遠雷 23
(23)
挿入と同時に、目の前で噴きあがった精液。
芹澤は、アキラの頬を汚す白濁の汁に、快感を覚えた。
それはあくまで精神的なものだった。
潔癖で気位の高い少年の内部に踏み込んだという、征服感は芹澤の胸に昏い喜びを巻き起こす。
芹澤は笑った。体を揺らして笑った。
その幽かな刺激に、少年が反応する。
「ぁ、ぁ、ぁ、ぁ………」
小さな悲鳴は、甘い喘ぎと大差ない。
逝ったばかりのまだ幼さを留めるペニスは、芯を残したまま小さく震えている。
芹澤は、足元に正座して控える男に命じた。
「犬。綺麗にして差し上げろ」
男は、嬉しそうな表情を隠しもせずに立ちあがると、迷うことなくアキラの頬に舌を這わせた。
ぴちゃりと音を立てて、長い舌が青臭い樹液を舐めとる。
芹澤はそれを満足げに眺めながら、二度三度、大きく腰を動かした。
「あぁっ、あ――、……ん、ふっ………」
ギャグを外された唇から、惜しみなく吐き出されるのは嬌声だ。
芹澤は、胸の辺りに散った白濁に指を伸ばすと、それを塗り広げるようにして、堅く立ちあがった乳首に触れた。
精液で濡れた乳首は、淫靡に劣情を誘う。
芹澤は、二つの突起を同時に摘み上げ、押しつぶしながら、少しだけ腰の動きを早めた。
「ああ、いい……気持ち…いい・・・・・・」
アキラの素直な感想に、芹澤は微苦笑を浮かべながら、一気に腰を引いた。
黒々とした怒張はいまだに天をついている。
アキラは、前触れもなく失われた充足感に、瞼を上げた。
その朦朧とした瞳に向かって、芹澤は話しかける。
「マゴノテかなにかと間違われても、嬉しくはないからね」
いまのアキラに、その言葉の意味を理解するだけの余裕はなかった。
芹澤がくれる熱い刺激で、一時的に納まっていた感覚が、またぞろ息を吹き返す。
「あっ! うぁっ……」
再びやってきたむず痒さは、一時の平穏を知ったため、さらに強烈なものと化していた。
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