遠雷 26
(26)
芹澤はアキラの膝を胸につくほど押し上げ、上から打ちつけるように抽送を続けた。
「あん、あ、あ、あ、あ、・・・・・・・・」
芹澤の陰茎が奥深く届くたび、アキラは短い喘ぎを零した。
「感じているというより……、生理的なものだな」
芹澤は、アキラの声をそう判断すると、膝においた両手を左右に動かした。
「ひっ」
アキラが悲鳴を上げる。足を左右に割られたことで膝裏をなめし皮の紐が擦ったのだ。
おそらく擦過傷になっているのだろう。
一瞬感じた痛みも、すぐ甘い感覚に変換される。
「塔矢君は、体が柔らかいのかな、それともっ」
芹澤の語尾が跳ねたのは、体を前倒しにして、深く刺し貫いた反動からだ。
「若いからか……」
答えを求めない問い。芹澤の口元に浮かぶ冷笑は、答えは己が暴くとでも言っているようだ。
根元まで突き込んだ姿勢で、芹澤は腰を小刻みに揺らした。
すると、アキラのペニスが、芹澤の割れた腹筋に擦られる。
射精したばかりだというのに、若いそれは固く勃ち上がる。
このまま同じ刺激を与えれば、すぐにでも絶頂を見ることができたろう。
だが、芹澤は腰の動きを止め、体を起こした。
目元を欲情に赤く染め、アキラは無意識に腰を揺らす。
突然失われた刺激を求めているのだろう。
「おい」
芹澤が声をあげると、足元で控えていた男はすぐさま立ちあがる。飼い主の背後に回ると、肌蹴ていただけのシャツを脱がす。
汗で貼りつくシャツから腕を抜くと、芹澤は男に言った。
「褒美だ」
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