遠雷 27


(27)
男は芹澤の視線で、なにが許されたのかを、察知する。
「ありがとうございます」
男は、アキラの横に移動すると、完全に勃起したものを、美味そうに頬張った。
犬として躾られた男だ。その舌技は、既に実証済み。
男は口をすぼめ、いきなり喉の奥までアキラのペニスを吸いこんだ。
「あぁ……、あ―――――」
アキラのしなやかな背筋が弓なりに仰け反る。
びくっびくっと腰を突き上げる。
「好きなだけしゃぶっていいぞ」
鼻で笑いながら芹澤が言うと、男はアキラを締め上げたまま嬉しそうに頷いた。
それすら今のアキラにはたまらない快感だ。
芹澤は、アキラと繋がったまま器官で、アキラがどれほど感じているか間接的に味わっていた。
腸壁がうねっている。奥の奥まで誘いこむような蠕動に酔い痴れる。
「私はね、君を屈服させたいと思ってはいたが、支配したいわけではないんだ」
誰に聞かせるわけでもなく、芹澤は一人嘯く。
「痛みで従えるのはたやすいが、それでは君の美質、凛とした佇まいまで失われてしまう。
それは、許されることではないと思うのだよ。これは、君を解放する行為なんだ」

もしも、―――――
アキラが正気だったとしたら、いまの芹澤の言葉をどう受け止めることだろう。
なにが解放だと、怒声をあげたのではないだろうか。
ふざけるなと、席を立っていたのではないだろうか。
理性の入りこめない世界で、アキラは無心に快楽を貪っている。
生まれて初めての口腔性交に、本能は貪婪に反応する。
男の頭に手を伸ばし、股間に押し付ける。
男の口を、受け入れる性器と見たて、不自由な態勢のなか腰を上下する。
男はそれによく応える。アキラの欲しいものを敏感に察知し、口腔全体で奉仕する。
長い時間は要らなかった。
その晩、二度目の逐情は、父親と同世代の男の喉奥に叩きつけられた。



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