マッサージ妄想 11 - 12


(11)
「・・・・・・?・・・・・・?」
呆然として目を泳がせていると、アキラが上半身を少し浮かせるようにしてこちらを睨んでいるのに気がついた。
「あ、塔矢。なんや、寝てしもたかと思ったで」
「・・・・・・どうして・・・・・・」
「は?」
不機嫌そうなアキラの顔を見てハッとする。
もしかして浴衣の裾を直そうとしたのを、アキラが寝てしまったのに乗じて不埒な行為に及ぼうとした
ものと取られたのだろうか。
(そ、そんな!あんなしみじみタイムの後にそんなことしようとしたらただの助平親父やん!
オレはそんな人間やあらへん!濡れ衣や、誤解なんや塔矢!)
口をパクパクさせている社の顔をしばらく見つめてから、アキラはふて腐れたような声で言った。
「・・・・・・誰がもうやめていいと言った・・・・・・」
「へ?」
「ボクはまだ眠る気なんかない。だから」
上体を布団の上に下ろし、ぱふ、と枕に頭を戻しながら、アキラは言った。
「もっと、して欲しい・・・・・・」
先ほどまでとは打って変わって切なく潤んだような瞳でねだられて、漸く誤解されていたわけではない
ということに気がついた。
(ならそうと口でゆうてくれたらええのに・・・・・・何も蹴っ飛ばさんでも・・・・・・)

とは言えあの塔矢アキラからそんな風に甘えられて悪い気はしない。正直、長時間マッサージを
続けた手はかなり疲れていたが、アキラが自分を必要としてくれていることが嬉しかった。
「わかった!ここまで来たら朝までだって付き合うたるわ」
それを聞いて安心したように、アキラはにっこりと極上の笑みを見せてまた枕に顔を埋めた。


(12)
だがアキラの脚に手を戻し張り切ってマッサージを再開した瞬間、今度は先ほどよりも強い蹴りが
シュッと社の耳元をかすめた。
「うおっ。塔矢!?」
飛んできた足首を掴み、さすがに非難を込めた眼差しでアキラを見る。
アキラは黙ってうつ伏せたまま、ギュッと枕を抱き締めるようにしている。
「なんか気に入らんことあったら口でゆうてや。毎回こうならこっちの身が保たんわ」
「・・・・・・」
溜め息をついて社がアキラの脚を布団に下ろし、再び揉み始めて暫く経つとアキラが漸く言葉を発した。
「痛い・・・・・・」
「あっ?力入れ過ぎたかスマン。これでどや」
「まだ痛い・・・・・・」
「こんなもんか」
「もっと、優しく・・・・・・」
「・・・・・・こうか」
枕に顔を埋めたままアキラが小さく頷いた。
だがここまで力を抜いてしまうと、もうマッサージという感じではない。さわさわと軽く表面に触れているだけだ。そもそもそんなに強く力を入れてもいないのに、痛いなどということがあるはずがない。
「・・・・・・」
手を止めてチロリとアキラのほうを盗み見ると、アキラもまた片目だけこちらに向けて様子を窺って
いたのと目が合った。
その途端、アキラがパッとまた枕に顔を伏せる。
この位置からだとよく見えないが、つややかな黒髪の隙間から覗く耳と首筋が普段より赤く染まって
いるような気がする。
それに気づいて、社はあのうねるような衝動が再び暴れ出すのを感じた。
太腿の白さと、今まで敢えて想像しないようにしていた浴衣の下の細腰とが急に生々しく意識の中にせり上がってくる。



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