遠雷 15


(15)
抜き差しは徐々に早くなってくる。
無視しようとしても、体の奥で燻る存在を無視できない。
不自然な姿勢が苦しい。
息が上がる。
助けて欲しい。
誰か、誰か、誰か、誰か………
そのとき、アキラの脳裏に浮かんだのはヒカルの笑顔だった。
初めてであった頃の、夏のひまわりのような笑顔だった。
そま面影を求めて、アキラは目を見開く。
しかし、そこにヒカルがいるはずもなく。
見慣れない部屋の高い天井が、アキラの瞳を浮かべる。
―――――泣かない!
自分に言い聞かせる。
こんなことで自分は泣かない。
「素晴らしい自制心だ」
視界に芹澤の整った容貌が入ってくる。
上から覗き込む男は、やはり薄い笑みを浮かべている。
「その点に関しては、私は自分の敗北を潔く認めよう。
だけど、まだ終わりじゃない」
芹澤はそう言うと、深々と捻じ込んでいた三本の指をひきぬいた。
「次に始めるのは、塔矢くん、君からだよ」
謎めいた言葉を残し、芹澤はアキラの視界から消えた。



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