遠雷 37


(37)
アキラの内部が、芹澤にまとわりつき、絡みつく。
ぐちゅぐちゅという卑猥な音がリズミカルに響く。
「くっ、んっ………んぅ………」
アキラは甘やかな声を、色づいた唇から惜しげもなく零しつづけていた。
2時間になんなんとする行為に、疲労の色は隠せなかったが、艶やかさはいや増すばかり。
芹澤は、ふっとほくそえんだ。
不思議な充実感があった。
芹澤は、アキラの与える快楽を、五感で享受した。
アキラの乱れる姿が、声が、芹澤を昂ぶらせる。
アキラのうなじから立ち上る汗の匂いが官能を刺激し、戯れに舌先で舐め取れば、塩辛いはずのそれが快感を高める媚薬に思えた。
そして、触れ合う肌と肌、粘膜と粘膜、そのすべてが芹澤を駆り立てる。
芹澤は、いま自分が抱いている美しい獣に、純粋な意味で魅了された。
塔矢アキラという天才棋士を、欲望のまま陵辱したいというのは、いつもの気まぐれにしか過ぎなかった。
常に冷静沈着に盤上を支配しつつも、時折垣間見せる激情。
凛とした佇まいと寡黙な横顔の裏に、静かに息衝く熱。
それらを暴いてみたかった。
数回の対局で叶わなかったその願望を叶えるために、自分に忠実な男を使いこの場を設けたのだ。だが、いま彼の胸中を去来する想いは、達成感ではなかった。
願った通り、塔矢アキラは自分の淫茎を肛門で咥えこみ、あられもない嬌声を上げている。
きつい締め付けと、底のない深みに引き摺りこむような極上の肉体は、これが初めての直腸性交とは思えないほどだ。
それに芹澤は、満足を覚えた。



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