storm 17 - 18
(17)
前立腺を巧みに刺激されて加賀がいきり立つ。硬く勃ち上がり、粘液を零している加賀のものが、
アキラのそれと触れ合って、濡れた音を立てる。その音と感触が更に加賀を煽る。
達しそうになったその時、唐突に指が引き抜かれ、いつの間にか添えられていたアキラの手が
ぐっと加賀を握り締めてとどめた。
咎めるように見下ろすと、加賀の視線を受けて、アキラは薄く笑った。
そして、示唆するように視線を動かしながら、ゆっくりと脚を開く。
誘われるままに加賀はアキラに自身を突き入れると、急激に挿入されてアキラの背が大きく仰け
反った。床から浮く格好になったアキラの腰を抱えるようにしながら、加賀は動きだした。
全身を揺さぶられながら、加賀の律動に合わせるようにアキラが嬌声を上げる。その声が益々
加賀を煽り、その動きが更に激しくなる。抑えようともせずに快楽を貪るアキラの声と、加賀の荒い
息音と、腰を打ちつける音が室内に響いた。
(18)
これは独占欲の一種なんだろうか?
彼に触れた指先を、唇を、彼を抱いた腕を、自分のものにしたかった。
この唇に彼も触れたのだろうと思うと、同じように触れてみたくて、その衝動をこらえきれなかった。
この指がこの唇が彼に触れ、この腕が彼を抱き、この熱い塊でもって彼に侵入したのだと思うと、
それだけで身体は燃え上がった。それが欲しくて欲しくてたまらなかった。
彼の身体に触れた指が、彼に触れて、きっと彼も触れた唇が、今、自分の身体に触れているのだと
思うと、眩暈のような、悲鳴のような、倒錯したような喜びを感じた。
彼が感じたであろう身体を、彼と同じように、いや、彼以上に感じたいという思いと、彼を奪ったこの
身体を更に奪い返してやりたいという思いが入り乱れ、目の前の肉体を強引に強請り、貪欲に貪っ
た。僅かに残されたなけなしの理性をも追い落としてしまおうと、自分自身を、そして目の前の見知
らぬ男を煽り、同時に煽られる。
風に軋み激しく打ち付ける雨音が現実感を奪い取り、どこか知らない場所にいるような錯覚を呼ぶ。
嵐の中の難破船のように、快楽の荒波を感じながら、けれど決してその波に身を任せはせずに、抗
い続け、求め続ける。もっと高く、もっと激しい波を。
風も、雨も、強ければ強いほどいい。嵐は激しければ激しいほどいい。
理性なんて要らない。この身に受ける嵐を感じ取る感覚だけがあれば、いい。
嵐は全身を、身体ごと意識ごと揺さぶり、一際荒い波に捕らえられ、攫われそうになる。何かに縋ろう
と腕を伸ばして目の前の物体にしがみつき、自分をこの世に繋ぎ止めるたった一人の人を呼ぶ。
半ば悲鳴のように切れ切れにその名を呼びながら、アキラは、ついに抗いきれずに意識を手放した。
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