黒の宴 16
(16)
「上も下も、カワイイ顔しとる…」
社は再び顔を近付けるとアキラの唇を奪い、そうしながら片手で自分のズボンのベルトを外し、
ファスナーを下ろす。
「ん…っ!?」
唇を塞がれたままアキラは目を見開いた。そして次の瞬間、苦痛に眉を顰め目蓋を強く閉じる。
「んんー…っ!!」
社は片手でアキラの片手を押さえ、片手でアキラの左足を少し抱えて自分自身をアキラのまだ何の
準備も出来ていない谷間の奥の入り口に押し当てて来ていた。
押さえようのない火が点いているのは社の方だった。
具合の良い角度を探るように自分の体芯でその周辺をなぞり、力を入れ、無理そうだと
分かると離れる。そうしてまた微調整をして再度侵入を計る。
挿入まで手の込んだ前戯を加えて来た若手棋士の連中と違って社はまず杭を打ち込む事を
第一に選んだ。美しい獲物を逃さないために。
社のその部分の先端はアキラの方に潤いがなくても事足りる程にぬらぬらと体液をまとっていた。
無謀かと思えた社のもくろみは今のアキラに対しては抗力を発揮した。
火を求めるアキラの体の奥が、直接的にその部分を責められた事でアキラの中の理性の壁を
弱めてしまった。拒絶しきれない。
位置を決めかねて動いていた社の腰がやがて止まり、ゆっくりとアキラの中に沈められていく。
塞ぎあった互いの唇の隙間からどちらのものとも言えない、熱い呼気が漏れる。
高熱の杭が、それを望んでいた部分にギリギリと差し込まれて来た。
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