遠雷 35


(35)
「塔矢君」
紗のかかった瞳が、わずかに反応した。
「わかっているのだろう? 往生際が悪い」
芹澤はそう言うと、ほんの少しだけ腰を揺らめかせた。
「あ、あっあっ、あぁぁぁ―――――――」
アキラが切ない声を漏らした。
芹澤は、背を撓らせるアキラの顔を、息がかかる距離で堪能した。
汗に張りつく黒髪、白い肌は仄かに色づいている。
軽く寄せた眉、濡れた唇は赤かった。そして、瞳は――――。
長い睫に縁取られた瞳には、狂おしい熱があった。
耐えがたい飢餓に狂い出した熱があった。それを物語るように、赤く染まった目元……。
「揺れ惑う君は、恐ろしいほど卑猥だな」
貶める言葉を甘く優しく囁くと、芹澤は、頬にあった手を下へ移動させた。
片腕でアキラの体を支えてやる。
その腕を限界まで延ばしてやれば、自然アキラの体は後ろに反る。
空いていたほうの腕で華奢な体が逃げないように、腰の辺り手を拘束する。
その姿勢で、芹澤はつき入れた淫茎を斜め上に突き上げるように動かした。
芹澤の腕の中でアキラが身悶える。
「はあっ……」
アキラの口から、吐息が零れた。それは、いままでになく甘いものだった。
芹澤は、安堵にも似た表情を浮かべ、目を閉じたアキラに、そっと微笑みかける。
そしてまた腰を小刻みに動かしてやる。
快感を求めてのことではない。
アキラの欲しがる刺激だ。掻痒感を抑えるための刺激だ。
アキラの口の端が微かに歪んだ。まるで笑んでいるかのような表情。
芹澤は、逸物を半ば以上引きぬくと、円を書くように腰を動かした。



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