神戸電鉄の残りの区間はまたあとで乗ろう。
この駅は北神急行との乗り換え駅である。乗り換え自動改札があり、乗り換え用のきっぷを持っていればそれを通して通れるようだ。
しかしぼくは谷上駅までのきっぷしか持っていないから、いったん改札の外に出て新長田までのきっぷを買う必要がある。
まずは自動改札にきっぷを通して出た。あたりは斜面が広がっていて、あまり住宅も多くないようだ。
谷上の改札の外で、北神急行の自動券売機を見つけ、案内図で新長田の運賃を探した。うわさ通りかなり高い運賃である。
きっぷを買うと、さっき出た神戸電鉄の自動改札のすぐ隣にある北神急行の自動改札を通る。
なにしろここの駅は乗り換え自動改札の数の方が出入りの自動改札の数よりも多いという駅なのである。まさに乗り換えのために存在するような駅である。確かに駅のまわりにはお客のいそうな建物は少なく、ここが目的地という人は少なそうだ。
関東で言うと京王線と南武線の交差点にある分倍河原(ぶばいがわら)駅がこのような駅である。
もっともこちらはここが目的地である人がけっこういる。
待っていた西神中央(せいしんちゅうおう)行きの電車に乗る。あまりお客はいない。そして電車は発車した。
発車した電車はトンネルを進んだ。長いこと、長いこと進んだ。なかなかすごい路線である。
そして新幹線との乗り換え駅、新神戸に到着だ。もう朝なのであるが、年末でほとんどの会社は休みになっており、あまりお客はいない。
三宮を過ぎ、ほとんどお客も増えないまま電車は新長田に着いた。ここで降りて階段を昇る。
ぼくは青春18きっぷを取り出してJRの改札に入り、大阪方面の電車を探して神戸へと進んだ。こちらの方が地下鉄よりも混雑している。ここまで来たらあとは東京まで1本道だなあと思いながら、ぼくは神戸で長浜行きの新快速電車へと乗り換え、一路東京をめざした。
新長田から乗ってきた電車を神戸で降りて長浜行きの新快速を待った。
やってきた。すわれないかと思っていたが、なんとか補助席が空いているようだ。
もうほとんどの会社は休みだし、まだ朝早いからだろう。
大阪、京都と進んでいき、たくさんのお客を運んでいく。滋賀県に入ると補助席でない席が空いたので移る。
そして米原に到着である。米原から関ヶ原までは1時間に1本しか電車がないが、この日は接続もいいようである。
そしてなんとか新快速で名古屋を通り抜け、静岡県に入った。
名古屋から静岡県を通ってその日のうちに東京に帰ることはよくあるが、かなり混雑していることが多い。
でもこの日は年末で、お昼ごろの通過だったせいかそれほどの混雑でもなく、無事熱海に着いた。
さて今日は東京を通り抜けて実家まで帰る必要がある。今年の8月にも名古屋の方から実家まで帰ったが、東京駅で山手線に乗り換えるのが面倒だった。
できれば東京駅でない駅で乗り換えたい。
ぼくは、川崎駅がいいと思った。なにしろ川崎駅には乗り換え専用階段があるのだ。
熱海から乗った電車を川崎で降り、前方に進んで乗り換え専用階段をのぼり、京浜東北線に乗り換えた。お客が少なく乗り換えやすい。
こうして京浜東北線に乗り換え、無事実家に向かったのである。これで今使っている青春18きっぷは実家もより駅で役目を終え、来年はおととい友人から買った赤い青春18きっぷを使うことになる。まだまだ冬の青春18きっぷの旅行は続く。がんばろう。