恋するアゲハマ嬢 13


(13)
自分と同年代であろう年若な店員に「お飲み物は?」と尋ねられ、
市河は慌ててアイスブラックティーを注文した。
アキラはしばらくメニューとにらめっこしていたが、やがて顔をあげ、
「ブラッドオレンジジュースをお願いします」と店員ににこやかな笑顔で告げた。
その横で「なー、コーラある?」とヒカルがアキラに聞く。
「ないよ」
「サイダーは?」
「………」
「オレ炭酸がいいんだけどな。ジンジャーエールは?」
「メニューくらい自分で読めるだろう」
と、ぶすくれた表情でアキラはヒカルにメニューを押し付けた。
「なんだよ…前から言おうと思ってたけどなァ、お前、緒方先生とオレへの態度に
 すっげー差がありすぎるんだよ!」
メニューを素早く奪い取るその動作にカチンと来たのか、アキラの声が一段と大きくなった。
「緒方さんは大先輩だぞ?目上の人に敬語で話すのは当然じゃないか!
 ボクと同学年でまだ初段の進藤とは同じ扱いなわけないだろう。それに──」
「なんだよ」
「進藤は……だから良いんだ」
何事かを呟いたアキラの顔が薄赤く色づく。それを聞いたであろうヒカルも、
「あ、…ならいいや」
と妙に納得した表情でくだらない言い争いに終止符を打った。
──なっ何?今アキラ君は何て言ったの?
意外な展開に市河は驚きを隠せない。なんとなく、今のは絶対聞き逃してはならない
最重要ポイントだったような気がする。
アキラは照れ隠しのつもりなのか、そっぽを向いたままだ。
「…えっと、じゃあジンジャーエール下さい」
ヒカルも憑物が落ちたようなしおらしさで、ぎこちなく飲み物を注文していた。



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