黒の宴 20


(20)
ハアハアと頬を染めて涙を滲ませて、社の体の下に放心したようにアキラの肢体が横たわる。
社とはまだ繋がったままだった。一気に駆け抜けた、そんな感じだった。
ふとアキラは、自分を見下ろしている社の突き刺すような視線を感じた。
ズンッ、と、再び体の奥に圧迫感を感じた。アキラは青ざめ、体を起こそうとした。
その両手を掴んで社がアキラを元の床の上に押し付ける。
「…最後にもう一度だけ…」
社の舌が下から上にすくい上がるように胸の突起を這う。
「い…や…っ」
アキラの声の語尾が吐息に溶ける。社の舌がゆっくり突起の周囲を旋回し、そのまま
すっぽりと包み込み、軽く噛みながら舌先で先端を刺激する。
「ふ…うっ…ん」
きゅうっと、社を喰わえ込んだ内部が締まる。それに対応してドクンと社のモノが脈打つ。
「…ゆる…して…、…もう…」
さっきまでの激しさだけの行為とはまた違った感触がじわりとアキラのそれぞれの箇所を押し包む。
社はもう片方の突起に唇を移し、もう片方を指で摘んで愛撫する。空いている手を下腹部に伸ばし
アキラの先端を捕らえて擦りあげる。
「…足…開けよ…」
先刻の到達時に社の体を挟み込むように閉じた足を、言われるがままにアキラは足を開いた。
社は今度は激しく突き入れるのではなく、少し下がって感度の高い部分を狙って動かす。
「あ…あ…あ」
全身が溶けそうになるような感覚にアキラは身を沈めた。涙が頬を伝わった。炎を完全に吐き出しきったのではなく、
自分の体が炎に完全に支配され切っているのだと思い知った。社というこの男によって。



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