遠雷 7
(7)
叫びたいのに、叫べないことがこんなにも苦しいものだとは、アキラは今まで知らなかった。
「ふふ、いいねぇ、対局時の水のように静かな君の顔を私はとても美しいと思っていたのだが、
こうして苦悶にうめく君の表情も、それはそれは扇情的だ。そう思わないか?」
「はい、芹沢様のおっしゃるとおりです」
男が答えると、熱い吐息がアキラのしっとりとした肌の上を走っていく。
アキラは身を捩った。
男の呼気は通り過ぎたはずなのに、無視できない熱がわだかまっている。
これは何だろうと、アキラは一瞬考えた。
が、考えがまとまる前に、また熱い舌がアキラの痛みに疼く乳首を舐めあげる。
芹沢が自慢するだけのことはあった。
器用に動く舌は、アキラの乳首を交互に攻め立てる。
その狭間で、アキラは知った。
いま自分が感じている熱は、外から与えられたものではないことを。
それは、アキラの身の内で生まれる熱だった。
「おやおや、まだ乳首しかいじっていないのに、どうしたのかな?
ここをこんなにするなんて?」
芹沢の指が、アキラの股間に伸びる。
指の腹で触れるペニスは、徐々に形を変え始めていた。
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