黒の宴 13


(13)
「何を…」
そう言いかけて押し黙った。何か言おうとすればすぐにでもほぼ鼻先が触れあう位置にある
社の唇が塞がって来そうだった。
アキラは社の目を睨みつけた。社はそんなアキラの表情をじっくりと観察するように眺めていた。
同い年には思えない、捕らえた獲物の価値を目でじっくり吟味するような狩人のような目だった。
そうして暫く互いの視線をぶつけ合ったあとで社は静かに言葉を発した。
「…あんた…さっきの対局で、打ちながらイキそうになったやろ。」
アキラは一瞬目を見開き、目を反らした。否定するにもほぼ瞬時にカッと顔に血が登って
しまっていた。
「恥ずかしい事ないで…オレも時々ある。相手がごっつう色っぽい年上の姉ちゃんだったりすると、
やけどな。」
顔を背けているアキラのこめかみから頬、顎にかけて息を吹き掛ける。そうして顎から首の方を
チロリと舌で舐めた。
「…っ!」
ゾクリとする感触に反射的にアキラが肩をすぼめて顎を戻しその部分をガードする。
アキラ社の唇がほぼ間近に向かい合った。社はそのアキラの下唇をスーッと舌で舐めた。
「やめ…」
アキラが顔を振って社の舌から逃れる。社は追いかけっこを楽しむように
アキラが顔を向ける方に顔を寄せて来る。その一方で下腹部をアキラの下腹部に強く押し付けて来ていた。
「欲しいんとちゃうんか」
社の固くなった部分が伝わって来る分、こちらの高まりも知られてしまっている。
碁会所を出て静まりかかっていたアキラの分身は瞬時に熱を取り戻していた。
社が若干膝を上げてアキラのそこを摩るように動かした。アキラの唇から小さく悲鳴に近い声が漏れた。



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