黒の宴 17


(17)
社のそれは以前にアキラを弄んだ者たちの誰よりも熱くそして固く鋭くアキラの中を支配した。
それまで社の体を撥ね付けようとしていたアキラの左手が、諦めたように力なく床の上に落ちた。
何の反論も出来なかった。
堪え難い苦痛を受けているはずの下腹部の中心で、アキラ自身が固く膨らみ上がり雫を滴らせているのだ。
それでもやはり相当な苦痛を強いられて呻き声を飲み込むのに必死なアキラとは対照的に社は
最上級の肉壁の感触に酔うように目を閉じ、呼吸を早めはじめる。
「ハ…アッ…!すげえ…いい…」
もちろんアキラが受け取っているのも苦痛だけではなかった。
身を裂かれるような痛みと隣り合わせにその感覚は存在していた。切なく身を溶かす何とも言えない感覚。
こうして高熱を持った肉同士が隙間なく接しているだけで溶け合ってしまいそうになる。
自分の指では届かない、どうしても手に入らなかったその部分が他人によってあっけなく鷲掴みにされる。
自分一人では不可能な、体奥に巣食う炎に届いて外へ導き出してくれるもの。
「…届…いた…」
独り言のようにアキラが呟く。社が根元まで全てアキラの中に収まっていた。
「…?…何か言うたか?」
社は唇を離してアキラの顔をまじまじと見つめた。
その視線から逃れるようにアキラは顔を横に向けたが、手で正面を向けさせられる。アキラは拒絶の
意志も露に目を閉じると社は愛しそうにその唇や整った鼻筋を指で撫でた。
「…初めてってワケでもないんやな。残念やけど…。」
社の鋭さにアキラは唇を噛み締める。何もかもこの男に読み取られてしまう自分の体の反応を恥じた。



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